(前回からの続き)
前述、そして以前記事で指摘のとおり、わが国は、もう長いこと、政府と日銀の導きで、為替レートで円安が進めばその「進み地獄」、円高に戻ればその「戻り地獄」と、どちらに向かっても地獄、といえるようなドツボ状態に陥っています・・・が、それでも戻らなければならない(というより[円高株安が]イヤでも戻らされる)となれば、「戻り地獄」を最小化させるべく速やかに動くべきだが、それが実際には・・・できない以上、わたしたち個人が金(ゴールド)の保有等でそのダメージを自ら緩和するしかない・・・(円高・ドル安株安の進行がもたらす株や外債等の円換算額の減少を、ドル建て価格で急騰する金の、円高をしのぐだろう円建て価格の上昇で埋め合わせる、といったことです)
もっとも、個人的には、それでも日本には楽観しています。たしかに上記リスクが顕在化する事態は避けられないでしょう(し、だから金を持っている人々は相当程度、救われるでしょう)。しかし、以下のように、その損害は、きっと、逆に大きく高まる円の価値が吸収・消去してくれるだろうと信じるからです。具体的には・・・1ドル150円のときに手持ちの300円(2ドル)の半分(150円)で買った1ドルは、同50円になってしまえば100円(=150-50)の為替損を発生させるが、手元に残っている150円つまり3ドルと50円分の1ドルを合計すれば4ドルになるから、当初の2ドルの2倍のドル価値つまり石油(等)購買力を確保できていることになる、といったこと。となると、その投資家が感じる痛み(100円の損害)は、(石油等原材料ドル建て価格に影響される)電気代やガソリン代や小麦粉代の円価格の下落によって、それなりに癒されるでしょう。
ここで、上記投資家を救済したのは、「手元に残っている」円貨ですが、何度もお伝えのように、実際に、わたしたちには数百兆円も「手元に残っている」―――日銀当座預金口座に積み上がっている―――わけです。であれば、上記と同じことが日本国民すべてにあてはまります。今後不可避のドルのインフレ劣化に反比例するかたちでこの円のドル価値が、上記「戻り地獄」の評価損・為替損を埋めてさらに膨張していくだろう、ということです。その利回りは、ドル預金はもちろん、米不動産や米株のリターンを上回る(150円の元手で1ドル→3ドルと3倍のドル価値をゲットできる)ほどの高さになり得るでしょう。これに対する上記の米リスク資産のドル価値は、いくらインフレ・オンになる(以外にない)とはいえ、現時点での史上最高額付近がさらに3倍に・・・とは、なり難い(円のドル換算額の上昇率を上回れない)のではないか・・・って、そうなる前に米社会(の安定)はそのインフレ(不動産価格、家賃、ガソリン代、その他ほぼすべての物価の上昇)で壊れていくしかないからね・・・
このあたりが、上記した楽観視のおおまかな根拠です。それでも(上記の例で300円が200円へと100円減ってしまったように)「戻り地獄」では円貨の相当額の消滅は免れないでしょう。でも、その額は・・・に必要なコスト、とみなすことで・・・