忘却への扉

 日記? 気づいたこと 何気ないひとこま 明日への伝言 願い 子供たちに 孫たちに そしてあなたに・・ 

米国の土俵で大幅譲歩 ・・?

2014-04-30 | 共に
 《 TPP日米協議 》 【 交渉の道筋を国民に説明せよ 】 2014/4/27 地方紙「社説」より
 [難航分野の隔たりは解消したのか否か。環太平洋連携協定(TPP)交渉をめぐる日米首脳会談、閣僚協議、共同声明のいずれに目を凝らしても、どうも判然としない。
 合意に至らなかったが決裂ではない。共同声明には「道筋を特定した」と明記。米国側は、関税撤廃の有無や撤廃までの期間を見定める作業が進んだとして「満足な結果」と振り返った。焦点だった米国産牛肉と豚肉、日本製自動車の関税で合意に近づいたと見ることもできよう。
 危機感が募るl落としどころが見えたとすれば、双方もしくはどちらかの大幅譲歩を意味する。オバマ大統領が共同会見で「日本は市場開放に向けて今こそ決断すべき時だ」と異例の言及をしたことを思えば、米側の一方的な譲歩は考えづらい。日本が相当な譲歩を迫られる状況にあることは想像に難くない。
 ただ、決着は持ち越した。まだ間に合う。安倍晋三首相は「あらゆる努力で食と農を守る」と宣言した交渉参加の原点に立ち返ってほしい。来月には参加12カ国の閣僚会合などが予定されている。交渉をリードする日米の役割は否定しないが、期限を切って合意を急ぐ必要はないと、重ねて指摘しておきたい。
 安倍首相は牛・豚肉など農産物重要5項目を「聖域」と位置付けた。国民は5項目の関税は当然維持されると思っていよう。TPP交渉は全てが妥結するまで個別の詳細は公表しないルールではある。が、秘密裏に譲歩を重ね、知らぬ間に畜産農家など国内産業に多大な犠牲を強いる内容が決まるとすれば、国民無視の批判は免れまい。
 農家の不安を拭うには情報が必要だ。政府にはルールの範囲内で可能な限りの説明を尽くすように強く求めたい。
 米側の出方を見誤った点は見逃せない。日本はオーストラリアとの経済連携協定(EPA)を背景に米国に揺さぶりをかけた。米豪は牛肉輸出を競い合う。現行38・5%の牛肉関税を、EPAで段階的に冷凍19・5%、冷蔵23・5%にすることで米国の焦りを誘い、10%台で折り合えると楽観していた節がある。 
 米国もカードを切った。沖縄県の尖閣諸島をめぐり、日米安全保障条約に基づく防衛義務を共同声明に明記する代わりに、牛肉関税を1桁にするなどの要求を崩さず、TPP協議で譲歩を迫った。いわば共同声明を「人質」に取った形だ。日本側は結局、米側の強気の姿勢を読み切れなかった。反省を求めたい。
 TPP協議のテーマは農業と自動車だけではない。医療や保険、知的税財産など生活に密接にかかわる課題を国民は注視している。政府は肝に銘じ、「国益を守る」交渉に徹しなければなるまい。]

若者の命を

2014-04-29 | 共に
 《 海自いじめ訴訟 》 【 組織の隠蔽体質刷新が先決だ 】 2014/4/26 地方紙「社説」より
 [いじめを苦に自殺した海上自衛隊護衛艦乗組員の1等航海士の遺族が、国などに約1億5千万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審で、東京高裁が賠償を一審から大幅に増額する判決を言い渡した。440万円から7300万円となった額以上に、自殺は予見可能とした意味は大きい。
 一審判決は1士の先輩のいじめについての賠償責任だけを認めたが、東京高裁はいじめと自殺の因果関係を認定。「上司が適切に調査、指導していれば自殺は予見可能で、回避できた」とした。
 内部のいじめを放置し若者の命を守れなかった組織が、国を守るという任務に当たっている現実に、あらためてがくぜんとする。海自は、同様の事件がに度と許されないことを肝に銘じ、徹底した隊員の能力向上と組織の立て直しに取り組むよう求めたい。
 より深刻なのは、司法も認めたように、海自が関連資料を隠蔽(いんぺい)しようとしたことだ。控訴審では、一審で国側の指定代理人だった3等海佐が、海自の不正を内部告発。海自が破棄したと主張した関連文書の存在が発覚し、予見の可能性について否定された一審の判断が覆されたのだ。
 いじめは極めて生々しい。自殺した乗組員が遺書で指摘した先輩の元2等海曹=懲戒免職=が、エアガンで撃つといった暴行のほか、恐喝していたことも判明。こうした内容は、乗組員のアンケートや同僚への聞き取りメモなどから明らかになった。
 本来なら、組織として自ら公表し、改善につなげるのが筋であろう。しかし、不都合な事実を隠そうとする体質は裁判を通じても改善されたとは言い難い。海自は判決を真摯(しんし)に受け止めた上で、貴重な人材を失う事態を防げなかったことを猛省すべきだ。
 残念なのは、海自が根本的に襟をただす姿勢が、いまだに感じられないことだ。
 あろうことか海自は、正義感から内部告発した3佐に対して、文書を勝手にコピーして持ち出したとして懲戒処分する手続きを行っていたという。どこに正義があろう。
 世論の批判を受けてか処分は取りやめたものの、告発への「報復」とも言える保身体質は深刻だ。3佐がよりどころにした公益通報制度は、国民の生命や財産を守る内部告発を支援する制度だ。組織は告発者が不利益を被らないよう保護するのが当然である。
 海自がまずなすべきは、組織の行方を懸念した勇気ある3佐の行動へ、むしろ謝意を示すことではないか。彼は法廷で「自衛隊が国民にうそをついてはいけないという信念で告発した」と語った。海自はこの声にこそ、耳を傾けねばならない。それが、国民の信頼を取り戻すための最初の一歩となろう。]

古い安倍歴史観

2014-04-29 | 平和を
 《 米大統領訪韓 》 【 慰安婦の声を「尊重」 】 《 朴氏と会談 日本に行動促す 》 2014/4/26 地方紙記事より
 [ 【ソウル共同=上西川原淳】 アジア4カ国歴訪中のオバマ米大統領は25日、日本に続いて韓国を訪れ、ソウルの青瓦台(大統領官邸)で朴槿恵(パククネ)大統領と会談した。オバマ氏は会談後の共同記者会見で、日本政府による法的責任の認定や賠償を韓国側が求めている従軍慰安婦問題に触れ「元慰安婦らの声は聴くに値し、尊重されるべきだ」と述べ、暗に日本の行動を促した。
 (中略) オバマ氏は慰安婦問題について、戦時中とはいえ「甚だしい人権侵害だ」とした上で「衝撃を受けた」と表明した。米大統領が公の場でこの問題に触れ、人権問題だと批判したのは初めてとみられる。日本政府の対応への米国内の厳しい見方を反映した発言ともいえる。
 オバマ氏は「過去を正直かつ公正に認識しなければならない。安倍晋三首相や日本国民もそのことを分かっているはずだ」と指摘。同時に歴史認識問題に関連し、朴氏にも未来志向で対応するよう促した。
 朴氏は日本政府に対し、歴史問題で「誠意ある行動が必要」と述べ、具体的措置を取るよう求めた。(以下略)]

頭の上に

2014-04-29 | 追憶
 先日の朝、雨の降る中、雨具を着て知人に持参するという八朔(はっさく)を拾いに山まで行く。体調不良で立ち止まりながら坂歩き、古い雑木林のトンネルに敷き詰められた急斜面の落ち葉を踏みしめ曲がると明るく見なれた段々畑の果樹園が広がりほっとする。
 子供のころには他の職業の父と兄を別にした、祖父母に母と私たち兄弟も手伝い、麦など雑穀や芋を栽培し、収穫が終わるごとに畑を耕した。
 それらを見守っていたのが道端のお地蔵さん。よく遊んでもらった。大きな平石の屋根の上に子どもたちが乗っても、いつもニコニコ 。
 道より一段高いその前は昔から上り下りする百姓たちが、お地蔵さんに背を向けての休憩場所でもあった。先日もそこで雨音を聞きながらの一休み。
 うつむきじっと目を閉じていると眠りそうな気分。お地蔵さんを包む雑木林から小さな音、それは雨具を被った私の頭で止まる。
 小鳥の重さと温もりを感じていた短な一時を得れたのは、お地蔵さんと一緒の安心からかと思う。

いんぺい拡大=国家秘密保護法

2014-04-28 | 共に
 《 海自いじめ訴訟 》 【 自殺は予測可能 東京高裁 判決 記録の隠蔽認定 】 2014/4/24 地方紙1面記事より
 [いじめを苦に自殺した海上自衛艦「たちかぜ」乗組員の1等航海士=当時(21)=の遺族が、国などに約1億5千万円の損が賠償を求めた訴訟の控訴審で東京高裁は23日、賠償を一審の440万円から約7300万円に大幅に増額する判決を言い渡した。鈴木健太裁判長は、いじめと自殺の因果関係を認め「上司が適切に調査、指導をしていれば自殺は予測可能で、回避できた」と判断した。海自による調査記録文書の隠蔽(いんぺい)があったことも認めた。
 控訴審では、一審で国側の指定代理人だった3等海佐の内部告発で、海自が「破棄した」と説明した関連文書の存在が発覚。鈴木裁判長は「違法な隠蔽行為だった」と認定した上で「国側が新たに提出した乗組員アンケートや、同僚への聞き取りメモなどは重要な証拠だった」として、自殺に対する賠償とは別に20万円の慰謝料を命じた。
 一審の横浜地裁判決は「自殺は予測できなかった」として、先輩の暴行と恐喝についての賠償責任だけを認めていた。控訴審判決後に記者会見した1士の母親(60)は「本当に感無量。勇気ある告発でいろんな事実が分かった」と述べた。
 聞き取りメモには、1士が親しかった同僚に約1か月前から自殺をほのめかしていたことも記録されていた。鈴木裁判長はこの証拠を重視し「上司が先輩を事情聴取するなどして実態を調べていれば心身の状況を把握できた」と指摘。海自の対応が不十分だったと批判した。
 1等航海士は2004年10月に自殺。先輩の元2等海曹=懲戒免職=がエアガンで撃つなどの暴行をしたほか、恐喝もしていたことが判明。遺族は控訴審で「文書隠しで精神的損害を受けた」と請求額を2千万円増額していた。
 当初隠されていたアンケートをめぐっては、内閣府の情報公開・個人情報審査会も「組織全体として不都合な真実を隠蔽しようとする傾向があった」とする異例の文書をまとめている。]

 【 内部告発 判断覆す 】 (解説)
 [護衛艦乗組員のいじめ自殺訴訟で23日の東京高裁判決は、先輩による過酷な暴行、恐喝を放置した海上自衛隊の違法な対応が1等航海士の自殺につながったと厳しく指弾した。予測可能性についての一審の判断が覆されたのは、海自が隠し続けた記録文書が控訴審で提出されたからにほかならない。
 隠蔽を暴いた3等海佐の内部告発は、原告側の弁護士が「国側のスパイかと思った」というほど、異例の行動だった。乗組員の多くが生々しく語った暴行、恐喝の実態は、国側にとって明らかに不都合な内容で、高裁の事実認定に決定的な影響を与えた。
 文書隠しの発覚直後、海上幕僚監部の訴訟専門官が乗組員アンケートを破棄するよう現場に指示していたことが開示の調査で判明した。結局破棄には至らず、国側はその後「新証拠」を高裁に提出したが、固有名詞のほとんどが墨塗りされた文書もあり、裁判長が再提出を指示したこともあった。
 関係者によると、海自は内部告発した3佐について規律違反の容疑で懲戒処分の手続きを進めているという。だが最優先で取り組むべきなのは、露骨な報復ではなく、隠蔽を生んだ体質の改善だろう。]

うそをつかない罰

2014-04-28 | 平和を
 《 海自いじめ訴訟 隠蔽認定 》 【 告発3佐に処分手続き 「やりすぎ」内部で批判 】 2014/4/24 地方紙記事より
 [海上自衛隊護衛艦「たちかぜ」のいじめ自殺訴訟では、現役の3等海佐(46)が内部告発し、開示の文書隠蔽(いんぺい)を暴いた。
 しかし海自は文書を勝手にコピーして持ち出したとして、懲戒処分に向けた手続きを始めた。正義感にかられ内部告発に踏みみった現役自衛官に対し、懲戒処分を持ちだす開示の姿勢に内部からも「やりすぎ」と批判が出ている。
 3佐は一審の際に、開示の部隊管理を統括する海上幕僚監部の事務室に勤務。情報公開部門の担当者から、遺族が情報公開請求した乗組員アンケートは「破棄されたことになっている」と伝えられた。
 一審中に別の部署に異動したが、東京高裁に提出した陳述書によれば「公にしても開示は事実を偽るかもしれない。私や家族は破滅するかもしれない」と迷う一方、文書の存在が「ずっと心に引っかかっていた」。
 3佐は公益通報制度を利用し、文書の存在を内部告発したり、自らも情報公開請求したりしたが、海自の対応は変わらないまま。
 一審判決後は、遺族の弁護士と連絡を取り、海自の隠蔽について詳細に述べた陳述書の提出や法廷証言に踏み切った。昨年12月の法廷で3佐は「自衛隊は国民にうそをついてはいけないという信念で告発した」と心境を述べた。
 海自幹部の一人は「本来、法的に保護すべき内部告発者を処分するのは、下品でやり過ぎと内部でも議論が出ている」と明かす。
 内部告発に詳しい森下忠広島大名誉教授(刑法)は「社会正義や個人の良心を守るため正しいことを保護するのが公益通報者保護法。規律違反にする姿勢は極めて問題で、海自は処分すべきではない」と話す。]

 《 「文書管理を徹底させる」 》 【 防衛相 】
 [小野寺五典防衛相は23日、神奈川県の海上自衛隊厚木基地で、海自の文書印写を認定した護衛艦たちかぜのいじめ自殺訴訟の東京高裁判決を受け、記者団に「数年前の話とはいえ、あらためて文書管理についてしっかり徹底していきたい」と述べた。]

戻らない日々

2014-04-27 | 平和を
 《 祈りよ力に 水爆実験60年 マーシャル諸島 》 【 核の苦難続く流浪の民 】 2014/4/23 地方紙記事より
 [哀切に満ちた調べに合わせ遠い故郷への思いをはせていた。「穏やかで平和だった日々は戻らない」「心は絶望のふちにある」。南国の強烈な日差しが照りつけヤシの葉が揺れる。マーシャル諸島の首都マジュロ環礁のエジット島。キリスト教会に集まった50人が日曜日のミサで祈った後「ビキニの歌」を口ずさんだ。
 エジット島には、1946年~58年の米国の核実験でビキニ環礁を追われた島民の一部とその子孫が住む。「母の地」は今も放射能に汚染され帰島できない。流浪を強いられた島民の苦悩をうたったのが、この哀歌だ。
 合唱が終わると1人の男がマイクを握った。
 「私たちの故郷で何が起こったのか。なぜ島を離れることになったのか。米国が何をしたのか。ビキニの苦難を胸に刻んでほしい」
 ビキニ環礁自治体前首長で46歳のアルソン・ケレンが穏やかに切り出した。この日は、日本の漁船員や北部マーシャルの島民らが被ばくした水爆実験ブラボーから60年たったビキニデーである3月1日の翌日。子どもたちも真剣なまなざしでケレンを見詰めた。
 「故郷はブラボーだけでなく多くの核実験にさらされた。私たちの犠牲で世界は放射能の危険を知った。人類の『負の遺産』を忘れてはいけない」ケレンは静かな口調で締めくくった。
 近くでまぶたを閉じて聞いていたのが、ビキニ生まれで今年88歳になる彼の母リロックだ。
          すぐに戻す
 「人類の福祉と、戦争を終わらせるために新型爆弾の実験を始めたい」
 日本に原爆が投下されてわずか6カ月。マーシャル諸島を占領していた米軍は島民にそう通告、強制移住させた。米国がソ連と核軍拡を競う東西冷戦下で最前線の実験場となった。
 「島民は皆、寂しい気持ちになったが、『すぐ島に戻す』という米国の言い分を信じた」。リロックはコバルトブルーに輝く海を見詰め、米軍の艦船で島を離れた日の記憶をたどった。
 日本の統治時代もリロックは経験している。質素だが、環礁内のラグーンが育む豊かな海の幸と島の自然に守られて過ごした日々が忘れられない。ヤシの葉でつくる「アミモノ(編み物)が得意だった。
 移住先の無人島ロンゲリックで待ち受けていたのは飢えだった。農業や漁業にそぐわぬ地で、米国からの食糧配給は不足しがちだった。
          楽園と監獄
 米国が68年に「放射能の心配はない」とビキニの安全宣言を出し、島民は相次いで戻った。6歳で初めて故郷の地を踏んだケレンは心を弾ませ、毎朝、大人たちや友人と漁網を手にラグーンに出た。タイ、ヤシガニ、ウミガメ…。伝統のマーシャルカヌー作りや操船の手ほどきを受け、独特の船体と帆が特徴のカヌーで環礁内を走った。
 「ココナツを取るのも漁も冠婚葬祭も皆で取り組んだ。『楽園』に思えた。島を離れるなんて想像もつかなかった」
 だが、少年の望みははかない夢に終わる。高濃度の放射能が井戸水や島民の尿から検出され再び島を追われる。
 新たな移住先は約600㌔はなれたキリ島。環礁もなく太平洋の荒波がぶつかる孤島で、漁にも農業にも支障があった。米国から配給される缶詰が頼りで「監獄の島」といわれた。今もキリに残る島民もいるが、首都やエジット島、米国に移った住民も多い。「地域社会は破壊され、ヤシの木の登り方も知らない子どもが大半になった。先祖の知恵も消えてしまう」。ケレンの憂いは深い。
          文化と誇り
 米ハワイからマジュロまでの3500㌔以上を手作りカヌーで航海したこともあるケレンは、数少ないマーシャルカヌー作りの達人だ。「カヌーはわれわれの魂であり、文化であり、誇りでもある」と胸を張る。
 失業中や中退に悩んだり、酒に依存したりする若者を支援する非政府組織(NGО)を立ち上げ、カヌー作りを伝授する。
 「伝統の継承だけでなく共同作業の大切さ、生きる力を身につけることにもつながる」との思いがあるからだ。カウンセリングや英語教育も盛り込んだプログラムの卒業生は200人を超えた。
 今年のビキニデーに合わせ、原発事故で避難を強いられた福島県出身の福島大生で21歳の高橋恵子らがマジュロを訪れ、ケレンに会った。
 放射能の影響で帰郷のめどが立たない現状や「相馬野馬追」など地元の文化を高橋が紹介。ビキニの苦難に重ねたケレンは何度も深くうなずいて励ました。「自分たちの文化と前向きな姿勢を決してを忘れてはいけない」
 68年前に故郷を追われた島民167人の生存者は30人になったが、いずれも帰郷を望む。ブラボーで「死の灰」を浴びた別の環礁の住民の被ばく被害は世代を超えて続く。
 超大国は今「核なき世界」を訴える時代になった。だが、米留学経験もあるケレンの視線は厳しい。「核実験への感謝は口にするが、謝罪は示さない。ジーンズのようにわれわれを使い捨てにした」]  (敬称略、共同通信マニラ支局 三井潔)

ぎゃっこうする

2014-04-27 | 共に
 《 労働時間規制緩和検討 》 【 過労死「自己責任」に? 】 2014/4/23 地方紙2面記事より
 [22日開かれた政府の産業競争力会議と経済財政諮問会議の合同会議では、一部の労働者の労働時間配分を個人の裁量に委ねる方針を示した。残業代などの規制がなくなり、長時間労働を強いられる人が増える懸念もあり、家族を働き過ぎで失った遺族は「私たちが願う過労死のない社会と逆行するのではないか」と指摘する。
 厚生労働省調査では、2013年の正社員の年間労働時間は平均2018時間。長い間2千時間前後で推移、減少していない。週60時間以上働く人は同年で474万人(全体の8・8%)に上り、特に30代の男性に多い。
 合同会議は同時に「働き過ぎ防止に真剣に取り組むことが改革の前提になる」として長時間労働の抑制を強調。労働基準監督署による監督指導の徹底などを挙げた。だが厚労省が働きかけ、各企業の労使で議論もされてきたが、解消への道筋はいまだ見えていない。
 長時間労働は過労死や過労自殺の原因にもなっている。12年度、脳・心臓病疾患で亡くなり、業務に起因するとして労災認定されたのは未遂を含み93人に上った。
 過労死をめぐっては与党を含む超党派の国会議員連盟が、国の責務で防止対策を進めることを柱とした法制定への動きを進めている。「全国過労死を考える会」代表の寺西笑子さん(65)は「今国会で成立の見通しも立ってきたのに、逆行することになるのでは…」と心配する。「弱い立場の労働者がますます追い込まれる。過労死も『自己責任』になってしまうかもしれない」と懸念を示した。

意味を見つけて考える

2014-04-26 | 共に
 《 文化 評点 》 【 「無責任の体系」今も 戦前と「福島」 同じ構図 】 《 丸山真男さん生誕100年 》 2014/4/23 地方紙記事より
 [戦後の平和・市民運動に大きな影響を与えた政治学者、丸山真男さん(1914~96)の生誕から今年で100年。第1次世界大戦の始まった年に生まれ、第2次世界大戦やファシズムの時代を体験して「20世紀の子」ともいわれる。日本の戦後民主主義を先導したその思想は、現代社会に何を問うのか。
          原発事故
 日本政治思想史研究の第一人者だった丸山さんは、60年安保闘争では民主主義の危機を訴える行動の中心に立った。死後18年になる今、生前の姿を知らない世代にも、その著作は影響を与え続けている。東京工業大教授(文化人類学)の上田紀行さんは、東京電力福島第1原発の事故後に、丸山論文を読んで「衝撃を受けた」という。東京都内で3月に開かれた生誕100年記念の講演会。上田さんは、戦前から敗戦が予想されながら戦争に突入したような日本の「無責任の体系」が、丸山さんの49年の論文「軍国支配者の精神形態」で鋭く指摘されており、原発事故で繰り返されたと主張した。
 また非正規雇用などで「使い捨て」にされる人々が生きる意味を見失い、孤立を深める現状を考えると「今の日本は、丸山真男が言ってきたことと悲劇的に近い」と上田さん。46年の論文「超国家主義の論理と心理」などを挙げ「丸山さんは、歴史を前に動かす主体はどこにあるのかと訴え続けたのではないか」と述べた。
          権力腐敗
 会場を訪れた法政大教授(政治学)の山口二郎さんも「日本の権力の腐敗を批判的に分析した丸山を、私たちは今も乗り越えていない」と強調した。原発事故に象徴される官僚組織や学者の無責任さは、戦前から変わらないままで「現実と向き合わずに計画を立て、修正する力のないまま破局に至った『敗戦の構図』と同じだと批判した。
 丸山作品は、海外でも読み継がれている。63~72年に東京大学で丸山さんの指導を受けた韓国・梨花女子大名誉教授(韓国政治思想史)の朴忠錫さんは講演会で、韓国で丸山さんが「日本最高の知性」と紹介され、思想を研究する若手もいると報告した。
 講演会を主催した「丸山真男手帖の会」は96年から、丸山さんが対談などで残した音声記録を文章化して出版。生前に語った広島での被爆体験などを掘り起こしてきた。
          大文章家
 手帖の会の代表川口重雄さんは、特定秘密保護法や解釈改憲による集団的自衛権の行使容認の動きに触れ「丸山さんが危険思想の持ち主ではないかとマークされた戦前の状況と、今の時代が重なって見える。日本の近現代と誠実に向き合った思想家のことを、今こそ伝えなければ」と表情を引き締める。
 会の活動は今年7月で終えるが、高校教師の川口さんは若い世代に伝えていくつもりだ。
 高校の教科書にも収められてきた丸山さんの文章をたたえる声も多い。かつて丸山さんの授業を受けた東京大名誉教授(日本政治史)の三谷太一郎さんは「文学的価値を体現しているような文章を書く大文章家。多くの人に読んでほしい」。
 悩んだり、分からないことがあったりすると著作を読むという島根県立大副学長(日本政治思想史)の飯田泰三さんは「丸山さんの文章には何重にも意味が込められ、経験を積んで読むと新たな発見がある。単なる情報としてではなく、物事の新しい意味を見つけて考えることが、文章を読むことの意味だと教えてくれるものです」と力を込めた。]