シネマと虎とグルメたち

犬童一心監督作品に「ジョゼと虎と魚たち」があった。オイラは「観た映画が面白くて、美味いもの食って阪神が快勝」を望んでる。

PERFECT DAYS

2024年02月17日 | 映画
過日に早朝より行ってきました。

PERFECT DAYS (2023) 日本 / ドイツ

監督 ヨルゴス・ランティモス
出演 役所広司 柄本時生 中野有紗 アオイヤマダ
   麻生祐未 石川さゆり 田中泯 三浦友和
   水間ロン 原田文明 三浦俊輔 古川がん
   研ナオコ モロ師岡 あがた森魚 安藤玉恵
ストーリー
東京スカイツリーが近い古びたアパートで独り暮らしをする、中年の寡黙な清掃作業員・平山(役所広司)は、一見、判で押したような日々を送っている。
毎朝薄暗いうちに起き、台所で顔を洗い、ワゴン車を運転して仕事場へ向かう。
行き先は渋谷区内にある公衆トイレで、それらを次々と回り、隅々まで手際よく磨き上げてゆく。
一緒に働く若い清掃員・タカシ(柄本時生)はどうせすぐ汚れるのだからと作業は適当にこなし、通っているガールズ・バーのアヤ(アオイヤマダ)と深い仲になりたいが金がないとぼやいてばかりいる。
平山は意に介さず、ただ一心に自分の持ち場を磨き上げる。
仕事中はほとんど言葉を発することがないが、それでも平山は日々の楽しみを数多く持っている。
たとえば、移動中の車で聴く古いカセットテープ。
休憩時に神社の境内の隅に座ってささやかな昼食をとるときは、境内の樹々を見上げる。
その木洩れ日をみて笑みをうかべ、一時代前の小型フィルムカメラを取り出してモノクロ写真を撮る。
仕事が終わると近くの銭湯で身体を洗ったあと、浅草地下商店街の定食屋で安い食事をすませる。
休日には行きつけの小さな居酒屋で、客にせがまれて歌う女将(石川さゆり)の声に耳を傾けることもある。
家に帰ると、四畳半の部屋で眠くなるまで本を読む。
ある日、平山の若い姪・ニコ(中野有紗)がアパートへ押しかけてくる。
平山の妹(麻生祐未)の娘で、家出してきたという。
平山の妹は豊かな暮らしを送っていて、ニコに平山とは世界が違うと言われているらしい。
ニコは平山を説き伏せて仕事場へついてゆく。
公衆トイレを一心に清掃してゆく平山の姿にニコは言葉を失うが、休憩時、公園で木洩れ日を見上げる平山の姿を見て、ニコにも笑顔が戻ってくる。
しかし平山の妹がニコを連れ戻しにやってくると、平山は捨ててきた自らの過去と向き合うことになる…


寸評
役所広司ワールドである。
判で押したような日々を送っていることを示すために、何度も同じようなシーンが繰り返される。
その間、平山の役所広司はまったく言葉を発しない。
見ていて飽きが来そうなものだが不思議とそうはならない。
トイレに入っていた迷子の子供に「どうした?」と一言かけるまで随分と時間を要し、そこから再び無口な平山の姿を延々と追い続け、石川さゆりのやっている居酒屋の場面になって、やっと会話らしい会話をするようになる。
カメラはその間も一心にトイレ掃除を行っている平山を追い続けるのだが、人々はそんな平山を気にかける風でもない。
母親は子供を見つけてくれた平山に挨拶もせず去っていく。
清掃中の札があっても平気で入ってきて無言で去っていく人もいる。
公園でとる昼食時にいつも出会う女性とは目を合わせてもおア互いに話しかけることはない。

無口な平山だがいろんな人たちと出会っているのだ。
言葉を交わさない上記の人たちとも出会っていることになるし、変な老人の田中泯のことも気にかけているのだ。
わずかな言葉しか交わさない行きつけの食事処の店員や写真店の主人。
これは人と人との係わりを描いた作品なのだと思う。
同僚のタカシはいい加減な男だが、平山とはそれなりの信頼関係を築いているようで、平山は金を貸してやっている。
タカシが思いを寄せるアヤは平山の人柄が気に入ったのか、ホッペにキスをして去っていく。
驚く平山の様子に場内から笑い声が起きた。
そして姪のニコだ。
母親と違っておじさんが気に入っているらしく、家出して久しぶりの対面を果たしている。
平山の仕事ぶりを見て驚くが、やがて仕事を手伝うようになる。
ニコの母親でもあり、平山の妹でもある麻生祐未とは疎遠であったが、最後には二人して抱き合う。
良かったと思うが、父親とのわだかまりは解けておらず、施設へ訪ねることを拒否しているから、肉親と言っても人間関係は難しい。

平山は眠ると日中に見た景色や人々をモノクロで思い浮かべる。
影は重なっても濃くならないが、平山の中でそれらは色濃くなっていく。
石川さゆりの元夫の三浦友和は平山と景踏みをして戯れる。
その後のラストシーンは平山のアップの長回しだがセリフはない。
ただ満足げな平山の表情をとらえ続けるこのシーンに耐える役所はいい。
一日の中で一瞬の出会いがある。
単純な毎日に見える平山の一日だが、彼にとってはその一期一会の出会いに喜びを感じる充実した一日なのだろう。
僕にもやがてそんな日々がやってくるような気がする。
平山の磨く便器はいつもピカピカなのだが、汚れている便器をピカピカにするシーンがないのはなぜなのだろう。
平山の仕事を伝えるにはあっても良かったように思うのだが・・・。
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