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Something New.

TikTokなどの中国製品が本当に危険である理由

2020-08-18 08:38:00 | 国際
アメリカ政府は8月13日にファーウェイなど中国企業5社の製品やサービスを使う企業とアメリカ政府との取引を禁止する規則を施行した。中国製品の排除を一段と強化し機器などを通じて中国に情報が流出するリスクを回避する目的である。これで機器や部品の調達元を見直す日本企業も出てくるであろう。対象となる中国企業はファーウェイ、ZTE、ハイテラ、監視カメラ大手のハイクビジョン、ダーファテクノロジーの5社であり、アメリカは既に昨年8月からこの5社との取引を禁止している。

もう一つ、気になるニュースがある。

最近のウォール・ストリート・ジャーナルが伝えるところでは、中国系動画投稿アプリケーションソフトである「TikTok」がグーグルOS搭載のスマートフォンの識別番号を収集し、利用者の情報を追跡できるようにしていた、と報じている。利用者に無断で収集していたと見られ、グーグルの規約に違反して可能性がある、としている。TikTokは昨年11月に識別番号の収集を停止した。TikTokをめぐり、収集された個人情報が中国政府に流出する懸念が出ている。トランプ大統領は「(中国企業の)アメリカ事業をアメリカ企業に売却しなければ国内の事業展開を禁止する、としている。

これらの心配な事案に対して国際政治学者の藤井厳喜氏と元刑事で外国人犯罪等に詳しい評論家の坂東忠信氏が解説しているので、その内容を抄録の形で紹介したい。


アメリカ政府の措置は厳しい経済制裁の一貫である。日本の企業は名前が上がった中国企業5社とは売るのも買うのも駄目という事になる。中国に部品を供給している企業もそのままだとやがて制裁を食らうことになるだろう。

もちろん買うのも駄目であるが、実は中国企業が提供するサービスは既に日本に入っている。例えば文部科学省のエントランスで入館する人々の体温や顔認証のシステムなどにソフトバンクの関連会社が入っている等の事例がある。なので、この分野で中国と取引している日本企業は大幅に事業の見直しを迫られることになるだろう。

また、TikTokがスマホから収集した情報を中国政府に流していた、というのは確かな話である。

アメリカではマイクロソフトがTikTok事業を買い取るような動きが出ているが、しかしマイクロソフトもかなり親中派の企業なので、条件としては「マイクロソフトの中国事業を全部売却する」という注文がついている。そうすればTikTokを買ってアメリカで単体としてなら営業しても良い、という事のようである。

こうした動きは実質的な「中国封じ込め」である。

アメリカは「封じ込め」という言葉は使っていない。ペンス副大統領の演説では「我々の政策は中国の封じ込めではありません」としている。だが、内容を見るとやはり「封じ込め」なのである。国際ルールを守ってやってくれるのなら国際コミュニティは受け入れるのにやぶさかではないし自由貿易も賛成である、と。しかしルールを守ってくれないと困る、と。ルールを守ってくれない場合は経済制裁で「封じ込め」となるのだ。そりゃそうだろう。

8月5日のポンペオ国務長官演説が画期的だった。彼は「クリーンネットワーク」と言った。

「クリーン」とは何か?

それは「Without China」である。つまりインターネットのネットワークに於いて「中国抜き」であることが「クリーン」だ、と言っているのである。(笑)

「クリーン・キャリア」
「クリーン・ストア」
「クリーン・アプリ」
「クリーン・クラウド」
「クリーン・ケーブル」

・・・と言ったのである。

どういうことか?

「キャリア」は通信会社であり、これは中国資本が入った会社は駄目、ということ。チャイナテレコムなどは追い出される事になる。

「アプリストア」もクリーンでなければいけない。中国製アプリを販売するようなストアは駄目。

「クリーンアプリ」は、自分達が作ったアプリだが中国側が利用できなくする、ということ。

「クリーンクラウド」は安全なクラウドでなくてはいけない、と。中国のアリババやバイドゥ、テンセントなどが営業しているが、クラウドコンピューティングサービスからは中国は全部排除、となる。重要なのは「資金決済」もクラウドでやるので「クラウド排除」ということは全て排除、ということにほかならない。

最後に、興味深いのは「クリーン・ケーブル」と言っていることだ。

現在、インターネットの国際感通信の99%は海底ケーブルで接続されている。ここでも中国が新規に海底ケーブルを敷設したり、或いは既存のケーブル会社に資本参加する事を排除する。既にファーウェイなどがケーブル事業に関わっているからこそ、のことである。

なにしろ、どのような形であれ、中国が関わっているインターネットは「ダーティー(汚染されている)」である、ということだ。我々(アメリカ側)は「クリーン」でいく、と。当然日本も「クリーン」に入らなければいけない。これらの条件を全て満たした国は「クリーン・カントリー」ということになる。

だから「クリーン・カントリー」はアメリカ中心にみんなで固まってやっていこう、と。大部分の民主主義自由国家はそちらに入ってほしいが、そうではない国は中国側に行く、ということだ。

従って、今後状況は間違いなく「新・冷戦状態」になっていくであろう。

これらは日本にも適用されることなので、そういう体制をつくっていかなければならないだろう。二股掛けは「ダメ、絶対」である。

8月5日のポンペオ演説はこうした事を総体的に述べているので非常に大事なのである。


今年に入って武漢コロナウィルスの感染拡大が全社会的に被害を広げているが、感染しているのはウィルスだけではなく人間も思想感染しているし、情報流通に関しても企業が中国に感染しているのが実態だ。そうした様々な感染の形がある、と捉えた上での「クリーン」ということなのだ。そうした考えをベースに、アメリカの考えを拡散したいということだ。


「TikTok」にフォーカスした話をする。


TikTokの主な利用層は言うまもなく若年層である。では中高年世代は無関係なのだろうか?

実は若年層が入れ込むことで中高年にも大きなリスクが出ているのである。

どういうことか。


まず、TikTokがどのような状況で利用されているか、について記す。

現在、日本人のインターネットの平均利用時間は8.4分/日だそうだ。それに対してTikTokの平均利用時間は41分/日である。明らかに長い。(*1)

ここでTikTokに関わる深刻なリスクについて述べる。TikTokに自分の姿を投稿することでいったいどのようなリスクが発生するのだろうか。

まずスマホの識別番号が抜き取られている。そのスマホで映している「私」があると、スマホの識別番号とアカウントとそのアカウントを使っている本人がこれで結び付けられる。

それと中国製顔認証システムの危険性がある。中国では顔認証システムはウィグル自治区では既に実用化されているので、中国としては外国人の顔認証データも全て欲しいであろう事は火を見るより明らかである。

前述のように本人の「スマホ識別番号」「アカウント」の他に「本人の顔」というデータもすべて取られてしまうだろう。「現在地」データも同様だ。


さらに問題なのが「人間関係」を示すデータである。


例えばTikTok利用者が祖父と一緒に映ったTikTokを撮影したとする。その祖父がもしも有名人だったり中国が敵視する側の人間だった場合に、その撮影者のケータイ識別番号・アカウント・現在地などが知られた上に「その人と祖父との関係性」が中国に伝わってしまうのだ。その他にも友人と一緒に映れば撮影者と友人との関係性もバレてしまう。さらにそこからあらゆる断片的なデータを手がかりにそのユーザーにまつわる全ての人間関係が中国に伝わってしまい、全部が紐付けられてゆく、という可能性は非常に大きいのである。

必ずしも全員がそうなる訳ではないが、たまたまターゲットにされた人にはそうなる可能性が極めて高い、と言える。


アメリカでTikTokが危険だと言われ始めたのは前述のようなリスクがあるからであり、特に子どもたちの情報が流れてしまっている実態があるのだ。これは例えば誘拐といった犯罪にも使われる情報になる…といった話がアメリカ議会で議論されるようになってきたのである。親御さんにとっては相当心配な事案である。


TikTokはそういう意味ではうまく出来ていて使いやすいので引っかかる人間が多数出てきてしまうのである。面白おかしく楽しめているようで実は肝心な情報が抜かれてしまうのであり、その人の現在地まで伝わってしまうのは真に恐ろしいことである。

ある意味で、自分で「スパイを背負って歩いている」ようなものである。自分から進んでスパイに情報提供しているようなものであり、ある種の間抜け状態である。


スマホの識別番号を取られてその上でスマホ自体を乗っ取られたら危険はさらに深まることになる。ユーザー本人に気づかれずに裏でカメラ撮影してそのデータをユーザーが知らない内に流してしまえることは既に知られている大きなリスクの一つである。撮影された内容から、そこに居た人間が誰かや、風景や現在地データから割り出して、今どこの店に居るのか、といった事まで知られてしまうのである。



話を戻そう。

企業に対して「中国と関わるな」と言われても一概には難しい一面もある。中国製のパーツを使うな、と言われた場合、例えば「エレベーターの会社は中国製部品は無いので無問題である」となったとしても、エレベーター内に取り付けられた防犯カメラはどこ製ですか?という問題が出てくる。なのでエレベーターメーカーが作られたエレベーターに防犯カメラ一つ付けるにしてもちゃんとした”クリーン”なメーカーから調達しないと、それはアメリカでは駄目ですよ、となるのだ。

具体的には恐らく公共事業の入札といったところに、例えばファーウェイ製パーツが入った製品を社内で使っていると「その会社は駄目」となる。公共事業の入札は大きな単位のお金が動くので、たとえ受注できたとしても親会社・子会社・孫会社・系列会社の全てで中国製部品を一切使っていない事が大切な要件になるのである。この全てでクリーンである必要があるのだが、これが達成されるのにいったいどれくらいの時間がかかるのか。

藤井厳喜氏や坂東忠信氏たちは何年も前からこうした危険性について警鐘を鳴らしてきた。それでなくても世の中ではLINE(韓国発祥ソフト)だのカスペルスキー(ロシア製ウィルス対策ソフト)だのといった製品があるが、これらは全て軍事方面の技術が入っているのだから少なくないリスクがある。(*2) 軍事技術が入ってないのは日本くらいである。その意味では日本メーカーだけがクリーンだった、と言えるかもしれない。そういうことを考慮して使うべきだ、と言われていたのだ。

なので、そういうクリーンな会社ならアメリカが出した条件には即応できると思われる。逆にそのへんの意識が希薄で「他社も使っているから」程度の軽い認識で中国製を受け入れていた会社はこれからは対応できなくなってくるであろう。



さらに問題なのは日本の自治体である。

いくつかの地方行政府では非常にガードが甘く、TikTokを広報に利用するという事をやっていたのだが、最近では埼玉県がTikTokの危険性を認識して「TikTokと縁を切る」という決断をしたが、これは英断であった。

これは中央政府だけの問題ではなく、地方も各々気をつけるべき問題なのである。地方行政において公共事業の入札に関してもクリーンであることが最重要な条件になってくるのだ。



中国はその中華思想(中国は世界の中心であり世界は中国のものである、という思想)に依って世界への侵略を着々と進めている。その目的の為なら手段は問わず、ありとあらゆる手を使って攻撃してくる。通信機器といったハードウェアからTikTokのような娯楽ソフトウェアに至るまで、全ては中華思想実現という目的を目指す中国共産党の為に存在しているのだ。これは真実である。

悪意ある情報抜き取りを行い、各種の情報操作をかましてくるのも全ては中国共産党の野望に資する行為だ。油断も隙もないのだ。我々は本当に安穏としてはいられない…そういう時代になっているのである。



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<2020年9月12日:追記>
9月12日のロイターの報道では、「TikTok(ティックトック)の米国事業を巡って、中国政府は強制売却されるよりは閉鎖を望んでいることが複数の関係者の話で分かった。」ということだ。これが何を意味するかは明白である。

1.本来は一企業であるバイトダンスの商品であるTikTok事業の売却に中国政府がわざわざ口を出してくることで、これが中国政府の情報収集工作に関わるものであることが容易に推測できる。
2.TikTokが売却された場合、TikTokが裏で情報収集していたことが完全にバレてしまうので中国政府として困る。
3.そもそも世界各国の情報収集が目的でTikTokを世界中にばらまいたのだが、売却される事でその目的が果たせなくなる。だから自国の手を離れるくらいなら「もういらない」ということ。

だから中国政府にとってTikTok事業の売却は「マジで困る」事案なのだ。



<2020年9月14日:追記>
9月14日のブルームバーグ報道では「中国のバイトダンスはTikTokの売却または手放す場合、そのアルゴリズムは渡さないことを決定」となっている。つまりソースコードは見せない、ということ。見せたら困るからであろうことは容易に想像できる。TikTokが単なる娯楽アプリであるならそこまで渋る必要は無い筈だ。情報収集機能が組み込まれているから「バレたら困る」訳で、だからゴネているのである。TikTokがクロであることを自ら示したようなものである。


<2022年7月3日:追記>
トランプ政権で国務長官を務めたマイク・ポンペオ氏がツイッターでTikTokの危険性について述べている。
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TikTok is in the grip of the Chinese Communist Party. If your kids are on it, the Chinese government likely has their social security number, privacy data, their pictures, and more. Make no mistake, China is using and will use this private information against the American people.
[TikTokは中国共産党の支配下にあります。 あなたの子供がTikTokに興じている場合、中国政府は恐らく彼らの社会保障番号、プライバシーデータ、彼らの写真などを持って(収集して)います。 間違いなく、中国はこの個人情報をアメリカ人に対して使用しており、使用する予定です。(アメリカ人への工作に使う、という意味)]

Mike Pompeo 午前1:34 · 2022年7月3日
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TikTokにセキュリティ上の危険があることが確認されているからポンペオ氏は警報を発しているのである。



<2022年10月9日:追記>
9月下旬に、TikTokを運営する中国企業バイトダンスの従業員が、中国から米国のTikTokユーザーの非公開個人情報(携帯電話番号など)を勝手に盗み見していたことが、同社のウェブ会議の音声記録が漏洩したことで明るみに出た。案の定、である。
TikTokは中国政府が世界中の個人情報の収集用に利用しているアプリである。収集された膨大なデータはAI(人工知能)に依って解析されて西側諸国を分断させる目的で使われるのである。アメリカの報告に依れば、TikTokの動画の中で2割がフェイクニュースであって、社会の分断を煽って不安定化させるために利用されている、とのことである。




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(*1)
母数が同じかどうか不明だが、いずれにしても相対的に「長い」のは間違いないだろう。

(*2)
韓国などは国家が「(アプリを通じて)情報を抜きますよ」と明言もしているほどである。






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