「哀れなるものたち」
監督 ヨルゴス・ランティモス
出演 エマ・ストーン マーク・ラファロ ウィレム・デフォー
ラミー・ユセフ ジェロッド・カーマイケル ハリー
ストーリー
ある夜、不幸な女性が橋から身投げをし、自ら命を絶った。
ロンドンに住む若き医師のマックスは、風変わりな天才外科医ゴッドから助手の誘いを受け、喜んでその申し出を受け入れた。
彼に与えられた仕事は、不思議な女性ベラの観察記録をつけることだった。
実はベラは、自殺した女性に胎児の脳を移植して作られた人造人間だった。
ベラの学習スピードは凄まじく、様々な物事を驚異的なスピードで吸収していき、それは性的な事柄にも及んだ。
ベラを愛するようになったマックスは、結婚してもベラと一緒にゴッドの屋敷に住みつづけるという条件でゴッドの承諾を得た。
契約書を作成するため、ゴッドは弁護士のダンカンを家に招いた。
遊び人の彼はベラを一目で気に入り、一緒に外の世界を旅しようと誘い、家に閉じ込められていることに不満を感じていたベラは、ダンカンと一緒に旅立った。
ダンカンとともにポルトガルのリスボンを訪れたベラは、外の世界を知っていく。
一方で、ダンカンは性的な事柄に強い興味を持ちながらも貞操観念のない彼女に心を乱されるようになる。
彼はベラをトランクに入れ、無断で豪華客船での船旅にくり出す。
しかし船内である老婆とハリーという男性に出会ったベラは、知的な彼らの影響を受け、急速に成熟していく。
あるとき、ハリーはベラにアレクサンドリアの町を見せると、そこでは貧しさから命を落とす子どもが数多くいた。
厳しい現実を目の当たりにしベラは、ダンカンがギャンブルで勝った金を「貧しい人たちのために使ってほしい」と、すべて船員に渡してしまう。
無一文になった2人はパリで船から放り出されることになった。
ベラはゴッドが持たせてくれていた緊急用の金をダンカンに渡して帰国するように言い、自分は娼館で働くことを決意した。
様々な人との交流を通してベラはますます知識をつけ、聡明な女性になっていった。
ゴッドが危篤との知らせを受けたベラは、ロンドンに戻った。
彼女はゴッドから自分がどのようにして生まれたかを聞き、マックスとの結婚を決意する。
しかし結婚式に思わぬ人物が乱入してきた・・・。
寸評
セックスシーンが多い映画だが、それらはベラが成長していく過程の出来事として描かれている。
ベラは、体は成人だが頭脳は幼児という姿で登場する。
フランケンシュタインのようなゴッド博士の屋敷にいるのだが、そこはモノトーンで描かれている。
ベラは食器を投げ捨てたり嫌いなものを吐き出したり幼児がとるような行動で我儘ぶりを見せているのだが、ある時、自慰行為を通じて幸せを感じ、このことは性を通じて成長していくだろうことを暗示していたと思う。
ゴッド博士の邸宅では鶏イヌなど不気味な動物が遊んでいる。
ベラがゴッドと呼ぶ博士は神(ゴッド)の化身で、神はあらゆる動物を生み出したということで、ベラもその動物の一つなのだろう。
冒頭、博士は教壇で動物と人間の違いは何なのかと問いかけていたが、食べて、寝て、交尾をする姿を思うと違いはない。
家に閉じ込められていることに不満を感じていたベラは外の世界を知っていく。
ここからはカラーとなり、我々に映像体験をもたらせてくれる。
ダンカンはベラの自慰行為を見て外の世界へ連れ出すが、彼にとってベラは性欲の対象者なのだ。
しかし、ベラは娼婦館での経験などを通して男の欲求のはけ口から脱却し、自らを開放して自我に目覚め主体性を獲得していく。
手助けをしてくれたのは客船で出会った老婆だろう。
老婆はベラの性行為に関する投げかけに、すべて経験済みのこととして優しく受け流しているのだ。
大海原を航海する豪華客船で出会ったこの老婆とハリーという男性は魅力的だった。
無一文となったベラは娼婦となって金を稼ぐようになるが、そこで彼女は客が女を選ぶのではなく、女が客を選ぶという意識を持つようになっている。
見終ると、彼女はこの娼館で主体性獲得したのだと思える。
ベラとマックスの結婚式の時にアルフィーという支配欲に固まった男として登場する。
この男の登場で衝撃の事実が明かされ、僕はベラ誕生の秘密に驚きを隠せなかった。
ベラはゴッドの死に立ち合ってゴッドと同じ解剖学の医師を目指す。
彼女も同じ道を歩んでゴッド(神)となったのだろう。
身体と頭脳が一致してベラは美しい笑顔を見せる。
ベラによってアルフィーも変わった動物となっている。
神の前では人間も動物も同じということなのかもしれない。
監督 ヨルゴス・ランティモス
出演 エマ・ストーン マーク・ラファロ ウィレム・デフォー
ラミー・ユセフ ジェロッド・カーマイケル ハリー
ストーリー
ある夜、不幸な女性が橋から身投げをし、自ら命を絶った。
ロンドンに住む若き医師のマックスは、風変わりな天才外科医ゴッドから助手の誘いを受け、喜んでその申し出を受け入れた。
彼に与えられた仕事は、不思議な女性ベラの観察記録をつけることだった。
実はベラは、自殺した女性に胎児の脳を移植して作られた人造人間だった。
ベラの学習スピードは凄まじく、様々な物事を驚異的なスピードで吸収していき、それは性的な事柄にも及んだ。
ベラを愛するようになったマックスは、結婚してもベラと一緒にゴッドの屋敷に住みつづけるという条件でゴッドの承諾を得た。
契約書を作成するため、ゴッドは弁護士のダンカンを家に招いた。
遊び人の彼はベラを一目で気に入り、一緒に外の世界を旅しようと誘い、家に閉じ込められていることに不満を感じていたベラは、ダンカンと一緒に旅立った。
ダンカンとともにポルトガルのリスボンを訪れたベラは、外の世界を知っていく。
一方で、ダンカンは性的な事柄に強い興味を持ちながらも貞操観念のない彼女に心を乱されるようになる。
彼はベラをトランクに入れ、無断で豪華客船での船旅にくり出す。
しかし船内である老婆とハリーという男性に出会ったベラは、知的な彼らの影響を受け、急速に成熟していく。
あるとき、ハリーはベラにアレクサンドリアの町を見せると、そこでは貧しさから命を落とす子どもが数多くいた。
厳しい現実を目の当たりにしベラは、ダンカンがギャンブルで勝った金を「貧しい人たちのために使ってほしい」と、すべて船員に渡してしまう。
無一文になった2人はパリで船から放り出されることになった。
ベラはゴッドが持たせてくれていた緊急用の金をダンカンに渡して帰国するように言い、自分は娼館で働くことを決意した。
様々な人との交流を通してベラはますます知識をつけ、聡明な女性になっていった。
ゴッドが危篤との知らせを受けたベラは、ロンドンに戻った。
彼女はゴッドから自分がどのようにして生まれたかを聞き、マックスとの結婚を決意する。
しかし結婚式に思わぬ人物が乱入してきた・・・。
寸評
セックスシーンが多い映画だが、それらはベラが成長していく過程の出来事として描かれている。
ベラは、体は成人だが頭脳は幼児という姿で登場する。
フランケンシュタインのようなゴッド博士の屋敷にいるのだが、そこはモノトーンで描かれている。
ベラは食器を投げ捨てたり嫌いなものを吐き出したり幼児がとるような行動で我儘ぶりを見せているのだが、ある時、自慰行為を通じて幸せを感じ、このことは性を通じて成長していくだろうことを暗示していたと思う。
ゴッド博士の邸宅では鶏イヌなど不気味な動物が遊んでいる。
ベラがゴッドと呼ぶ博士は神(ゴッド)の化身で、神はあらゆる動物を生み出したということで、ベラもその動物の一つなのだろう。
冒頭、博士は教壇で動物と人間の違いは何なのかと問いかけていたが、食べて、寝て、交尾をする姿を思うと違いはない。
家に閉じ込められていることに不満を感じていたベラは外の世界を知っていく。
ここからはカラーとなり、我々に映像体験をもたらせてくれる。
ダンカンはベラの自慰行為を見て外の世界へ連れ出すが、彼にとってベラは性欲の対象者なのだ。
しかし、ベラは娼婦館での経験などを通して男の欲求のはけ口から脱却し、自らを開放して自我に目覚め主体性を獲得していく。
手助けをしてくれたのは客船で出会った老婆だろう。
老婆はベラの性行為に関する投げかけに、すべて経験済みのこととして優しく受け流しているのだ。
大海原を航海する豪華客船で出会ったこの老婆とハリーという男性は魅力的だった。
無一文となったベラは娼婦となって金を稼ぐようになるが、そこで彼女は客が女を選ぶのではなく、女が客を選ぶという意識を持つようになっている。
見終ると、彼女はこの娼館で主体性獲得したのだと思える。
ベラとマックスの結婚式の時にアルフィーという支配欲に固まった男として登場する。
この男の登場で衝撃の事実が明かされ、僕はベラ誕生の秘密に驚きを隠せなかった。
ベラはゴッドの死に立ち合ってゴッドと同じ解剖学の医師を目指す。
彼女も同じ道を歩んでゴッド(神)となったのだろう。
身体と頭脳が一致してベラは美しい笑顔を見せる。
ベラによってアルフィーも変わった動物となっている。
神の前では人間も動物も同じということなのかもしれない。
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