フリーアナウンサー 松原敬生の『今日のエッセイ』

思っている事、感じている事などを自由に綴ります。

一茶

2007-10-19 21:09:42 | Weblog
子供の頃、つまり頭が柔らかかった頃覚えた俳句は、いくつになっても忘れる事はありません。特に動物が登場する句は興味深かったせいかよく思い出します。
「やれうつな 蝿が手をする 足をする」「やせ蛙 負けるな一茶 ここにあり」「雀の子 そこのけそこのけ お馬が通る」などは、共に小林一茶の作品ですが、優しい人だなぁと幼心にも思ったものでした。
小林一茶はその他、のみ、かたつむり、きりぎりす、蝶などの俳句も作っているそうです。
10月19日は1827年に65歳で一茶が亡くなった日です。小動物や自然の命を命題にとりあげている一茶の生涯は、大変厳しいものであったようです。
3歳で実の母と死別するスタートだったのですが、そのあと継母との軋轢あつれきから孤独な子供として過ごしたようです。
往々にしてこうした環境に身を置く時の友達は、周りの小動物になるのかもしれません。
只、「やせ蛙~」の作品は一茶が年老いた時の作品で、自分とやせ蛙をダブらせて強さが欲しいという願望につながる作品だそうです。
それはともかくとしてこの世の中、人間や自然に対する暖かいまなざし、対象を見る眼の優しさをこれから個々で取り戻していかないと大変な事になると思います。
そこで一茶の句を声に出して読んでみると少しは心が洗われるのではないでしょうか。