東京・台東借地借家人組合1

土地・建物を借りている賃借人の居住と営業の権利を守るために、自主的に組織された借地借家人のための組合です。

保証金/敷金トラブル/原状回復/法定更新/立退料/修繕費/適正地代/借地権/譲渡承諾料/建替承諾料/更新料/保証人

土地・建物を借りている賃借人の居住と営業の権利を自ら守るために、
自主的に組織された借地借家人のための組合です。

東京・台東借地借家人組合

借地借家人組合に加入して、
居住と営業する権利を守ろう。

無料電話相談は050-3656-8224(IP電話)
受付は月曜日~金曜日(午前10時~午後4時)
土曜日日曜日・祝日は休止 )

 尚、無料電話相談は原則1回のみとさせて頂きます。
 

【判例紹介】 借地人が競売の申立を受けた時は契約を解除出来る特約を無効とした事例

2008年08月06日 | 契約・更新・特約

 判例紹介


 借地人が競売の申立を受けた時は賃貸人は賃貸借契約を解除することができる旨の特約は、借地法11条により無効であるとされた事例 (神戸地裁昭和62年7月10日判決、判例タイムズ647号186頁以下)

 (事案)
 XらはYに対して建物所有目的で土地を賃貸しYはこの土地上に木造瓦葺平屋建を所有していたところ、Yがこの建物について債権者から競売の申立を受けた。X、Y間の賃貸契約ではYの置いて競売の申立を受けたときは、Xにおいて契約を解除しうる特約があったため、Xはこの特約により契約を解除し、Yに対して前記建物の収去土地明渡の請求をなした事件である。

 (判旨)
 「原告ら主張の特約は借地法11条に抵触し無効であるというべきである。借地法は、建物の存続する土地の円滑な利用及びその経済的効用の維持発展のため、借地契約について相当長期間の借地期間を定めと共に正当な事由がなければ、賃貸人は契約の更新を拒絶できないものとし(同法2条、3条から8条参照)、特に借地人の責に帰すべき事由があれば格別(例えば賃料の不払い)、そうでない限り無闇に借地契約を終了させず、もって借地人の地位安定を図り、これに反する借地人に不利な特約は無効である、と規定している(同法11条参照)。

 ところで、原告ら主張の本件特約は、借地人である被告が他から競売の申立を受けたことを理由として、賃貸人である原告らに契約の解除権を付与しようというものであるが、借地人が他から競売の申立を受けたということは、当該借地契約自体とは全く関係のないものであって、右契約について借地人の責に帰すべき事由により発生した事情とは到底いいえないから、これをもって賃貸人たる原告らに右解除権を付与することは、右借地法の各規定に反するものである」とし、競売の申立を受けたことが「ただちに信頼関係維持に反し、又は賃料不払いと同視すべき事由とはなし難い」としている。

 判旨は、前記理由に続いて借地法9条の3(注)いわゆる競落による借地権譲渡許可申立制度の存在からも、前記特約の無効に言及し、さらに、競売申立による解除権の発生を認めると、「借地人の地位を著しく不安定にし、一方的に不利益を被らせるものであって、借地の経済的効果を甚だしく減退させ、借地法の立法趣旨に反するものである」と判示している。

 (寸言)
 判旨に異論はなく、最高裁と同旨の立場である。実際の契約を見ると、この種の特約が、特に借家契約に見られることから、借地に関しては効力がないことを知ってもらえる意味で紹介した。

(1988.07.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

 


 

(注)借地法「9条の3」は借地借家法20条1項~4項と同旨

参考法令
借地法
第11条
 第2条、第4条乃至第8条ノ2、第9条ノ2(第9条ノ4ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)及前条ノ規定ニ反スル契約条件ニシテ借地権者ニ不利ナルモノハ之ヲ定メサルモノト看做ス


借地借家法20条1項
(建物競売等の場合における土地の賃借権の譲渡の許可)

第20条  第三者が賃借権の目的である土地の上の建物を競売又は公売により取得した場合において、その第三者が賃借権を取得しても借地権設定者に不利となるおそれがないにもかかわらず、借地権設定者がその賃借権の譲渡を承諾しないときは、裁判所は、その第三者の申立てにより、借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができる。この場合において、当事者間の利益の衡平を図るため必要があるときは、借地条件を変更し、又は財産上の給付を命ずることができる。

 

東京・台東借地借家人組合

無料電話相談は 050-3656-8224 (IP電話)
受付は月曜日~金曜日 (午前10時~午後4時)
土曜日日曜日・祝祭日は休止 )
尚、無料電話相談は原則1回のみとさせて頂きます。