豆の育種のマメな話

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「ヤツデ」の花が咲く、恵庭の花-35

2023-12-22 13:54:09 | 恵庭散歩<花のまち、花だより、自然観察>

北国に咲く

真冬日が続く北海道、今朝の気温は氷点下18℃。窓際に置いた鉢植えの「ヤツデ」が開花した。白い可憐な五弁花である。

昨年の秋、妻が伊豆下田の草庵から実生苗を持ち帰り移植したもので、樹高は未だ15cmほどだが7枚の葉を着けている。葉の大きさは葉柄10cm、葉身10~15cm、切れ込みは5~7と未だ幼樹だが、その風情は別名「天狗の羽団扇」の面影を彷彿とさせる。

伊豆の里山では庭木として植えられているのをよく見かけた。草庵でも亡父が水場の脇に数株植えてあった。ヤツデは昔から魔除けの意味で庭に植えたと言われ、葉を乾燥させたものは生薬(去痰など)、風呂に入れるとリウマチに効果、蛆用の殺虫剤としても用いたと書籍にあるが、亡父がそんな使い方をしていた記憶はないので鑑賞用だったのだろう。

或いは、関東大震災の折、高熱に囲まれながらも焼失せず、火に耐えた常緑樹(ヤツデ)の話を知っていたのだろうか。

寒い冬を越して、翌春には黒く熟した実をつけると書籍にある。虫媒花とも記されているので、この鉢植えの花が室内で実を結ぶか見届けたい。楽しみが一つ増えた。

  

   

◆ヤツデ(八手、学名 Fatsia japonica、英名Japanese Aralia)

別名はテングノハウチワ(天狗の羽団扇)。ウコギ科ヤツデ属の常緑低木。高さは2~5mほどになり、多くは株立ちする。日陰に強く、日当たりの悪い森林の中にもよく自生する。

葉は20cm以上と大きく掌状に裂けた独特の形をし、長い葉柄を有し互生あるいは輪生。葉の表面につやがあり、裏面はやや白っぽくて若いときには茶褐色の軟毛があり、やや厚手。葉の先端は尖り、葉縁はわずかにギザギザがある。若葉のときは卵形、次に3裂から次第に数を増して7、9、11の深い裂け目をつくる。2年たつと柄ごと落葉。

花は10~12月頃、茎の先に球状の散形花序がさらに集まった大きな円錐花序をつくる。花は直径5mmほどの5弁花で白い。雄蕊は5本、雌蕊(花柱)も5本あり、花びらは小さくて反り返る。

原産地は日本、関東地方南部以西の本州、四国、九州、沖縄に分布。葉はサポニンを含み、去痰など薬効のある生薬にもなる。

「花やつで」は初冬の季語。

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