Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

ウルトラマンコスモス 3部作

2013-06-24 | 映画(あ行)

■「劇場版ウルトラマンコスモス The First Contact」(2001年・日本)

監督=飯島敏広
出演=赤井英和 東海孝之助 藤村俊二 中山エミリ

 2002年の最初の鑑賞作がこれ!とは。もしかして今年の僕は”自宅の人”となる?のだろうか・・・・。でも観たかったんだよね、実は。TVシリーズも 子供と毎週見てるし。ウルトラマンコスモスのいいところは、怪獣たちが常に悪だとは限らないことだ。主人公が所属するチーム・アイズ(TVシリーズ)も怪獣の捕獲・保護を目的としており、平和的・人道的解決が最優先である。力だけが平和を守る手段ではないというポリシーが一貫している。ルナモード(青)のコスモスは慈悲の心を持つウルトラマン。コロナモード(赤)は力で対抗せねばならない相手のときに出てくるのだ。

 この劇場版はTVシリーズの前日談にあたるエピソード。少年時代のムサシ隊員がコスモスと初めて出会う話になっている。敵はおなじみバルタン星人で、地球への移住を要求してくるのだが最終的に全面対決となる。バルタンの子供たちは地球の子供たちと共に平和的解決を望むのだが・・・・。子守歌でバルタン星人を眠らせたり、舞の海が"raiden"の名前で登場したりと笑っちゃうところもあるけれど、全編に貫かれたテーマがしっかりと残る良質のお子さまエンターテイメントだ。大人に是非チェックして欲しいのは、初代ウルトラマンの面々がチョイ役で出演していること。それにコスモスのアクション!。カンフー?合気道?。

(2002年筆)




■「劇場版ウルトラマンコスモス2 THE BLUE PLANET」(2002年・日本)

監督=北浦嗣巳
主演=杉浦太陽 斉藤麻衣 西村美保 風見しんご

 昨年劇場公開時に惜しくも見逃していたが、やっと観られた。何せ杉浦太陽クンの冤罪事件騒ぎで公開すら危ぶまれていた映画、おまけに北九州市ロケだけに、観たくて仕方なかったんだけどね。それで実際に観た印象は、思った以上に大人の鑑賞に堪える映画だということ。それは怪獣とのファイトシーン以外のドラマの作りがきちんとしているからだろう。

 惑星の環境を破壊して支配する邪悪な宇宙怪獣サンドロスと、その配下のスコービスによる地球侵略が大きな意味での物語の中心。従来のウルトラマンシリーズならば勧善懲悪に徹して終わるところだが、ここに怪獣に故郷を滅ぼされた異星人とのコミュニケーションが加わり、物語をスリリングにする。「コスモス」シリーズの、怪獣退治よりも保護、敵と見なされる相手であろうともまずは共存をめざす、という路線は今回は異星人に向けられている。この異星人たちが地球の海底に住んでいるという設定は、「ウルトラセブン」のノルマントを思い出させるじゃない。大人の心をくすぐるよね。異星人シャウ役、斉藤麻衣チャンは上手。「千年の恋」の紫の上役(少女時代)の娘だけど、きっと将来活躍するだろうな。今後の成長が楽しみ。

 住んでいる者からすると北九州ロケは”よくやるなぁ・・・”と、やや気恥ずかしささえ感ずる。何せ日本列島の上に張られるバリヤーの発射基地が北九州空港!。スコービスが小倉の市街地を襲うシーンでは、小倉駅(「銀河鉄道999」のメガロポリスステーションにそっくり!)は壊される、メディアドーム(多額の費用をかけた競輪場!)は吹っ飛ぶ、小倉城は砂になる。とどめは「ムサシ!今すぐスペースワールドに来て!」だもんね。北九州宣伝映画としては屈指の傑作。北九州市役所横を逃げる人々をバックに少年が「ウルトラマンコスモス、きてくれるんやろう?」と九州弁丸出しなのが、なんかいいよね。

(2003年筆)




■「ウルトラマンコスモス vs ウルトラマンジャスティス The Final Battle」(2003年・日本)

監督=北浦嗣巳
主演=杉浦太陽 吹石一恵 市瀬秀和 鈴木繭菓

 劇場版「コスモス」第3弾。地球の全生命をリセットするという”宇宙正義”の決定に、我らがコスモスと春野ムサシが地球を守るために戦う。劇場版の前2作をきちんと観ていないと話についていけない、まさに「コスモス」ファンの為の御礼映画。TVシリーズでお馴染みの面々も、劇場版前2作の登場人物たちも登場する。今回は”宇宙正義”側のウルトラマンジャスティスとコスモスが戦うショッキングな展開から始まる。だがジャスティスは、少女とのふれあいや怪獣たちが脅威に立ち向かう姿を目にして、心が揺らぎ始める。このあたりはなかなかいい場面で、特にリドリアス、ボルギルス、ゴルメデそれにドンロンの4怪獣が、グローカーに立ち向かう姿にはこっちまでグッときてしまう。

 だが、この映画の主たる客層である未就学児童にはチと辛いお話だろう。ジャスティスの葛藤をちゃんと理解できるかはやや疑問だし、全体的に漂う悲壮感が子供には嫌なムードではなかろうか。話のスケールも大きいし。その点では環境問題を根底に置きながら勧善懲悪に徹した前作の方が僕は好きだな。「スターウォーズ」や「マトリックス」、「インデペンデンス・デイ」を思わせる描写はなかなか楽しめたけど。このシリーズが投げかけたメッセージは、今までのウルトラシリーズの中でも異色だ。本当は敵なんかいない。力でねじ伏せるのが正義ではなく、共存の道を探ることが大事。イラク戦争という現実社会を考えると、この3年間に「コスモス」が訴えてきたことは強く心に響くではないか。

(2004年筆)




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