《 試練の9条 問われる安保政策 》 [ 2 ] 【 駆け付け警護 】 《 自衛隊内に戸惑う声も 》 2014/5/25 地方紙記事より
[アフリカ・南スーダンの首都ジュバ。国連平和維持活動(PKО)を展開する陸上自衛隊部隊に、激励に訪れた小野寺五典防衛相が訓示した。「南スーダンは不安定な状況が続いている」「緊張感を持って任務にまい進してほしい」
現地は昨年12月から事実上の内戦状態に陥っている。今年1月には、武装集団がジュバに接近中との情報を受け、隊長が武器と銃弾の携行を命じる緊急事態も起きた。
部隊は本来任務の道路整備ができなくなり、避難民支援に当たっている。政府内には撤退論もあるが、いま日本がPKОに部隊を送っているのは南スーダンだけ。撤退すれば「積極的平和主義」を掲げる安倍政権にとって打撃となりかねず、継続される見通しだ。
「自衛隊は彼らを見捨てるしかない。これが現実だ」。5月15日の記者会見で安倍晋三首相が声を張り上げた。首相は、自衛隊の活動場所と離れた地点にいるボランティアや国連のPKО要員、他国の部隊が武装集団に襲われた場合、自衛隊は救助に行けないと主張。「駆け付け警護」と呼ばれる事例だ。
南スーダンの例でいえば、自衛隊の宿営地の外で避難民が襲われた時には救助できないことになる。PKОでの武器使用基準をめぐっては「厳格すぎる」「手足を縛って送り出されているようなもの」と自衛隊内で不満の声が上がってきた。
集団的自衛権の行使容認には慎重な与党公明党だが、駆け付け警護は対象を文民保護に限って容認する方向だ。
自衛隊内には「当然だ」との反応がある一方で戸惑う声も。ある自衛官は「表立っては不安を口にできないが、任務が拡大し、危険がより身近になるかもしれないということは、みんな理解している」と語る。
30代の陸自隊員は「自分や同僚が現場で実弾を発射するなんて想像できない。本音をいえば、危険な任地に行きたくない」と打ち明けた。
自民党は駆け付け警護で、PKОに参加する他国部隊も対象に含めたい考えだ。公明党では、他国軍との共同行動が際限なく広がっていく恐れから反対する声が強い。
19日に東京都内で開かれた集会。官房副長官補を務めた元防衛官僚の柳沢協二氏が「首相は他国部隊の保護に言及したが、民間人(文民)を守るのとは全然意味が違う」と強調した。「相手の武装集団と本気で敵対するということだ」と柳沢氏。本格的な戦闘を覚悟しなければならないと警鐘を鳴らした。]
[アフリカ・南スーダンの首都ジュバ。国連平和維持活動(PKО)を展開する陸上自衛隊部隊に、激励に訪れた小野寺五典防衛相が訓示した。「南スーダンは不安定な状況が続いている」「緊張感を持って任務にまい進してほしい」
現地は昨年12月から事実上の内戦状態に陥っている。今年1月には、武装集団がジュバに接近中との情報を受け、隊長が武器と銃弾の携行を命じる緊急事態も起きた。
部隊は本来任務の道路整備ができなくなり、避難民支援に当たっている。政府内には撤退論もあるが、いま日本がPKОに部隊を送っているのは南スーダンだけ。撤退すれば「積極的平和主義」を掲げる安倍政権にとって打撃となりかねず、継続される見通しだ。
「自衛隊は彼らを見捨てるしかない。これが現実だ」。5月15日の記者会見で安倍晋三首相が声を張り上げた。首相は、自衛隊の活動場所と離れた地点にいるボランティアや国連のPKО要員、他国の部隊が武装集団に襲われた場合、自衛隊は救助に行けないと主張。「駆け付け警護」と呼ばれる事例だ。
南スーダンの例でいえば、自衛隊の宿営地の外で避難民が襲われた時には救助できないことになる。PKОでの武器使用基準をめぐっては「厳格すぎる」「手足を縛って送り出されているようなもの」と自衛隊内で不満の声が上がってきた。
集団的自衛権の行使容認には慎重な与党公明党だが、駆け付け警護は対象を文民保護に限って容認する方向だ。
自衛隊内には「当然だ」との反応がある一方で戸惑う声も。ある自衛官は「表立っては不安を口にできないが、任務が拡大し、危険がより身近になるかもしれないということは、みんな理解している」と語る。
30代の陸自隊員は「自分や同僚が現場で実弾を発射するなんて想像できない。本音をいえば、危険な任地に行きたくない」と打ち明けた。
自民党は駆け付け警護で、PKОに参加する他国部隊も対象に含めたい考えだ。公明党では、他国軍との共同行動が際限なく広がっていく恐れから反対する声が強い。
19日に東京都内で開かれた集会。官房副長官補を務めた元防衛官僚の柳沢協二氏が「首相は他国部隊の保護に言及したが、民間人(文民)を守るのとは全然意味が違う」と強調した。「相手の武装集団と本気で敵対するということだ」と柳沢氏。本格的な戦闘を覚悟しなければならないと警鐘を鳴らした。]