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中央銀行に頼る世界経済の行く末⑥

2012-07-03 00:03:29 | 世界共通

(前回からの続き)

 市民を苦しめるインフレという災厄を防ぐには、やはり「過度のマネー供給はしないに限る」と思っています(もっとも残念ながら欧米諸国はマネー増刷を止めることがもはや困難になりつつあるように感じられますが・・・)。

 幸いなことにわが国の金融機関は、バブル時代の苦い経験を活かし?欧米関連のリスキーな債券やデリバティブなどにあまり手を出していないようです。そのため、近いうちに発生の可能性が高い金融恐慌によるダメージは限定的なものにとどまるでしょう(多少、希望的な観測)。

 さらに、日銀が金融緩和ラインは実質的なゼロ金利まで、としていることや、白川日銀総裁が金融政策の限界やデメリットについてしばしば言及していることなどをみても分かるとおり、欧米諸国と違ってわが国では今後も節度ある通貨管理が保たれる期待があります。

 一部には日銀に対してさらなる量的緩和やインフレ目標の引き上げなどを求める声もありますが、個人的には、物価や金融システムの安定のためにも、そして「円」の価値保全のためにも、日銀にはこれ以上の金融緩和(マネーのバラマキ)はしないでおいてほしいと希望しています。

 通貨の歴史は、新しい通貨の誕生→為政者の借金が増加→借金の負担を軽くするための通貨価値の希薄化(金貨や銀貨の代わりに紙幣を流通させたりすること)→通貨価値の下落・インフレの発生・金融システムの混乱→当該通貨の廃貨・新しい通貨の誕生へ、といったようなサイクルを繰り返してきました。つまり、通貨の価値はその誕生の瞬間から時間の経過にしたがって減っていくものであり続けています。

 一見、どの時代のものよりも洗練されているように思える現代社会の通貨システムも、結局はこの通貨の誕生から廃貨に至るサイクルの流れに乗っているように感じられます。あまりに巨大化した借金の実質的な負担を減らすために通貨を大量に発行するしかない(激しいインフレを起こして通貨の価値を落とすしかない)からです。その結果、近い将来、溢れかえったマネーの洪水が全世界を覆うことになりそうです。

 そうしたなか、主要通貨でほとんど唯一、節操を保った管理がされている(実質の金利がプラスに保たれている)は、この大洪水(外貨の過剰発行にともなう激しいインフレ)からわたしたちを守ってくれる防潮堤の役割を果たしてくれる可能性があります。もっともそれは、政府・日銀が「超円高を是正せよ!」といった声に負けて安易な金融緩和で意図的に円の価値を毀損させなければ、という条件付きの話・・・。

 しかし、日銀はともかく、いまの政府や有力国会議員、マスコミ等にはどちらかといえば金融緩和論者が多いように思われます。そのため、結局はドルやユーロに付き合うかたちで円もどんどん増刷されて価値を落としていくのではないでしょうか。そうなってしまったら、防潮堤を乗り越えたインフレの波がヒタヒタと国民生活を脅かしていくでしょう。

 最終的には、わたしたちはこの大洪水から逃れるための「ノアの箱舟」に乗る必要が出てくるかもしれません。その箱舟役を担うのは、以前、リスクオフの不等式「金>円>ドル>ユーロ>新興国通貨」で示したとおり、安直に増刷できるペーパーマネーなどと違った希少性を持ち、有史以来、万人が価値の保全手段と認めてきた(ゴールド)以外にあり得ないのではないでしょうか。

(「中央銀行に頼る世界経済の行く末」おわり)


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