カラパナの弟分バンドであるサマーのCharles Recaido(チャールズ・リケイド)とAkona(アコナ)なるグループのKevin Teves(ケヴィン・テベス)の二人によるユニット、Pāhoehoe(パホエホエ)による1stアルバム。元々はリケイドが一時サマーを脱退していた1984年にソロアルバムのつもりで製作していた作品のようですが、紆余曲折の末このパホエホエ名義で1990年にカセットテープでリリースすることになったらしく、そのテープ作品を1995年にCD化したものが今この手元にある一枚です。どうやら1990年前後のハワイではテープでの作品リリースが盛んだったようで、コンテンポラリーものでもセシリオ&カポノの各ソロ、ロイヤル・ガーナーあたりは僕自身も実物を見た経験あり。…と言うより、むしろCD以上に出回っている印象も受けるので、もしかしたらこちらの媒体の方が市民権を得ていたのかもしれません。内容的にはいわゆる90'sコンテンポラリー・ハワイアン。同じ二人組ユニットで同時期に活躍したNaluをもう少しアーバンな雰囲気にしたような作品となっています。正にアイランド・メロウと言った趣で爽やかな風を運ぶM-1のKona BreezeやM-6のSend Me Your Love、横揺れのグルーヴィーなビートと浮遊感が気持ちいいM-3のA Day In Springtime、インストゥルメンタルでしっとりと聴かせるM-4のJoshあたりが聴きどころ。決して派手な作品ではありませんが、外がじめじめと蒸し暑い今の時期、部屋でアルコールを飲みながら聴くのにはなかなか良い雰囲気です。ポイントは要所要所いいタイミングで入るキーボードとシンセの音色。弾いているのはリケイド自身だったりサイドメンだったり曲によって様々ですが、生ギター主体のアコースティックな演奏にエレクトリックな音色が一つ加わるだけで途端に都会的なサウンドに変貌するのだから不思議なものです。例によって血眼で探す類の作品ではないと思いますが、もしもどこかで見つけたならば聴いてみても良いかもしれません。
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