集歌一〇七八
原文 此月之 此間来者 且今跡香毛 妹之出立 待乍将有
訓読 この月しこのま来たれば今とかも妹し出(い)で立ち待ちつつあらむ
私訳 この月がこの位置の高さまで上って来ると「貴方がいらっしゃるのは、今か、今か」と愛しい貴女は家から出て来て、私を待ち続けているでしょう。
集歌一〇七九
原文 真十鏡 可照月乎 白妙乃 雲香隠流 天津霧鴨
訓読 真澄(まそ)鏡(かがみ)照るべき月を白妙の雲か隠(かく)せる天つ霧(きり)かも
私訳 願うものを見せると云う清らかな真澄鏡のようにくっきりと照るはずの月を淡い白い帯状の雲が隠している。その天の原に立つ霧です。
集歌一〇八〇
原文 久方乃 天照月者 神代尓加 出反等六 年者經去乍
訓読 ひさかたの天(あま)照る月は神代(かみよ)にか出(い)でて反(かへ)らむ年は経につつ
私訳 遥か彼方の天空から照らす月は、神代の時からでしょうか、天空に上り出て、そして沈み往く。遥かな年を過ごしながら。
集歌一〇八一
原文 烏玉之 夜渡月乎 可怜 吾居袖尓 露曽置尓鷄類 (可は、忄+可の当字)
訓読 ぬばたまし夜渡る月をおもしろみ吾が居(を)る袖に露そ置きにける
私訳 漆黒の夜を渡って行く月をしみじみと眺めている。その私の身に被る衣の袖に露が置きました。
集歌一〇八二
原文 水底之 玉障清 可見裳 照月夜鴨 夜之深去者
訓読 水底(みなそこ)し玉さへ清(さや)に見つべくも照る月夜(つくよ)かも夜し深(ふ)けゆけば
私訳 水底にある玉までも清らかに見ることが出来るほどにも、煌々と照る月夜です。夜が更けて行くにつれて。
原文 此月之 此間来者 且今跡香毛 妹之出立 待乍将有
訓読 この月しこのま来たれば今とかも妹し出(い)で立ち待ちつつあらむ
私訳 この月がこの位置の高さまで上って来ると「貴方がいらっしゃるのは、今か、今か」と愛しい貴女は家から出て来て、私を待ち続けているでしょう。
集歌一〇七九
原文 真十鏡 可照月乎 白妙乃 雲香隠流 天津霧鴨
訓読 真澄(まそ)鏡(かがみ)照るべき月を白妙の雲か隠(かく)せる天つ霧(きり)かも
私訳 願うものを見せると云う清らかな真澄鏡のようにくっきりと照るはずの月を淡い白い帯状の雲が隠している。その天の原に立つ霧です。
集歌一〇八〇
原文 久方乃 天照月者 神代尓加 出反等六 年者經去乍
訓読 ひさかたの天(あま)照る月は神代(かみよ)にか出(い)でて反(かへ)らむ年は経につつ
私訳 遥か彼方の天空から照らす月は、神代の時からでしょうか、天空に上り出て、そして沈み往く。遥かな年を過ごしながら。
集歌一〇八一
原文 烏玉之 夜渡月乎 可怜 吾居袖尓 露曽置尓鷄類 (可は、忄+可の当字)
訓読 ぬばたまし夜渡る月をおもしろみ吾が居(を)る袖に露そ置きにける
私訳 漆黒の夜を渡って行く月をしみじみと眺めている。その私の身に被る衣の袖に露が置きました。
集歌一〇八二
原文 水底之 玉障清 可見裳 照月夜鴨 夜之深去者
訓読 水底(みなそこ)し玉さへ清(さや)に見つべくも照る月夜(つくよ)かも夜し深(ふ)けゆけば
私訳 水底にある玉までも清らかに見ることが出来るほどにも、煌々と照る月夜です。夜が更けて行くにつれて。