麒麟琳記〜敏腕Pの日々のつぶやき改題

還暦手前の身の回りのこまごま。
スポーツや映画演劇など。

MOTHER

2008年11月27日 | 鑑賞
 一ヶ月に渡って、紀伊國屋ホールで上演されている劇団青年座の“マキノノゾミ三部作”(11/4~30)の最終作品も、なんとか観ることができた。

【文中敬称略】

 与謝野晶子をキムラ緑子(劇団M.O.P)、与謝野鉄幹を山路和弘(劇団青年座)・・・2劇団を代表する二人がどんな絡みを見せてくれるかが大いに注目された舞台は、また3作品とも両劇団の役者が出演しているけれど、中でも混成度の高い『MOTHER』への期待感は大きかった!

 そんな作品を無理矢理サッカー観戦記みたく綴ってみましょう。

                 

 まず先発は。。。
 FW=与謝野鉄幹
    (主にポストプレーヤーとして)
    与謝野晶子
    (シャドーストライカー兼司令塔)
 MF=北原白秋
    石川啄木
    佐藤春夫
    平野萬里
    (以上四人をスクエアーに配置)
    菅野須賀子
    (ボランチ)
 
 DF=平塚明子(センターバック)
    刑事・蕪木
    刑事・安土
    (以上二名がサイドバック)

 GK=登場せずの女中さんや子供たち

 リザーブ=大杉栄

 以上、フォーメーションでいうと3-5-2。晶子がやや下がってトップ下気味なので3-5-1-1と言う方が正しいか…。

【前半】序盤、いわゆるボールが足につかない時間が続く。白秋(綱島郷太郎/青)-啄木(奥田達士/M)-春夫(川上英四郎/青)-萬里(田島俊弥/青)という、日本文壇の輝ける“黄金の中盤”は、それぞれの仕事を積極的にこなそうとする気持ちは見えたが、ボールは思うようには繋がらず、魔の時間帯(開始から5分)に、まさかの失点を喫す。0-1。
 ボランチの須賀子(那須佐代子/青)、CB平塚(遠藤好/青)の押し上げから少しずつペースを握りながらも得点には至らずハーフタイムに…。

【後半】開始早々、自陣でボールを奪った晶子は、低い位置から寿賀子とのワンツーの交換を繰り返し、一気に敵のラインを突破すると、鮮やかな同点弾を放ち、1-1。
 ここで須賀子に代えて大杉(大家仁志/青)を投入。がアナーキストの二人はルール無視の同時プレイ。がつがつした大杉のドリブルから逆転に成功! 
 完全にゲームの主導権を握ると、サイドバックの蕪木(田中耕二/青)と安土(永滝元太郎/M)も加えた波状攻撃で3-1。
 終盤には鉄幹-晶子が重厚なテクニックを見せつけ、ダメ押しの4点目。
 4-1。
 『MOTHER』の完勝
 (俳優名のあとの青=青年座、M=M.O.P)

                 

 まだ公演が残っているので、こんな書き方になりましたが、大変ハイクオリティな作品だと思いました。
 (以下、若干ネタバレあります&役名でなく俳優名で綴ります)

 序盤のいわゆる人物紹介。やや青-Mのプレイスタイルの違いからかチグハグさを感じましたが、それは少々ホンが冗長だったきらいもあったでしょうか。

 一転、二幕は幽霊になった那須とキムラのシーンが実に良く、そこに大家が加わったあたりから舞台は俄然も面白くなり。。。
 そうそう、ちょいと東演の話になりますが、『萩家の三姉妹』(来年2月)でジェンダーを扱うので少々勉強しているのですが、キムラ-遠藤-那須、女優三人で繰り広げる「女性解放」のやりとりは大いに刺激になりました。閑話休題。
 。。。その那須の幽霊を見せておいて、さらに啄木も幽霊で出すの構成も圧巻で、ここでは渡仏している設定の鉄幹以外が次々登場するのですが、このあたりのとてもアンサンブルは素敵でした。

                
 
 この三部作で、青年座は紀伊國屋演劇賞の団体賞を獲得するのではないだろうか?
コメント
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