本書は北朝鮮の金正日の権力掌握から今日に至るまでの権力内部の状況を客観的に記述したもの。最近は北朝鮮の本と言えば、いかにひどい国かということをこれでもかというぐらい書きたてるものが多い。本書はそいう立場ではなく、金正日体制の危うさを冷静に記述しいる。副題は『金正日 破局へ向かう「先軍体制」』だ。民衆の生活は後回しで軍隊を優先するいまのあり方は早晩権力崩壊の要因となるだろう。北朝鮮が直面している今の問題は第一にデノミの失敗による経済的混乱、洪水による食糧不足、第二に金総書記の健康不安と後継者問題。最近金総書記が中国を訪問したことが報じられたが、食糧支援と後継者問題の説明だと言われている。中国は体制崩壊は望んでおらず、生かさぬように殺さぬようにが基本的なスタンス。日本としては拉致問題の解決が急務だが、北朝鮮はいまそれどころではないというのが実情で、民主党政権では無理な気がする。市民派の総理と幹事長では公明正大過ぎて北朝鮮相手に寝技・裏技を仕掛ける外交はとても無理だ。最近の韓国に対する謝罪声明も間が抜けている。政治は真剣勝負だということが分かっていないのではないか。小沢ならあの百戦錬磨のゴロツキ風の面体で何かやってくれそうな気がするから不思議だ。
本書によると「先軍体制」のもと、「苦難の行軍」の時期に生まれた子どもたちが栄養欠乏のために、青年になっても十人のうち二、三人は認知能力が不足して軍隊にも行けない状況になっているらしい。中学生でも小学生ぐらいの体格で、これを年齢破壊現象と言う。先軍が軍を壊すというアイロニー、金正日は何を考えるのか。個人商店じゃあるまいし、子どもを独裁国家の後継者に指名して一族の安定を図るなんて、毛沢東が聞いたら激怒するに違いない。胡錦濤主席は霊媒師に頼んで毛の霊魂と対話して指針を仰ぐべきだ。なんだったら幸福の科学の大川隆法師に頼んでもいい。
あとがきによると本書は最初2009年十月に「金正日未完の終焉 北朝鮮後継体制への道」という題で某出版社から出版される予定だった。しかし、明確な理由もないまま出版中止になった。その後、新潮社から出版されることになったが、最初の「金正日『先軍体制』と後継への道」という題が出版直前に変更された。非常に遺憾なことだという著者のコメントがある。思うに「後継」という言葉が金正日の死を連想させるので、出版社がその筋(朝鮮総連)のクレームを恐れて自粛した可能性がある。逆に言うと総連の力は今でも大きいということだ。
本書によると「先軍体制」のもと、「苦難の行軍」の時期に生まれた子どもたちが栄養欠乏のために、青年になっても十人のうち二、三人は認知能力が不足して軍隊にも行けない状況になっているらしい。中学生でも小学生ぐらいの体格で、これを年齢破壊現象と言う。先軍が軍を壊すというアイロニー、金正日は何を考えるのか。個人商店じゃあるまいし、子どもを独裁国家の後継者に指名して一族の安定を図るなんて、毛沢東が聞いたら激怒するに違いない。胡錦濤主席は霊媒師に頼んで毛の霊魂と対話して指針を仰ぐべきだ。なんだったら幸福の科学の大川隆法師に頼んでもいい。
あとがきによると本書は最初2009年十月に「金正日未完の終焉 北朝鮮後継体制への道」という題で某出版社から出版される予定だった。しかし、明確な理由もないまま出版中止になった。その後、新潮社から出版されることになったが、最初の「金正日『先軍体制』と後継への道」という題が出版直前に変更された。非常に遺憾なことだという著者のコメントがある。思うに「後継」という言葉が金正日の死を連想させるので、出版社がその筋(朝鮮総連)のクレームを恐れて自粛した可能性がある。逆に言うと総連の力は今でも大きいということだ。