Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

フェリスはある朝突然に

2011-02-20 | 映画(は行)

■「フェリスはある朝突然に/Ferris Bueller's Day Off」(1986年・アメリカ)

監督=ジョン・ヒューズ
主演=マシュー・ブロデリック アラン・ラック ミア・サラ ジェニファー・グレイ

 ジョン・ヒューズ監督の青春映画は他とはひと味違う。青春映画の魅力は「成長」がキーワードだと思う。主人公はいろんな試練や冒険を経てひとつ大人になっていく。多くの青春映画は2時間の上映時間の中で数ヶ月、数年が経過することが通常だ。しかし、ジョン・ヒューズ監督の青春映画は、描かれる期間がとても短い。たった一夜、たった一日が描かれるだけというものが見られる。「ブレックファスト・クラブ」はその典型。罰として出校させられて作文を書く生徒たちの一日を撮るだけだ。この「フェリスはある朝突然に」も、主人公がズル休みする一日だけを描いている。しかし、何となく一日が終わるだけではない。映画の終わりには、どこか爽やかな風が吹き、主人公は少しだけ昨日までとは違う自分になっているのだ。繰り返される毎日のどの日が、自分にとって大切な一日になるのだろうか。だから一日一日は大事にしないといけないよな。それはジョン・ヒューズ映画の教訓のような気がするのだ。

 そんなことを言いながらも本作は実に不謹慎な映画だ。「フェリスのズル休み大作戦」とでも改題すれば、青少年に「ずる賢く生きよ」と説いているような映画だ。主人公フェリスの行動は、冒頭からもういけ好かない。仮病で親を欺く(妹には見透かされているのだが)。学校の出席データをオンラインで改ざん。友人に恋人の親を名乗らせて早退させてしまう。もう立派に犯罪。当時ものすごく高価だったはずのサンプリングキーボード(イミュレーター?フェアライト?)まで駆使する。リッチなヤツがリッチなことを武器にでかい面する映画。きーっ!許せん。大人たちに管理されることに対する反発は理解できるけど、80年代ってこんな内容をキャアキャア言って観ていたんだな。今改めて観ると唖然とするね。フェリスのズル休みの証拠をつかもうとする校長先生は、(住居侵入は別にして)行き過ぎた人とは思えないし、むしろ被害者だもの。あの手この手の作戦はとっても楽しい。のちに脚本を手がける「ホームアローン」に通ずるところがあるね。

 今しかできないことを楽しんでる。問題あるフェリスの行動ではあるけれど、根底にあるのはそういう精神。それは決して間違いではない。フェリスの度を超した行動に付き合わされた友人キャメロンは、親に従うばかりに生き方を見直すきっかけとなった一日になる(僕のその日の晩、彼がどうなったか気になって仕方がない)。ジェニファー・グレイ演ずるちょっとお堅い妹は、警察署で男性(何とチャーリー・シーン!)と知り合ったことからきっと変わり始めるに違いない。フェリスは・・・きっと何も変わらない。お気楽に楽しまないといけない映画なんだろうけど、今の年齢で観るとマシュー・ブロドリックの印象は決してよくないね。映画には観るべき年齢がある。

 僕がこの映画で好きだったのは、ドイツ祭りみたいなパレードで、山車に乗って Twist And Shout を歌うとこ。恋人役のミア・サラは、トム・クルーズの「レジェンド」でヒロインを演じた女優さん。「タイムコップ」で演じたヴァン・ダムの妻は綺麗だったね。クラスメートにデビュー当時のクリスティ・スワンソン。

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