羽を休める鳥のように

きっとまた訪れる薄紫の夕暮れを待ちながら

恋の始まり

2005年06月07日 | Weblog
今はどうかわかりませんが、5~6年前の携帯の出会い系サイトは
軽いノリでアクセスしあうのが大半で、妙にマジメなものや、
本音が見えたりするものは、あまり受け入れられなかったような気がします。

みんなバーチャルな世界で気軽に楽しめる相手を求めていました。

わたしも「そんなもんよね」とタカをくくり適当にメールして
その場で楽しく会話できればいいと思うこともあったのです。

でも互いに勝手なイメージを作り上げて、ゲームだと割り切れるほど
わたしは若くはなかったし、何より『わたしはわたし』という自己への
こだわりは強かったかもしれません。
孤独なエゴイストがドアの鍵をしっかりかけて窓の外を眺めているように
『ひとはひとりだ』と感じていたわたしは、
訳のわからない寂寥感の中で、ある日その人の書き込みを読んだのです。

珍しくマジメな雰囲気のする文でした。
メールの返信はすぐに来ました。
でも、サイトでの出会いは『どうせみんな遊びなのだから、少しでも本気に
なったら必ず傷つく』と、ほんの少しの経験上知ったつもりだったので、
用心深く、会わないようにしていました。

「ちょっと入院するからメールできなくなるけど、
退院したらまたメールするからね」そんなやりとりのあと、
彼は決心したかのようにわたしに会いに来ました。