tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

日本が黒字国になる理由

2017年04月21日 11時39分21秒 | 経済
日本が黒字国になる理由
 国民経済計算でよく使われるこの計算式をご存知の方も多いと思います。
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GNI=人件費(税引き後)+企業利益(税引き後)+税金等 (国民総所得の分配面)
GNI=消費+投資+政府支出+経常収支 (国民総所得の支出面)
分配面と支出面の内訳は同額ですから
人件費(税引き後)+企業利益(税引き後)+税金等=消費+投資+政府支出+経常収支
    右辺の経常収支以外を左辺に移項すれば
人件費―消費 + 貯蓄―投資 + 税金等―政府支出 = 経常収支
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 こんな計算式を持ち出したのも、前回述べましたようにアメリカが万年赤字なのに、日本は万年黒字で、多分これからアメリカは日本との二国間交渉で、日本の競争力は強すぎる、だから、関税を引き下げろ(特に農産物)とか、円安にしているのは怪しからん、もっと円高にしろなどといってくる可能性が高いことを前提に、「それは少し違うんじゃないか」ということを、はっきりさせるためです。

 国民経済計算では人件費は雇用者報酬、企業利益は営業余剰などと書かれて、ともに課税前の金額ですから税金等という項目はありません。ここでは比較の便宜上税金を分けて書きました。
 また、GNI(国民総所得)でなくGDPを使うのが普通ですが、今の日本経済では海外からの投資収益が多く、輸出と輸入だけでは経常収支の黒字に繋がらないので、日本の実力である GNIを取っています。

 さてここからが本題ですが、日本の経常黒字はどこから来るのでしょうか。
経常黒字は、
① 人件費 ― 消費支出
② 貯蓄 ― 投資
③ 税金等 ― 政府支出
の合計額として算出されるわけです。

 では日本の状況はどうかといいますと、
① は、国民は将来不安から貯蓄熱心で消費性向が低く、人件費>消費支出で 貯蓄超過です。
② は、企業部門になりますが、通常企業はもうかれば投資を積極化しますが、この所、自己資本比率が高まっているので 貯蓄>投資 かもしれません。
③ は、毎年巨額な国債発行をして民間から金を借りている政府ですから、税金等<政府支出で大幅赤字です。

 この合計が万年経常黒字になっているということは、民間の貯蓄(黒字)が政府の赤字より大きすぎて、結果的に使い切っていないカネが、経常収支の黒字になっているということになります。
 これをどう理解するか、長くなるので次回にします。