谷川のせせらぎ

「どこかへ行こう」と思い立って、川の流れる場所でぼんやりしたい、
と思って安く泊まれるところを検索して行ったのが谷川岳の麓。
ペンションの窓からは利根川が見えて、山々は美しく紅葉していました。

体調がよいわけでもなく、
薬をのみながらの小さな旅だったけれど、
おおきく深呼吸してからだいっぱいに冷気を吸いこみ、
「もうすこしがんばろうかな」と思ったりするのです。

さよなら、秋。

朝も昼も夕暮れも、空がきれいな秋。
おおきな謎解きのように、
沈黙するひとのように。

そして、といいかけて顔をあげたときに、
もう誰もいなくて、
諦めきれずにいつまでも振り向いて見ていた。

無残な約束のような、
だいすきな秋、
さようなら。