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母の病室にはプリントされた猫がいっぱい貼ってある。
家族が貼ったものではない。
担当の若いドクターがいつの間にか少しずつ増やしていった。
飼ってた猫は駿という名前で、、、と話したとき
彼は白衣のポケットからメモ用紙を取り出した。
もう母にしてあげられることはほとんどない。
見守ったり話しかけたりするだけだ。
先日行ったとき駿そっくりの猫写真が貼ってあった。
「シュンちゃんいるね」と声をかけると母はちゃんとしっかりと見る。
千羽鶴はグループホームのみなさんから。
「ここに帰ってきてね」というメッセージ。
わたしのメマイ症状は治ったと思ったけどそうでもなかった。
天井がぐるぐる回るこのメマイ。
でも安静にしててもダメだと知っているので無理せず動く。
母の部屋を片付けたら母が撮った駿の写真がたくさんでてきた。
ごろんと寝てるか外を見てるか、ヒーターの前にじっとすわってる後姿。
今度病院に行く時はこの写真を持っていってわたしも貼ろうと思った。