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【判例紹介】 公道に面する一筆の土地の内公道に接しない賃借人に通行権を認めた事例

2007年06月12日 | 借地の諸問題

 判例紹介

 公道に面する一筆の土地に面する部分が所有者によって使用され公道に接しない残余の部分が賃貸された場合に、賃借人に通行権を認めた事例 (東京地裁昭和62年5月27日判決、判例時報1269合89頁以下)

 (事案)
 X(借地人)の先代は、Y(1)から乙土地を賃借して、同土地上に建物を建築して所有していたが、死亡してXが賃借人の地位を承継。

 乙土地は、4つの地番の各土地に囲繞されていて公道に接しない。各土地のうち甲土地はY(1)の所有であった。その土地の持分の一部を妻のY(2)に贈与し共有となっており、甲土地の東側は公道に面し西側は乙土地に接している。

 (その余の3つの土地は第三者の所有地)Xの先代は、賃借当初には甲土地内の南側境界線から北側に幅約3mの通路を開設させ、そこを日常的に通行していた。その後、通路は甲と地上の建物の拡張で幅員が約1.8mに狭められたが、約20年にわたり通路として使用。

 その後、Y(1)が、甲と地上の建物の増築に際し、建築確認の都合上、前記通行を建築確認が終了まで見合せてほしいと要望し、Xの先代は、北側に隣接する第三者所有の丙土地の空地部分をその者の好意で通行する至った。

 ところが、Y(1)は甲土地と乙土地との堺にブロック塀を設置したため、甲土地内の通行が事実上不可能となり、XもY(1)に通路の再開を求めないままに丙土地を通行していた。

 ところが、丙土地の所有者が同地にマンションを建築する計画を立て、Xに対し丙土地の通行をやめ、甲土地の通行を求めことから、Xは、Y(1)、甲地に隣接する丁土地所有者、丙土地所有者の間で、Xの通行について協議し、その結果、Y(1)は甲土地内に従前と同様に幅員1.8mの通路を再開し妨害物除去費用はXの負担とする。丙土地所有者は工事完成後にXに対し従前通りの通行を認める等の合意が成立。

 ところがY(1)、Y(2)は、約定の通路内にブロック塀、鉄階段、物置を設置したまま、前記合意成立直後頃からXに対し丙土地の通行をすべきとして約束を履行しないため、XがY(1)に対し、乙土地の賃借権を有することの効果として、又は前記合意に基づき、Y(2)対しては、賃借権に基づく囲繞地通行権又は前記合意に基づき、通路の使用妨害禁止および工作物の収去を求めた事案。

 (判旨)
 「公道に面する一筆の土地の所有者が、その土地のうち公道に面しない部分を賃借し、その残余の公道に面する部分を自ら使用している場合には、所有者と賃借人との間において通行に関する別段の特約をしていなかったときでも、所有者は賃借人に対し賃貸借に基づく賃貸義務の一内容として残余地を当該賃貸借契約の目的に応じて通行させる義務があるものと解される最高裁昭和44年11月13日判決)判時582号65頁」。

 「(略)賃貸人であるY(1)が準袋地を使用収益させることの義務の一内容としての、甲地を通行させる義務は、潜在的には、依然として存続していたものというべきである」

 (寸評)
 類似事案は多い.判旨の前段部分には異論はなかろう.後段の判断は事実関係に左右される。

(1988.11.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

 

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