羽を休める鳥のように

きっとまた訪れる薄紫の夕暮れを待ちながら

晩年

2015年12月30日 | Weblog
おやおや今年も終わりなのですね。
今日は昼までの仕事を終えて
駅ビルでお正月の花を買おうと思ったけど
他にも荷物があるので明日にしよう、と決めて本屋へ。

昨年は「今年一年読んだ本」をずらずら列挙したように思う。
まあ、今年はもう間に合わないのでいずれまた。
「去年読んだ本」でも書きましょうか。

今日買ったのは何と再びの「太宰治」「晩年」。
確かに持ってるはずなのに何十年も置き去りにしたのでどこかへいってしまった。
先日、三鷹ネットワーク大学で寺山修司と太宰治についての講義があった。
青森からいらした40代の女性講師は「今日は2人のシュウジについてお話したいと思います」
と仰った。そうだ、太宰も本名は修治だったのだ。
このときの教材「魚服記」が興味深く、記憶も彼方だったので再読しようと買ってきた。

今はまってる中島京子さんの本も探したんだけれどなかった。

面白い本に出会うと誰かに勧めようと思うときがある。
最近、わたしが思い浮かべるのは次女の婿さん。
次女が実家に帰る時いつも「何かお母さんから本借りてきて」って言うらしい。
そういうことが何度もあり、これは?と貸してあげるとすごく反応がいいので
こちらも嬉しくなる。
彼は探究心とか、芸術に対する憧憬とかが明確で、
うちの息子が製作する映画についてもなかなか素晴らしい感想を寄せてくれる。
(それでも趣味はランニングと体力づくり)

家族がふえて新しいメンバーが加わることって面白い。

さてさて今年も終わってしまう。
やるべきことがあって新年早々からそれを考えようと思う。
内容は友人からの相談。
先日会った時「Sさんならどうする?たたかう?」と聞かれ「闘う」と即答した。
もう彼女は疲れていて「闘い続けること」に気持ちが揺らいでいた。
それでも心身ともに傷ついたこどもが存在するのだから
わたしは非力だけれど自分にできることなら何でもしようと思った。

いつでもそのことを考えている。
そうして今年も終わろうとしている。

あまり更新しないこのブログに一年間おつきあい頂いたみなさま、ありがとうございました。
よいお年を。

動物の絵

2015年12月08日 | Weblog
先日、杉並の図書館へ薮内竜太さんのお話を聞きにいった。
いつかは行きたいと思っていた「読書の森公園」が隣りにあった。

竜太さんは挿し絵や絵本、愛鳥週間の鳥の絵などで有名な故薮内正幸さんの息子さんである。

「こどものとも」そして「冒険者たち ガンバと十五匹の仲間」などでわたしとこどもたちは
薮内さんの絵に親しみ、すっかり魅せられていた。
とくにガンバは毎晩、こどもたちが寝る前に読み聞かせていて親子で夢中になったものだ。
かわいかった「ぼーぼ」が死んでしまったとき、わたしは涙で読み進むことができず
シッカリ者の長女が代わりに読んでくれた、という思い出もある。

薮内さんの美術館が八ヶ岳のふもとにできて山荘から近いことを知ったときはすぐに行った。
ご存命だった奥様と楽しくお話もした。それ以来こうして企画展があると案内のハガキを頂いている。

薮内さんは少年の頃から動物が大好きで日が暮れるまでいつも動物園にいたそうだ。
写真も図鑑もなかった時代、1日見ていた動物を帰ってすぐに描いてみる子どもだったらしい。
独学で好きな絵を描き続け、高校を卒業すると説得されて福音館書店に入社した。
彼を大阪まで行って説得したのが当時編集長だった松居直。「こどものとも」を発行していた。

「こどもにこそ本物を見せなくてはいけない」という松居の信条と編集方針は素晴らしいと思う。

入社した薮内は国立科学博物館に毎日通って、動物の骨格標本の模写をくり返したという。

骨格、筋肉の動き、毛並みの具合、どれひとつとっても細密で正確な動物の絵をみて
「天才」とわたしは思っていた。もちろんすぐれた才能はあるに違いない、でも好きで好きで努力した結果なのだ、
ということがよくわかった。

図書館の近くでは原画展があった。