羽を休める鳥のように

きっとまた訪れる薄紫の夕暮れを待ちながら

秋の森の奇跡

2009年12月30日 | Weblog
考えなくてはいけないことはいつもある。
行動に移さなくてはいけないことも常にある。

仕事場の人と話していたら、年末年始はスキーに行くと言っていた。
毎年のことだと楽しそうに笑う。
そういう話題を続けて聞いたら、やっぱりちょっと羨ましかった。
5日でも一週間近くでも休みがとれるのはこの仕事では、
この時期しかない。
でもわたしは二ヶ所で働いているので、年末はいつも30日の夜まで
仕事をしているし、お正月気分もすぐに終わる。

昨夜は家族が社員旅行や外泊などで、自由時間が出現した。

友だちと会うことも考えたが、疲れているから諦めて、
結局は駅ビルで割引きになったお弁当を母の分と二つ買って帰る。
二世帯住宅で母は階下にいるし一緒には食べないので、
猫と一緒に夕食を済ませて、さて、何をしようか。

テレビはつまらない。ネットやゲームでパソコンを使ったら
あっという間に時間が過ぎるからもったいない。
それでふと思いつき、2日後に締め切りが迫ったエッセイを
書いてみることにした。
テーマがあり、締め切りがあるものへと向かうのは案外面白い。

決められた枚数ちょうどに収めるのも面白い。

そうやってひとりの夜が過ぎていった。
スキーや旅行ですこし長い休暇を楽しむ人たちはやっぱり羨ましい。
自分にそういうときがいつかは来るのかどうかは分からない。

いつでも何かしらのモンダイを抱えているような気がするけれど、
それもそれでいいんじゃないかと思う。
わたしはわたしなりのささやかな愉しみを見つけていけばいいのだ、
と半分強がり、半分は本気で考える。

ただし、考えるべきことで何かがふさがれているように感じる時は、
するすると読める本があるといい。
100円で買った「秋の森の奇跡」。林真理子さんは「読まず嫌い」だったので、
初挑戦。
新聞の広告を読んですこし気になってはいた。
「人生は少しずつ秋へと向かう それでも魂が触れ合うような
奇跡の恋は 生まれるのだろうか」と帯に書いてある。
もうすぐ読み終わる。

懐かしい写真

2009年12月25日 | Weblog
確実に予測していたことだが、
長女がわたしの手を離れ、通院も彼にすっかり任せることが
できるようになった途端、自分の親に老いが迫り、
しっかりと付き添う必要がでてきた。

そんなある日、仕事休みを母の付き添いで過ごしたあと、
遅い冬の午後、部屋の隅を片付けた。
いつもなら、自分も早朝から頭痛薬を服用しているために、
気力がなくてボンヤリするか、ひと眠りしてしまう。

すこし元気なのは嬉しい。

懐かしい写真。気に入ったのでシールにした残りがあった。
バンガローで迎えた夏休みの朝。
キャンプ場にいた猫と遊ぶこども達。
本当はちょっとまだネコが苦手だった末っ子が兄の笑顔の中で、
手を伸ばしてみせている。
見守る長女。

この頃から、何年が経ったのだろう。
子供たちにはいろんな体験をさせたいと思った。
いつもわたしはカメラ片手に彼らのそばにいた。

いま、ひとりは結婚をして、もう一人は恋に悩み、
もうひとりはメンタルクリニックに通っている。

カラタネオガタマ

2009年12月24日 | Weblog
小平にある薬用植物園に行ってみたい、と思っていたのは、
もう何年も何年も前だった。
ようやく訪れることができた。

何故か「薬用植物」という名前のもつイメージにひかれる。
園内は閑散として、陽だまりでは老人がじっと座っている。

すべての植物にきちんと立て札と長めの説明があり、
当然のことながらすべてに役割がきちんと与えられている。
ハーブを集めた一画もあるし、
薬用効果がある一方、有毒の樹木も意外に多かった。
「皮膚炎になる」というウルシのような木もあれば、
「果実は誤って食すると死に至る」というコワイものもある。
キンポウゲ科の福寿草はこれから大活躍のお正月の黄色い花。
根や茎には強心、利尿作用がある薬用植物らしいが、
「全草に作用の激しい成分を含むので家庭で飲用してはならない」
と書いてあった。


誰かがミクシィのアプリで育てていた「カラタネオガタマ」の大きな木が
あった。木蓮の種類だそうだ。花が咲く頃にもう一度見たい。
甘いバナナの香りがするというハーブの仲間。
こんな漢字「唐種招霊」。中国から来たから唐種。霊を招く?。。
何故か不思議な名前を持つ。気に入った樹。

カレルチャペック

2009年12月19日 | Weblog
親戚の子が結婚するという。
入籍は済ませたらしく、その報告に家に来るらしい。
気配りのできる優しい彼は、私と同じひどい片頭痛がある。
だから、お酒も飲まない。
お相手は北海道のお嬢さん。
二人のお祝いを吉祥寺の紅茶専門店「カレルチャペック」で選んだ。
今年の年号が入っている可愛いカップ。
結婚祝いのパッケージ缶に入っている紅茶。
その買い物を昨日済ませて、
今夜は次女の誕生日の食事に出かけた。
21歳。
コドモたちはみんなすくすくと大きくなっていいこに育った。
クリスマスの光溢れる街、結婚と誕生日の喜びも
輝いている。

迷うから恋

2009年12月13日 | Weblog
「まず行動する」優柔不断なくせに意外に大胆な一歩を外に出している。
このわたしの性格が、そのまま娘に受け継がれたのだろうか。

とにかく草むらから顔をだすウサギ。
臆病なくせに、好きな匂いに敏感だし、跳躍力にじぶんでビックリしたりする。

わたしはたくさんの恋をしてきた。
彼女もたくさんの恋をするだろう。
でもわたしは昔気質の母親にはなにも話さなかった。
なにも話せなくて、結局は大胆すぎる跳躍をして飛び出し、
母親を泣かせてしまった。


そんなわたしの「昔話」を聞きたがる娘。
もうすっかりオトナになった。
いま、恋の選択肢に逡巡しているようだ。

猫をさわりながらぽつぽつと話が打ち明けられる。
予測はしていて見守っていた親ウサギは、
読み終わった新聞をまた広げたり、彼女の表情を見たりしながら、
一緒に考える、「一歩を踏み出した」あと、これからのことを。

「元気です」

2009年12月12日 | Weblog
バイトの合間に予定を入れて、毎日毎日出かけていたのが、
やっぱりじぶんには無理だったみたいだ。
今日は、アタマとカラダが重くてなかなか起きられなかった。
それでも、昨夜から体調が悪い母親が心配で、
階下に様子を見に行く。
よかった、昨日より元気そうだ。
「昨日、あなたに貰った煮物を温めて食べようと思うの」と言って
台所にいた。
でも、今日、母の歯科医院に付き添うのは延期した。
母も行きたくないというし、雨も冷たい。


今日の夕方からは、太宰治関連の講演会がある。
誘っていただいて楽しみにしていたのに、
諦めようか、諦めるなら迷惑にならないように早めに「不参加」の
意思表示をしなくては・・・。

そう思って、迷いを残しながらもメールをして、
すこしパンを食べてクスリを飲み、たくさん眠った。
寝ても寝ても眠れるみたい。

時々起きて、新聞を読んだり、文庫を読んだりして、
夜になりパソコンを開いたら、
メールがきていた。
状況をすこし知っている知人からのメッセージ。
短いメールだったけれど最後にこうあった「そうだ、元気です」。
拓郎が好きという共通点があるので、
その歌のことだとすぐにわかった。

今夜は「元気です」を聞きながら寝ようと思う。
そして明日は今日よりもすこし元気になって、またがんばろう。

ここにいればいいよ。

2009年12月07日 | Weblog
何があってもどんなことをしても、あなたを護る。
子どもに緊急事態が発生したと知ったときに、
まずわたしはそう考える。
格好よく言うと「捨て身になる」。いろんな事態を想定し、
なるべくコワイ事やワルイ事ではありませんようにと胸のうちで祈りながら
事実が告げられるのを待つ、そのための場所へと急ぐ。

つい昨日までは、ずいぶんと弱気ですっかり停滞していた自分なのに、
子どものことになるとくるりと事態が反転して、
「何でもやるわよ」とドキドキしながらも強い母親となる。

羽を休める親鳥は、大きくなったこどもが傷ついて戻ってきたら
いつでも羽を広げて迎え入れる。
ここにいればよし、こどもは大きくなって見上げる位だったけれど、
小さな頃のように安心を与えてあげたい。

そして、これから何をするべきか、きちんと見つめて行く。
わたしが先に見てくるよ。
あなたはまずゆっくりと休んでいなさい。

そんな一日、
息子と雪景色を眺めた。
そとのせかいはすっかり冬だ。