【文中敬称略】
序、破と来れば・・・「急」と、多くの方は解られたことでしょう。
「じょ・は・きゅう」と読み、導入-展開-終結という役割というか…構成?
かの世阿弥が、雅楽の曲の構成に用いられていた語を、能楽に取り入れて、構成はもちろん、運足などの所作にも広く使うようになり、能楽の根幹をなす概念にまで高めたのが「序破急」。
なんか、音の響きもカッコいいですよね
てなわけで能楽の言葉ってイメージが強いですが、彼が「芸道一般に通ずる」と書いた影響か、生花や茶道、連歌などにも取り込まれているらしいっす。
世阿弥、さすが
さて能にも精通している篠本賢一(故観世榮夫に十七年間師事)演出の『天守物語』は、劇場に能舞台を思わせる正方形の舞台空間を置き(篠本は美術も担当)、本編の前に短編二本の朗読を置いたが、最初の『簑谷』ではまさに能の運足を用いて、これから我々が誘われる泉鏡花の独特の世界への見事な導入としていた。
さて、『天守』本編で言えば、とにかく早野ゆかりが圧巻であった。
さすが名門・俳優座の中堅俳優!
白鷺城に棲む美しい妖怪・富姫といえば、ご存知・坂東玉三郎が舞台は勿論、自らのメガホンで映画を撮り、そのどちらでも演じている(映画では舌長姥も)ことで有名だが、初演は劇団新派で、その富姫=花柳章太郎は毎日演劇大賞を受賞している。
しかも演出は舞踊家の伊藤道郎と千田是也の兄弟。
そう、言うまでもなく千田是也は新劇世界の巨人で、俳優座の創立同人の一人である。
早野にはそのDNAが流れている。
ただ、そんなDNAなどおかまいなしに、播州姫路・白鷺城の天守第五重の奇異妖変さながら魔所の主・冨姫を、早野は妖艶さと茶目っ気と純真さと狂気をもって、銀座みゆき館でアデヤカに舞った。
名門・俳優座では、そのシステムである的確なパスや前掛かりのプレスを堅実にこなす彼女が、遊戯空間というチームにあっては、フィールドのど真ん中でゲームをコントロールし、持つべき時は一人で長い長いドリブルを仕掛けて、オーディエンスを大いに湧かせた!!
されど独り舞台であったのとは違う。
舌長姥の菅野かおると朱の盤坊の岡本高英は、さすが遊戯空間メンバーだけあって、個性的な役を自分というフィルターを通して軽やかに魅せて、演出家の狙いを具現化していたし、冨姫に仕える薄(すすき)を演じた宮崎稲穂の女形のインパクトはまた、舞台全体のアクセントにもなっていた。
再び演出に目を戻せば・・・本編にも能の要素は散見されたが、それは鏡花の世界観ととても合っていた。
そんな座組に初めての外部出演となった古田は、大いに勉強になったことと思う。
東演ではFWかトップ下を務めることが多いが、今回の客演ではサイドバックを担って、日下範子とともに献身的に汗を流した。
是非、劇団にフィードバックしてもらいたい。
さあ、篠さん!
来月半ばからは東演の方をよろしくです
序、破と来れば・・・「急」と、多くの方は解られたことでしょう。
「じょ・は・きゅう」と読み、導入-展開-終結という役割というか…構成?
かの世阿弥が、雅楽の曲の構成に用いられていた語を、能楽に取り入れて、構成はもちろん、運足などの所作にも広く使うようになり、能楽の根幹をなす概念にまで高めたのが「序破急」。
なんか、音の響きもカッコいいですよね
てなわけで能楽の言葉ってイメージが強いですが、彼が「芸道一般に通ずる」と書いた影響か、生花や茶道、連歌などにも取り込まれているらしいっす。
世阿弥、さすが
さて能にも精通している篠本賢一(故観世榮夫に十七年間師事)演出の『天守物語』は、劇場に能舞台を思わせる正方形の舞台空間を置き(篠本は美術も担当)、本編の前に短編二本の朗読を置いたが、最初の『簑谷』ではまさに能の運足を用いて、これから我々が誘われる泉鏡花の独特の世界への見事な導入としていた。
さて、『天守』本編で言えば、とにかく早野ゆかりが圧巻であった。
さすが名門・俳優座の中堅俳優!
白鷺城に棲む美しい妖怪・富姫といえば、ご存知・坂東玉三郎が舞台は勿論、自らのメガホンで映画を撮り、そのどちらでも演じている(映画では舌長姥も)ことで有名だが、初演は劇団新派で、その富姫=花柳章太郎は毎日演劇大賞を受賞している。
しかも演出は舞踊家の伊藤道郎と千田是也の兄弟。
そう、言うまでもなく千田是也は新劇世界の巨人で、俳優座の創立同人の一人である。
早野にはそのDNAが流れている。
ただ、そんなDNAなどおかまいなしに、播州姫路・白鷺城の天守第五重の奇異妖変さながら魔所の主・冨姫を、早野は妖艶さと茶目っ気と純真さと狂気をもって、銀座みゆき館でアデヤカに舞った。
名門・俳優座では、そのシステムである的確なパスや前掛かりのプレスを堅実にこなす彼女が、遊戯空間というチームにあっては、フィールドのど真ん中でゲームをコントロールし、持つべき時は一人で長い長いドリブルを仕掛けて、オーディエンスを大いに湧かせた!!
されど独り舞台であったのとは違う。
舌長姥の菅野かおると朱の盤坊の岡本高英は、さすが遊戯空間メンバーだけあって、個性的な役を自分というフィルターを通して軽やかに魅せて、演出家の狙いを具現化していたし、冨姫に仕える薄(すすき)を演じた宮崎稲穂の女形のインパクトはまた、舞台全体のアクセントにもなっていた。
再び演出に目を戻せば・・・本編にも能の要素は散見されたが、それは鏡花の世界観ととても合っていた。
そんな座組に初めての外部出演となった古田は、大いに勉強になったことと思う。
東演ではFWかトップ下を務めることが多いが、今回の客演ではサイドバックを担って、日下範子とともに献身的に汗を流した。
是非、劇団にフィードバックしてもらいたい。
さあ、篠さん!
来月半ばからは東演の方をよろしくです