(前回からの続き)
前述した理由から、韓国が通貨スワップ協定を結ぶべきパートナーとしてもっとも頼りになる国は、日本となります(というか、下記のようにすべての国にとってそうですが・・・)。
これも「円>ドル>ユーロ>新興国通貨」の不等式で次のように説明がつくところです。韓国の通貨ウォンはここでは最弱の新興国通貨カテゴリーに入ります。これに対して「円」は基軸通貨ドルをもしのぐ世界最強通貨。ということは万一の、いや近いうちに必然の(?)世界金融危機の際、ウォンはドルやユーロに対して著しく減価し、それだけこれら通貨建て債務の資金繰りが厳しくなります・・・
他方、円はこのとき・・・独歩高を演じる、すなわちウォンはもちろんドルやユーロに対しても大きく値上がりすることになります。その際、もし韓国が日韓協定を締結していて日本からの1兆円の融通枠を持っていたとしたら、これ、危機が深化すればするほど、ドル換算の価値が高まることになる。つまり1ドル100円のときは100億ドル、同80円のときは125億ドル、同50円(!・・って、十分にあり得るよ、この先?)のときは200億ドルなどと、どんどん膨らむわけです。それだけ韓国はこの円貨で対外債務の支払いに充てられるドルを得ることができることになります。こんな頼もしい通貨、円以外にあるものか・・・(?)
まあ実際に韓国がこうしたかたちでドル借金の返済に追われることになるのかどうかは分かりませんが、少なくとも韓国が日本からの円融通というセイフティーネットを持っていれば、欧米投資家の「韓国売り」はずっと緩やかになるでしょう。同国に円が提供された瞬間にウォン等は反転上昇し、これにカラ売りをかけていた場合は大損することになるから、彼らは韓国ショートのポジションが取れなくなるためです(?)。
上記の理屈は韓国のみならず円より下位の通貨・・・国のすべてに当てはまること。アメリカだってそうです。だからこそ日本(日銀等)はアメリカ、欧州連合、スイス、イギリスなどの世界主要国・・・の中銀等に円貨を提供するスワップ協定を結んでいる・・・って、「円」がこれらの中で最上位にあるから、実質的には日本が各国に金融安全網を提供するかたちになるわけです。当然、日本はこれとは逆にドル、ユーロ、スイスフラン等を融通してもらえる立場にありますが、世界一の純資産国たるわが国がそんな緊急事態に陥る可能性はまずあり得ない。厳密にいえば、日本以外のすべての諸国―――円未満の通貨国がすべて破綻する(≒インフレで沈む)のが先になるわけですからね・・・
このように、「円」は最強です。だからこそ日本は世界から上記のとおり頼られる。ドル覇権が生き永らえているのも、唯一その上位に君臨する円・・・の日本がアメリカを支えているから。そしてこれこそが・・・わが国第一の国益であり核兵器にも匹敵する(いや、凌駕する?)国防手段です。