Straphangers’ Room2022

旧Straphangers' Eyeや習志野原の掲示板の管理人の書きなぐりです

大使館員が逃げてから飛ぶ救援機

2021-08-24 21:35:00 | 時事
アフガンへの自衛隊機派遣が急遽決まりましたが、なんか本質を見ずに「自衛隊機派遣ばんざーい」というレベルの声が強いのには眩暈がしますね。あるいは「見たかサヨクども」というレベルもそう。よほどゴリゴリの左翼でない限り、じゃあここで民間機、と言い出したら「自衛隊はどうした」と左派でも言うでしょう。あのピースボートですら中東で海自に護衛してもらった件を肯定的に評価していたくらいですし、厳しい現実を前にしてなおもお花畑という人は少ないでしょう。

問題はそこではなく、輸送(退避)対象が在留邦人と現地のアフガン人スタッフということ。
特に在留邦人というのはどういうことか。もちろん急転直下の状況で体制崩壊までにカブールに辿り着くことも出来ない状況だったことは想像に難くありませんが、じゃあ大使館の日本人職員が全員UAEに「逃げた」というのは余計に問題でしょう。

現地に日本人がまだ残っている。退避用に自衛隊機を派遣する。日本政府として現地で対応する、差配するスタッフがいないんですよ。大使館が通常はそれをするはずですが、現地アフガン人スタッフどころか在留邦人よりも先に逃げちゃったわけですから。

米大使館も退避しましたが、米軍がいるわけです。全員退避ではなく、一部は空港でいつでも逃げられる体制の下で安全を確保している状態です。現地アフガン人スタッフも同様です。同じように見えて中身が全然違います。
ちなみにサイゴン陥落の際、米大使はほとんど最後にヘリで米大使館を離れていますけどね。
今回もタリバンは「逃げたければ早く逃げろ」的なスタンスです。であれば米国のように軍隊で避難民を守るか、最低でも大使館などの「現地代表」が機能して睨みを利かせないとダメでしょう。一定の期間は猶予するという話でもあり、その間にいかに秩序だって逃げるかです。

さて今回の混乱は、タリバンによる恐武ュ治になる、という推定が前提になっています。前回のタリバン政権当時の「実績」があるわけです。
一方で中国はタリバンに接近し、あわよくば取り込もうとしているのが気になるわけです。ただ、イスラム原理主義のタリバンの行動原理を容認したらウイグルでのイスラム抑圧と矛盾しますし、独裁体制へのテコ入れはインドシナ戦争後のャ泣トとの関係を否が応でも思い出させるわけで、米撤退後の勢力拡大を目論んでの行動でしょうが、相当な悪手になるでしょうね。タリバンを懐柔した、という評価には絶対にならない構図ですから。
(タリバンが穏健=世俗になることはありえない。中国が原理主義を容認したらウイグル政策と矛盾するし、人権問題でさすがに中国でもそこまでやっていないことを支持する格好になる)

一方でタリバン側もイランやサウジアラビアレベルの「人権」までは譲歩する可能性はあるでしょう。どのみち国の再建や兵力の確保で女性の活用が不可避になるはずですから。そこを落としどころに中国が「指導」し始めたら厄介ですが。