忘却への扉

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錆びた刀

2005-02-05 | 平和を
 元の母家の床の間には、古い刀があった。飾ってあるのではなくて、転がっていた。黒い鞘も塗りが剥げ虫も食っていた。
 子供たちが持ち出し遊んでも、叱られることはなかった。錆びた痕はあったが、切れはした。刀を抜く時は、いつも緊張した。傷んだ柄の鮫の皮の感触を覚えている。
 その刀と日清戦争(1894年~朝鮮侵略を競い今の中国・当時の清国と日本軍の戦争)との関りを、祖父が話してくれた。
 いわゆる軍刀ではなく、短く江戸時代の足軽でも持っていそうな刀だった。母家が建て替えられた後も、錆びた刀身だけは残っていたが何時か見なくなった。廃品回収にでも出したのだろう。

 野原一面に咲く花に埋もれかけた一台の錆びた戦車。いま流れているテレビCMの一こまだが、それが願いでしかない現実に見て淋しさを感じる。全ての武器が錆びる時、本当の平和が。