竹取翁と万葉集のお勉強

楽しく自由に万葉集を楽しんでいるブログです。
初めてのお人でも、それなりのお人でも、楽しめると思います。

万葉集 集歌504から集歌508まで

2020年05月15日 | 新訓 万葉集
柿本朝臣人麿妻歌一首
標訓 柿本朝臣人麿の妻の歌一首
集歌五〇四 
原文 君家尓 吾住坂乃 家道乎毛 吾者不忘 命不死者
訓読 君し家(へ)に吾が住(す)み坂の家道(いへぢ)をも吾は忘れじ命死なずは
私訳 私が貴方の家に住む、その言葉のひびきのような私の住んでいた刑坂の家への道も故郷も、私は忘れることはありません。この命が死なない限りは。

安倍女郎謌二首
標訓 安倍女郎(あへのいらつめ)の謌二首
集歌五〇五 
原文 今更 何乎可将念 打靡 情者君尓 縁尓之物乎
訓読 今更(いまさら)に何をか思はむうち靡き情(こころ)は君に寄りにしものを
私訳 今更に何を物思いしましょう。薄葉が風に従い靡くように気持ちは貴方に寄り添っているのだから。

集歌五〇六 
原文 吾背子波 物莫念 事之有者 火尓毛水尓毛 吾莫七國
訓読 吾が背子は物な念(おも)ひそ事しあらば火にも水にも吾(われ)なけなくに
私訳 私の愛しい人よ、思い詰めないで。何事かがあれば、火の中にも水の中にも、私が居ないところはありません。

駿河婇女謌一首
標訓 駿河(するがの)婇女(うねめ)の謌一首
集歌五〇七 
原文 敷細乃 枕従久久流 涙二曽 浮宿乎思家類 戀乃繁尓
訓読 敷栲の枕(まくら)ゆくくる涙にぞ浮寝(うきね)をしける恋の繁きに
私訳 貴方と寝るはずの、夜床に敷く栲の上で枕からこぼれる落ちる涙の海に水鳥のように漂う。貴方を恋しく思う激しさに。

集歌五〇八 
原文 衣手乃 別今夜従 妹毛吾母 甚戀名 相因乎奈美
訓読 衣手(ころもて)の別(わ)く今夜(こよひ)ゆ妹も吾もいたく恋ひむな逢ふよしを無み
私訳 お互いの衣を体に掛けて寝た、その衣を着て別れていく今夜よ、貴女も私もひどく恋しいが、私が旅立つ明日からは逢う機会がありません。

コメント (2)
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