フリーアナウンサー 松原敬生の『今日のエッセイ』

思っている事、感じている事などを自由に綴ります。

みっともない

2008-03-28 19:57:03 | Weblog
先日、高橋尚子選手が今年の東京、大阪、名古屋と三大マラソンに連続出場したいと記者発表し、大変驚きました。会見では「みっともないかもしれないからと最初からあきらめるべきなのか」と逡巡した様な発言もありましたが、昔からの夢を実現したいという思いから発表に踏み切ったそうです。
この「みっともない」という言葉ですが「見せたくもなし」が「見とうもない」更には「みっともない」に変化した様です。
みっともないのうけとり方で、日本では揺れている様に思えてなりません。車内での化粧をはじめ、考えられない様な立居振舞が大手をふって一人歩きしている背景には「みっともなくても他人に迷惑を掛けているわけではないから良いじゃない」という考え方がある様です。これは他人の目を気にしないという大胆さです。
ここでちょっと待ったというのは、伝統的な日本のしぐさの美というのをどうとらえているのか、という事です。しぐさを身につけることによって我々は日本人の精神を伝えてきたのです。こうした精神が崩壊したことが今、社会全体を覆っている思いやりの欠如になっているといったら大袈裟でしょうか?
高橋選手の発言とは全く関係ない話になってしまいましたが、声を枯らして沿道で応援をするファンのあの姿が選手を勇気づけるというのも、しぐさから気持ちを伝えるという、ある種日本独特の美意識ではないでしょうか。