クルマのサスペンションと長いお付き合い

サスペンションの話、試乗記、旅の話、諸々・・・。

トーコンキャンセラー

2011-07-19 15:21:05 | セッティングレポート(SUSPENSIONDRIVE)

FD3S・FC3S・ロードスターNA・NB
これらの車両向けにトーコンキャンセラーと呼ばれるバーツがある。
かなりマニアックなパーツで、マツダ系車両固有の物だ。
他では見ない。
そもそもはFC3S RX-7のリヤサスペンションに、旋回Gに応じて
リヤタイヤのトーをコントロールする仕掛けがあり、ブッシュを変形
させるこのシステムは、飛ばし屋さんには不人気。
トーコントロールを無くした方がリヤの動きが自然で運転しやすい事から
トーコンキャンセラーなる商品名で定着し、マツダ車にはトーコンキャンセラー的な
イメージが残った。

ロードスター用にもトーコンキャンセルと称してパーツが出回っているが、
リヤタイヤのトーを保持しているロワーアーム用ではなく、アッパーアームの
ブッシュを変える(らしい!)ので、トレッド剛性ないしはキャンバー剛性が
改善されるかもしれないが、トーにはあまり関係ないと思われる。
良くわからないと言った方が正しいかもしれない。

FD3Sはエンジンブレーキを掛けると、リヤタイヤがトーインになり、
トラクションを掛けるとトーアウトになる仕掛けがある?
しかしこれがトーコントロールリンクによるものではなく、
ロワーフロントリンク(トレーリングリンク)のブッシュのたわみによって起きる。
あまり知られていない(どこにも説明されていない)ないしは、一部の人のみが
正しく理解している話だ。


トレーリングリンクのブッシュをピロボールに入れ替えるKITがそれだ。
トーコンキャンセラーとは呼ばないが、目的はトーコンキャンセル。
もう一つトーコントロールリンク(トー調整を行なうリンク)を両ピロにする事で
トーはより安定方向になるが、ここだけではトーコンキャンセルにならない。
むしろトレーリングリンクのブッシュの動きの影響のほうが大きい。

なぜ、と思われる方はリヤサスペンションを上から見て、アッパーアーム以外の
リンク配置を見ると解りやすい。
トーコントロールリンクとロワーリンクが平行ではなく車体中心に向って
取付け点の距離が広がっている。台形リンクの配置だ。
台形リンクは前後にホンの少し動いただけでも、トー変化が起きる。
その前後の動きを支えているのが、ロワーフロントリンク(トレーリングリンク)
であり、そのブッシュと言うわけだ。

トレーリングリンクブッシュがトーコンキャンセルになるというのは
説明が“めんどう”なのでトレーリングリンクピロブッシュとだけ言っている。
実はトーコンキャンセラーというお話・・・。


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4 コメント

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そもそも (T.くにまさ)
2011-07-19 17:49:05
マツダの狙いは、日常+αくらいの速度域にて、リヤトーインでの旋回の気持ちよさを演出したかったと捕らえてるのですが、間違いでしょうか?
ボデー屋ですが、最近はサスについての知見を増やそうと日々精進してます。
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リヤトーコントロール (くにまさ)
2011-07-19 21:16:00
リヤトーコントロールは、こうすればこうなると言う程カンタンではありません。
トレッド剛性(キャンバー剛性)、トー剛性、イニシャルトーイン、装着タイヤのCP、ハブ剛性、バンプステアー、動的アライメント、そして安定性の為なのか、操縦性の為なのか、果てはサスペンションの欠点を消すものなのか。 意図してトーをコントロールしても必ず動いて欲しい時に正しい動きを演出できるとは限らず、気が付いたらトーの管理よりも力を受けた時にしっかりと受け止められるよう剛性を考えるのが一番と言う話もあります。なぜトーコントロールが必要なのか?ここから考えてみましょう。
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ありがとうございます。 (T.くにまさ)
2011-07-21 10:32:09
ご指摘ありがとうございます。
単純にコンプライアンスステアによるトーインで、旋回感を演出しているとしか考えられませんでした。
ちょっと勉強しなおします。
ところで、とある関係から香川のWRCの例の方とほんの少しだけ交流がありました。また遊びに伺いますのでそのときにでも……
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NCロードスターも? (ごっしー)
2011-08-19 14:41:47
同じようにトーコンリンクブッシュのピロ化よりもトレーリングリンクブッシュ強化のほうが有効と考えて良いでしょうか?色々なショップが色々言っていて、NCの足のセッティング方向もなかなかこれ!というのが決まってなさそうですが、くにまささんはどのようにお考えですか?
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