tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

最近の企業統計から見えること

2017年04月07日 14時07分24秒 | 経営
最近の企業統計から見えること
 このブログは、付加価値の生産と分配の問題を基本において、経済、経営を考えることが主題です。付加価値こそが、社会を豊かで快適なものにするのに役立つ経済的原資だからです。

 この所、株価は国際的な不安定感などからでしょうか冴えませんが、先日の 日銀短観に見るように、企業経営は底堅い動きのように感じられます。

 そんなことで、少し企業の数字を追ってみました。
 使ったのは、財務省の「法人企業統計」で、「年報」ではなく速報性のある「季報」です。最も基本的なものという事で、この2年間ほどの「売上高」と「付加価値」の動きを見ました。

全産業の売上高、付加価値、付加価値率 など

    資料「法人企業統計季報」、売上高・付加価値単位:千億円、円レート単位:円

 売上高は2014年度(円安が進んだ時期)がピークで、その後落ち込み、16年度に入って徐々に回復という所です。
 2014年は日銀の異次元金融緩和で、アベノミクス大成功と言われた時期ですが、その後は円高に振れ、アベノミクスの行き詰まりと言われるようになりました。

 企業の方はしかし、着実に、体質改善、生産性向上策、収益性向上のための方策は取ってきたようです。
 ここでは統計の制約上、付加価値は、人件費、経常利益、支払金利の合計となっていますが、賃借料、租税公課がなくても特に問題はないと考えます。

 2015年から16年にかけて、日本経済は、どちらかというとさえない動きでしたが、付加価値の動きは売上高より、いくらか回復が早いようです。
 売上高で付加価値を割った「付加価値率」の動きは、着実に回復の方向を示しているようで、2016年度第1四半期、売上の最も落ち込んだ時に、一時20%を超え人件費も利益も前期比増というのは、企業の合理化策(生産性向上)の結果でしょう。

 2016年度第3四半期には人件費も利益も、好調だった2014年の数字を抜いて、付加価値率も20%を超えていきそうな動きです。
 付加価値率は、企業のバイタリティーを示す指標と言われ、これが高まることは企業の元気さ、勢いの強さを示しています。

 一部に大企業な破綻などもありましたが、企業全体的には、体質強化、生産性向上、付加価値率改善の動きがみられるようにい思います。
 この辺りが、日銀短観にも反映しているのではないでしょうか。