Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

ハイ・フィデリティ

2022-05-21 | 映画(は行)

◼️「ハイ・フィデリティ/High Fidelity」(2000年・アメリカ)

監督=スティーブン・フリアーズ
主演=ジョン・キューザック ジャック・ブラック リサ・ボネット ジョエル・カーター キャサリン・ゼダ・ジョーンズ

音楽オタクの中古レコード店主の一方的な自己分析と失恋遍歴を延々聞かされる映画。終始カメラ目線のジョン・キューザックが観客に語りかけ、大失恋トップ5をランキングつけて紹介する。ところどころウザっ!と感じて、「でもさ、彼女側の気持ちはどーなん?」と画面に向かってジョンを諭してやりたい気持ちになりつつ(それって、映画に引き込まれているってことでもあるのだけど・笑)、ことの成り行きを見守る113分。

長く映画ファンやってると、こうした観客に語りかけてくる映画にも何本か出くわしている。一方的な解説付きでストーリーを追うのはウディ・アレン作品みたいだし、80年代育ち組は偏った持論を押しつけてくる主人公に「フェリスはある朝突然に」あたりを思い浮かべるのではないだろか。この両方がミックスされてる感覚。過去に失恋した5人に会いに行く展開は、往年の名作「舞踏会の手帖」?いや、それは考えすぎだww

個性的な登場人物たち、何よりもジャック・ブラックの芸達者ぶりが素晴らしい。冒頭いきなり店に現れて、カトリーナ&ウェイブスのWalking On Sunshineを流して踊り狂う姿に心を持っていかれた🤣。レコード店で踊るおバカに心くすぐられるのは、ジョン・クライヤー(「プリティ・イン・ピンク」)以来やぞ。ラストでマービン・ゲイのLet's Get It Onを歌う姿にまたやられました。

スティービー・ワンダーのI Just Called To Say I Love You(心の愛)を買い求めに来た客に、「駄作だ」と言い放つ最悪の(でもサイコーな)接客に笑い転げる。昔友達としレンタルビデオ屋になるなら、どんな店主になる?と話してたことがあって、僕の答えは、
「タイタニック観るようなヤツはうちの客じゃねえ!って言ってみたい!」
あー、まさにこれだよ。ジャックありがとう。ディスっておきながら、映画の最後はスティービーの楽曲で締めくくる選曲がなんとも粋じゃん。これこそ音楽への敬意。

トップ5をいろいろ選出する場面が出てくる。製作当時なら、音楽オタクが知識をバトルさせてるウザさがあったんだろうけど、今やこうした偏った持論はTwitterで日々絶え間なく、しかも一方的に流れてくる。でも映画に出てくる彼らは、それを面と向かって語り合えてるところがいいし、音楽の趣味を切り口にリアルで人とつながっていく感覚が、コロナ禍の今だからか、妙に羨ましくも見える。そして自分で選曲したカセットを作る姿がなんとも懐かしくて。今はプレイリストが作れても、それを手渡しする場面なんてない。それでも、今も昔も音楽は人をつないでくれる大切なものなのだ。それは変わらない。

製作資本はアメリカだけど、製作会社は英国ワーキングタイトル社。この会社の映画はフェバリット作が多い。この映画も全体的にはかなり好きなんだけど、音楽ネタの楽しさが心に残って、主題のラブコメ部分は、モテない男のひがみ根性なのか(笑)ちょっとノレなかったんでしたw。





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