忘却への扉

 日記? 気づいたこと 何気ないひとこま 明日への伝言 願い 子供たちに 孫たちに そしてあなたに・・ 

戦争と徴兵制に向かうのか

2014-07-31 | 平和を
 《 岐路の憲法 自衛隊60年模索の先に 》 [ 5 ] 【 自衛官確保 】 《 少子化や安保論議が影 》 2014/7/27 地方紙記事より
 [札幌市の専門学校で6月、自衛官候補生採用試験の模擬面接が行われた。「東日本大震災の活動を見て自衛隊に憧れた」「国を守りたい」。志望動機を語る学生たちに、面接官役を務めた自衛官が「本音はどう」と問い掛けた。
 14人中、自衛隊を第1志望に挙げたのは6人。面接が終わった後、さらに「本音」を取材すると実は1人だった。
 ある学生は打ち明けた。「集団的自衛権の話をニュースで見た。危険なところに行くかもしれないと思うとやっぱり怖い」
 少子化で若者の人口が大幅に減る中、自衛隊が人材確保に苦しんでいる。安定した雇用の受け皿として景気低迷時に存在感を示す自衛隊にとって「アベノミクス」はむしろ逆風だ。
 募集対象の18~26歳層は1994年の1700万人から減少が続き、2012年度は35%減の1100万人。一方、自衛官の採用数は年度ごとの予算定員により変動するが、1万人前後を確保しなければならないのは94年当時と変わらない。
 募集は全国に50カ所ある自衛隊地方協力本部が担当する。駅の近くに立ち「お兄さん、いい体だね。自衛隊に入らないか」と勧誘していたのは昔の話。今は広報官が学校を回って説明会を開き、試験対策のアドバイスをすることも。艦隊の体験搭乗など若者の興味を引き付ける活動も欠かさない。
 東日本大震災での救助活動が注目されたこともあり、12年の内閣府調査で高感度は91%と過去最高になった。
 しかし人事担当の防衛省幹部は「関心を持つ学生は多いけど、危険という印象で入隊を反対する親が多くてね。東日本大震災後も志願者は増えなかった」とぼやいた。
 不発弾、猛毒サリンの処理は日額1万400円。弾道ミサイル破壊措置命令で警戒監視に当たった場合は同1100円…。防衛省は志願者数維持や士気向上を図るための待遇改善策として、在職中の特別手当を年々拡大している。だが、それは危険性や負担の重さを物語るものでもある。
 加えて安倍政権が決めた集団的自衛権の行使容認など自衛隊任務の拡大も、募集に影響を及ぼしかねない。
 「戦争に向かっている。このまま進んだら自衛隊を辞める人も出てきて、徴兵制になるのは目に見えている」。4月に東京都内で開かれた集団的自衛権をテーマにしたシンポジウム。パネリストからそんな意見が出た。定員24万人の巨大組織を維持するための模索は、どこへたどり着くのか。]  (敬称略)  =この項おわり

 【 自衛官の人数 = 2012年度末の定員数は約24万7千人。実際は約22万4千人で、充足率は約90%。内訳は陸上自衛隊が約13万6千人、空自、海自が各4万2千人余りなどとなっている。女性は全自衛官の約5・5%の約1万2千人で、防衛省は採用拡大を狙う。 】
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

隊員のリスクはぐらかす首相

2014-07-31 | 共に
 《 自衛隊の行方 》 【 殺し殺される組織にはするな 】 2014/7/27 地方紙「社説」より
 [自衛隊が「自衛」隊でなくなってしまう。他国への攻撃に対する武力行使が最終的には自国を守る、という政府の詭弁(きべん)は、現場の自衛隊員にどう映っているのだろうか。
 安倍晋三首相が集団的自衛権の行使容認を閣議決定したことで、自衛隊の役割が激変する可能性が高くなった。戦後の日本がずっと守ってきた専守防衛を放棄したことで、海外の「戦場」に赴く可能性が否定できなくなったからだ。
 自衛隊発足から60年を迎える今年。国防策に関わる情報公開を抑制する特定秘密保護法が成立。武器輸出三原則も見直された。国は海外での武力行使に向かってひた走っているかのようだ。政府・与党の独走ぶりは危険であり、安倍首相には改めて冷静な姿勢を求めたい。
 いざ集団的自衛権の行使になれば、最前線に立つのは自衛隊員だ。若い隊員が命を落としかねない事態を、何としても避けなければならない。
 陸上自衛隊の前身は1950年発足の警察予備隊、その後海上自衛隊の前身である保安庁が組織された。54年には自衛隊法が施行、航空自衛隊を加え現在の形となったのだ。複雑な生い立ちを持つだけに、時の政府の方針次第で不安定な時代を送ってきた。
 戦争放棄と戦力不保持をうたう憲法9条との整合性を問われることになったのは当然であろう。9条は「自衛権」まで否定しないという国の見解は、必要最小限の個別的自衛権の行使は「戦力」に値しないとの解釈も生んだ。
 国際情勢の変化に伴い、91年の湾岸戦争の終結後には掃海任務を遂行。92年には国連平和維持活動(PKО)協力法が成立、2004年にはイラクへ派遣されるなど、存在感を増してきた。国民の間でも、一定程度認知されるようになったのは事実だ。
 こうして「専守防衛」の枠で自衛隊を運用してきた歴代内閣の手法を覆したのが安倍首相。「国民の生命と財産を守る」というが、ならば自衛隊員は国民ではないのか。
 先の衆参予算委員会の集中審議で安倍首相は、自衛隊員のリスクについての質問をことごとくはぐらかした。「安全に確保することは言うまでもない」 「現在戦闘行動をしているところに行く危険がないのは明確だ」―。何も担保しない空疎な言葉だ。命を預かる指揮官としての責任がまったく感じられない。
 具体的な危険やそれに対する覚悟を表明できないのであれば、「集団的自衛権行使」の閣議決定を白紙に戻すべきだ。海外紛争などへの資金提供が「小切手外交」とやゆされるが、国民の血税である。何を恥じることがあろう。
 何より、戦後は一滴の血も流していない「平和国家」の誇りこそ大切にしたい。]
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

君と考える 11

2014-07-31 | 平和を
 《 新・戦争と平和 君と考える 11 》 【 9・11の記憶 】 《 報復の道 運命変える 》 2014/7/26 地方紙記事より
 [2001年9月11日にアメリカで中枢同時テロと呼ばれる大事件が起きました。ニューヨークの世界貿易センタービルに2機のジェット機が突っ込み、ビルは南棟、北棟とも完全に崩れ落ちました。3機目は首都ワシントン近くの国防総省の建物に突っ込み、4機目はペンシルバニア州シャンクスビルに墜落。いずれの機もアルカイダと呼ばれるテロ犯に乗っ取られたとされています。
          忘れぬ日
 君たちはおそらく、そのときのテレビニュースを生で見た記憶はないと思いますが、私にとっては、一生忘れられない日です。君たちも、この2001年9月11日という日付だけは覚えておいてください。英語では「ナイン・イレブン」、日本語では「きゅう・てん・いちいち」などと略して呼ぶこともあります。この日を境に多くの人の運命が変わった日でもあります。
 当時、共同通信の外信部で、国際ニュースを扱う仕事をしていた私は、夜10時ごろに家に戻り、何気なくテレビを付けました。すると、政界貿易センターから、黙々と煙が上がっている映像が目に飛び込んできました。画面にくぎ付けになり、「会社に戻って仕事を手伝わなければ」と私が思ったのと、会社からの緊急呼び出しの電話が鳴ったのはほぼ同時でした。
          懸念的中
 会社に戻ると、編集局は大事件の発生に騒然としていました。
 私の顔を見るなり、外信部の先輩が言いました。「これからどうなるか、今の段階で分かることを15分で解説記事にしてくれ」。15分とは無茶な注文ですが、新聞の朝刊や夕刊の締め切り間際にはよくあることでもあります。
 一つだけ確実だと思ったことがありました。それは、アメリカが、この攻撃をした相手に必ず報復、つまり武力でやり返すだろうということでした。そこで私は「アメリカはきっと報復する。戦争になるかもしれない」という内容の短い記事を急いで書きました。
 結果的に記事の見通しは当たり、アメリカはアフガニスタンやイラクで戦争を始めました。「対テロ戦争」と呼ばれた戦争です。
 ただ、いまでも、その日に書いた記事について考えます。たとえ、私の記事がアメリカの判断を変えるにはあまりに無力であったとしても「それでも、戦争だけはやめるべきだ」と書くべきだったのではないかと。
 記者の仕事の中で、最も大切なことは戦争を取材すること(これも重要な仕事ですが)ではなく、戦争が起きないように平和の尊さを伝え、紛争解決のためには外国との話し合いを促すことだと思うからです。その思いは、その後アフガニスタンやイラクを訪れて取材する中でさらに深まっていきました。] (共同通信編集委員 石山永一郎)
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

若者よ危機感を持て

2014-07-31 | 共に
 《 こだま 読者の広場 》 地方紙「投稿欄」より 【 悲惨な戦争 忘れられる危機 】 女性・主婦 (61歳)

 ◇6月28日付本紙の「国背負った出撃 『地獄』」の記事を読んだ。同時期、20歳の父も戦闘機に乗っていた。父の死後、遺品を整理しているとパイロット姿の若き父の写真があった。生き残ったことを苦しみ、多くを語らず、村を見おろす場所に大師堂を建立して朝晩熱心に読経していた後ろ姿を覚えている。
 ◇母は大阪で女学校に通ったが、学徒動員で軍需工場で働かされた。空襲で防空壕(ごう)に逃げたり田舎に疎開したりした。生家の庭先には食料を求め物々交換しようと人々が列を作ったそうだ。また、軍需資材として金属という金属は寺の鐘から個人の指輪まで出したという。
 ◇戦争体験した親に直接聞いたわれわれ世代でも悲惨さが想像しかねるのに、今の若者たちに危機感はないだろう。せめて、時の政権が情報統制などで不利な事を隠蔽(いんぺい)することがないよう、そして国民が反論もできない社会にしないでほしい。私たち力のない者はこの国以外行き場はない。いつまでも平和で安全に暮らせる国であってほしいと願う。]
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

米国に笑われる再稼働ありき

2014-07-30 | 平和を
 《 米科学機関 》 【 米の避難計画見直しを 】 《 福島原発 事故報告書 弱者対策を強調 》 2014/7/25 地方紙記事より
 [ 【ワシントン共同=吉村敬介】 米科学アカデミーは24日、東京電力福島第一原発事故に関する報告書を公表し、東電や当時の経済産業省原子力安全・保安院が適切な津波対策を怠ったため被害が深刻化したと指摘した上で、福島の事故を教訓に米国内の避難計画の見直しを検討するよう求めた。 
 報告書は米国の原発の安全性を向上するため米議会がアカデミーに作成を要請。原発の再稼働に向けた動きが進む日本でも、原子力防災の在り方をめぐる議論に影響を与えそうだ。
 報告書では福島事故を受け、米国内で原発から半径16㌔圏が対象と定められている避難計画策定の範囲が不十分になる可能性を指摘。事業者や米原子力規制委員会(NRC)に緊急時の対応計画を見直すよう求め、子どもや病人、高齢者に特別な注意を払うことが必要だと強調した。
 福島事故の評価では、想定を超す津波が原発を襲う可能性について東電や保安院が真剣に受け止めず、電源喪失時に必要な非常用発電機を高台に移すなどの対策を怠ったと指摘した。]

 【 教訓棚上げの日本と対照的 】
 [米科学アカデミーが24日公表した報告書は、福島の原発事故で露見した住民避難対策などの不備を深刻に受け止め、米国の原子力業界や関係機関に避難計画などの見直しが必要ないか検証するよう求めた。一方、事故当事国の日本は、福島の事故で得た教訓に十分に向き合わないまま原発の再稼働を急いでいる。
 報告書は東京電力福島第1原発事故で、原発から30㌔以上離れた地点でも深刻な汚染があったと指摘。米国で避難計画策定が義務付けられる防災対策重点区域(EPZ)は原発から半径10㍄(約16㌔)圏と定められており、この規模が適切かどうか検証すべきだと提言した。
 このほか、福島事故で高齢者や入院患者の避難に問題があった点も重視。米原子力規制委員会(NRC)や、原発敷地以外の避難計画を検証する連邦緊急事態管理局(FEМA)などに対し、体制の点検や計画の実効性を再検証するよう求めた。
 一方、日本では事故後の規制見直しで防災対策の重点区域が半径10㌔圏から30㌔圏に拡大したものの、避難計画の策定は各自治体に任され、計画の内容をチェックする仕組みも国側にはない。
 規制委の審査も避難計画は対象外で、実際に事故が起きた場合の責任の所在が曖昧なまま再稼働の手続きが進んでいる。]
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

政治の劣化を生む元凶

2014-07-30 | 平和を
 《 岐路の憲法 自衛隊60年模索の先に 》 [ 4 ] 【 文民統制 】 《 政治劣化 消えた緊張感 》 2014/7/25 地方紙記事より
 [「私は戦前に生を受け、終戦時は小学校の低学年だった」。4月4日の参院本会議で民主党議員の元防衛相北川俊美(76)が自らの戦争体験を触れると、自民党議員から「いちばんたちの悪い世代だ」とやじが飛んだ。
 先の戦争への深い反省から再出発した日本。軍部が暴走した戦前の轍(てつ)を踏まないように、自衛隊の活動をチェックし管理する責務が内閣と国会にはある。シリビアンコントロール(文民統制)だ。国会は安全保障政策の検証の場でもある。
 それを担う国会議員のうち終戦より前に生まれたのは69人で、全議員722人の1割未満。父親を戦争で亡くした古賀誠、空襲の被害を知る河野洋平ら自民党の重鎮たちも相次いで引退し、世代交代が進んだ。
 ヤジからは、戦中世代の話に真剣に耳を傾けようという姿勢がうかがえない。北沢は「国会議員には歴史に学び自分の中に織り込める能力がないと困る」と嘆く。
 6月11日の党首討論。民主党代表の海江田万里はテーマを集団的自衛権問題に絞って安倍晋三首相を追及。しかし安倍に「(民主党の)立場はどこにあるのか」と切り返され、攻めきれなかった。みんなの党代表の浅尾慶一郎は「期限を切って決めていく姿勢は評価したい」とエールを送ってみせた。野党の存在感はぼやけ、論戦は低調だ。
 党首討論を見た防衛省幹部が漏らした。「われわれの心配することではないが、与野党の関係は今のままでいいのか」
 社会党政審会長や社民党副党首を歴任した伊藤茂(86)は「物足りないね」と切って捨てる。かつての社会党にとって、国会での安保論戦は最高の「見せ場」だった。識者の知恵も借りながら、入念に準備して望んだことを思い出すという。
 元防衛官僚で1992年に退官した新潟県加茂市長の小池清彦(77)は、6月中旬に東京都内で開かれた集会に参加。集団的自衛権行使容認に向け突き進む安倍政権を批判し「今のような政府答弁だったら昔は国会が止まっていた」と緊張感のなさをやり玉に挙げた。
 法政大教授の山口二郎(政治学)は「自民党よりも右傾化した野党の存在や、自民党の持つ数の力が政治の劣化を生んでいる」と分析する。
 北沢は「憲法9条というしっかりとした歯止めがあるからこそ、防衛大臣をやっているときも強い部隊をつくったり、装備を充実させたりすることをためらわなかった」と振り返る。しかし、その歯止めも集団的自衛権の行使容認によって揺らぎかねない。「今こそ政治がしっかりして、文民統制を機能させないと」。北沢は「力を込めた。]  (敬称略)

 【 文民統制 = 軍事に対し政治が優越するという民主主義国家の大原則。憲法66条は「内閣総理大臣その他の国務大臣は文民でなければならない」と規定している。防衛に関する事務は内閣が担当し、国会が自衛隊の定数や装備などを法律、予算で決める。 】 
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

しっかり政治を監視する

2014-07-30 | 共に
 《 こだま 読者の広場 》 地方紙「投稿欄」より 【 二つの政策 戦争の悪夢連想 】 男性・無職 (74歳)

 ◇少子化対策として安倍晋三首相は「待機児童ゼロ」に取り組むとし、女性の社会進出が日本経済を活性化すると豪語する。一見すばらしい福祉政策のように思える。その一方で、日中、日韓、または南沙(英語名スプラトリー)諸島などの領土問題を連想させながら、解釈変更による実質的な改憲で「集団的自衛権の行使容認」を押し通した。
 ◇一見、全く無関係に思えるこの二つの政策だが、私は次のような戦前戦中の言葉を連想してしまう。「産めよ増やせよ国のため」 「大東亜共栄圏」である。二つの施策が「徴兵制度」を接着剤として合体した時、半世紀以上昔の悪夢が現実のものとなるのではないかと心配になる。
 ◇しかも今、「18歳からの選挙権」が論議のテーブルに上がっている。これは少子化が進行している現在、実質的な徴兵制度布石とも受け取れるのではないか。しっかりとした目で。政治の監視をしていかなければならない。]
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

目立つ無駄使いの荒さ

2014-07-29 | 共に
 《 オスプレイ配備要請 》 【 「負担軽減」を政治利用するな 】 2014/7/25 地方紙「社説」より
 [唐突感が否めない。政府は今週、自衛隊に導入予定の新型輸送機オスプレイ17基を佐賀空港に配備したいと古川佐賀県知事に要請した。
 注目したいのは、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の米海兵隊オスプレイの一時的な配備も想定した点だ。沖縄の基地負担軽減の「目に見える成果」こそ真の狙い。そう断じざるを得ない。
 11月に迫った沖縄県知事選を見据えているのは容易に想像できる。普天間飛行場の名護市辺野古への移設が最大の争点になるのは疑いようがない。移設を進めたい政府は、負担軽減の実績を沖縄県民や国民に広くアピールして、移設を容認する候補への追い風にしたいともくろむ。
 沖縄の負担軽減への思いは全ての国民が共有しているはずだ。全国知事会議は「具体的提案には真摯(しんし)に対応する」との見解をまとめており、古川知事が「賛否は白紙」としながら、要請を拒否しなかったのもうなずける。それだけに、選挙をにらんで国民の思いを政治的に利用するやり方は到底容認できない。仕切り直しを求めたい。
 そもそも、なぜ佐賀空港なのか。政府は、長崎県佐世保市に設置する新設部隊「水陸機動団」の輸送手段としてオスプレイを一体運用することを理由に、地理的条件を強調する。それならば、長崎県内に自衛隊が日常的に利用する大村飛行場がある。
 実際、防衛省は既存の自衛隊施設に絞って検討し、一般の空港は対象外だった。省幹部の一人は「政治マター」と述べ、官邸サイドの意向が強く働いたことを示唆する。
 有明海に面した佐賀空港は騒音問題が生じにくく、土地に余裕があるため県内の自衛隊ヘリコプター部隊の移駐も可能とされる。あえて民間空港を利用し、オスプレイの安全性を強調したい狙いも見える。が、県と地元漁協が空港建設前に交わした文書で、自衛隊との共同使用が明確に否定されている事実は重く受け止めなければなるまい。
 忘れてならないのは、自衛隊のオスプレイ導入は2014~18年度の中期防衛力整備計画に盛り込んだにすぎないということだ。防衛省は来年度に5機を購入したいとしているが、現時点では概算要求への計上に至っていない。
 政府が導入根拠とする「水陸機動団」は離島奪還を担う部隊であり、沖縄県・尖閣諸島をめぐる中国との対立を重視したのは言うまでもない。防衛力強化にまい進する前に、まずは外交解決の努力を尽くすように強く求める。
 オスプレイの安全性に対する国民の懸念は、依然として根強いものがある。日本が導入する必要があるのか否か。入口の議論から丁寧にやり直さなければならない。]
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

日本が東アジアに緊張要因を

2014-07-29 | 平和を
 《 岐路の憲法 自衛隊60年模索の先に 》 [ 3 ] 【 矛と盾 】 《 米軍と海自 既に「一体」 》 2014/7/24 地方紙記事より
 [米海軍が『矛』で海上自衛隊が『盾』。海自関係者は、日米安保条約に基づく両国の役割分担をそう言い表す。米軍は攻撃を狙い、日本は「すき間なくタイルを敷き詰めるように」防御に徹する。海自は防衛省内でも「一体」と皮肉られるほど米軍と強固な関係を築いてきた。
 「憲法9条によって専守防衛や必要最小限度の実力行使を求められ、全てのことが日米共同でなければ日本の守りは果たせなかった」。海自トップの海上幕僚長や、陸海空3自衛隊を束ねる統合幕僚会議議長を歴任した石川亨(69)は語る。
 国内やその周辺での活動が主となる陸上、航空両自衛隊とは違い、公海上で活動する海自は日常的に他国と向き合わざるを得ない。冷戦時代は強大な海軍力を持つ旧ソ連と対峙(たいじ)した。「何かあったら米軍の空母に来てもらわないとどうにもならない」と石川。空母のような攻撃的兵器を持てない海自は、ソ連の潜水艦を封じ込める「対潜戦」のような防御能力を高めていった。
 海自の自衛艦隊司令官を務めた香田洋二(64)も「陸海空自衛隊の中で一番憲法に忠実なのが海自。9条を重んじるからこそ打撃力を持たず、日米共同でやろうとした」と話す。
 上空約300㍍から、レーダー観測などを頼りに海上のかすかな灯火を確認する。「あそこだ」。P3C哨戒機の機長が指さした先に貨物船があった。5月中旬、鹿児島県・鹿屋基地から約200㌔の東シナ海。海自が、外国船や潜水艦の警戒監視活動に当たる夜間飛行の訓練を公開した。
 東シナ海では中国船の日本領海への侵入が繰り返され、緊張状態が続いている。警戒監視活動の詳細はなかなか明らかにされないが、米軍と綿密な連携、役割分担をしているとされる。
 空からの監視だけではない。迎撃ミサイルを備える日米のイージス艦は情報を一体化させている。「日米同盟を支えているのは俺たちだという自負が海自にはある」と香田は胸を張る。
 米海軍と緊密な関係にある海自の元幹部にとって、集団的自衛権の行使容認による日米同盟深化は「必然」のようだ。石川も香田もそろって「行使容認は必要だ」と主張する。
 ただ、香田には懸念もある。安倍政権の下、昨年12月に策定された国家安全保障戦略と防衛計画の大綱は「対中国シフト」が鮮明だ。「〝中国の脅威〟論とナショナリズムにあおられすぎていないか」。冷静さを失い、前のめりになることを香田は恐れる。それは日本自身が東アジアの緊張を高める要因になることも意味する。]  (敬称略)

 【 海上自衛隊 = 1952年に設置された海上警備隊が起源。海上警備隊創設には旧海軍軍人らが深くかかわった。自衛艦隊司令部は神奈川県・横須賀基地にあり、密接な関係にある米海軍第7艦隊(西太平洋・インド洋担当)の旗艦も同基地を拠点としている。 】
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

節電の限界を暮らす

2014-07-29 | 共に
 《 こだま 読者の広場 》 地方紙「投稿欄」より 【 節電に努め原発なしの夏を 】 女性・主婦 (77歳)

 ◇九州電力の川内原発は審査が終盤に入っており、再稼働が目前だ。原発のマニュアルは2千ページ以上もあるという。重大事故が起こったときに、こんな分厚いマニュアル通りの行動が果たして取れるのだろうか。日ごろから研修、訓練をしているというが、人間の対応力が試される。
 ◇2千ページのマニュアルに習熟できるかどうか、私はノーと言いたい。電力会社の姿勢にまだ甘さがうかがえる。マニュアルを超える事態が発生することもあり得る。人はそれほど冷静ではいられない。思いもよらないトラブルが起きれば、たちまちのうちに安全神話は崩れてしまう。福島の原発事故がそれを物語っている。
 ◇あの事故じゃ人ごとではない。川内原発が再稼働すれば、さらに稼働原発がなし崩しに出るだろう。いま何よりも大切なのは人の命であり、当たり前の日常の生活だ。福島事故のリスクを忘れてはならない。そのために今年も原発なしで夏を乗り切れるよう、私たちは節電に努めなければならない。]
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする