Straphangers’ Room2022

旧Straphangers' Eyeや習志野原の掲示板の管理人の書きなぐりです

値上げの隠れみの

2014-11-30 13:57:00 | 交通
国交省が2016年度から首都圏の高速道路につき、事業者ごとに支払ったり、高速自動車国道と有料道路で異なる賃率を見直し、経路にかかわらず起終点が一緒なら同じ料金にする検討に入ったと、11月28日のメディアはいっせいに伝えました。

関西圏でも同様にするとあり、一見利便性が向上するように見える話ですが、要は現在距離に応じた区間制をとる首都高をターミナルチャージ+距離制賃率に変更し、NEXCO区間と通算するということです。
圏央道の割高賃率も解消するようにみえますが、これも高速道路側の賃率を上げて対応するのでしょう。おそらく普通の利用者にとっては値上げにしか見えません。

首都高、阪高が距離制料金を導入しましたが、その最初期に報じられた内容を覚えているでしょうか。
まさに今回導入される可能性があるターミナルチャージ+距離制賃率だったわけで、当時700円均一だった都市高速が、提示された賃率等では最大で1700円になったり、当時残っていた料金区界を越えての遠距離利用だと、1200円や1300円だった料金が最大で2700円になるというような話にならない内容でした。

「わかりづらい」という声が多い、というのを錦の御旗にしていますが、同時に提起されている「ETC割引の見直し」も含めて、「分かり役シンプルな料金」に値上げするのでしょう。一部を切り取って都合のいい理由にしてしまうのが見え見えです。
メディアもどう見ても提灯記事であり、料金計算上は都心経由で短絡できれば圏央道経由より絶対に安くなる東京通過ルートを例示したり、毎日新聞のように都心¢竃ヘ原で厚木経由は500円も安い、というウソをついたり(公式の料金検索だと、霞ヶ関¢竃ヘ原愛川では厚木経由2690円(休日ETC2330円)、八王子経由2710円(休日ETC2200円)で、所要時間は厚木経由が10分早い)、さすが自腹を切らない記者ならではの記事です。

料金が安いから都心経由が多い、というのは確かに問題ですが、じゃあどうすれば環状道路に流せるか、というときに、値上げ方向で料金を揃えるというのは論外です。
そもそも、料金が一緒ならガソリン代が安い短絡ルート、つまり都心経由にアドバンテージがあるわけで、迂回する環状方向で余計に費やす時間>渋滞ロスなら移行しません。環状方向を安く設定する、すなわち通算、統一ではなく計算上の制度変更で対応すべき話です。

結局、値上げしてふんだくる、という目的と効果しか見えないわけで、それに好意的なメディアを見ると、庶民の生活がどうの、と選挙報道で言っていることが真っ赤なウソに見えてきます。



常磐線代行バス

2014-11-28 00:36:00 | 交通
R6が再開通しても常磐線の代行バスが設定されない件についてあれこれ邪推しましたが、来年2月から運行されるようです。
常磐線復旧を話し合う会議体で出たとのことですが、メディアによって内容がまちまちなあたり、ラフスケッチということでしょうか。

いちばん具体的な案は竜田′エノ町で2往復、ノンストップ運行というものであり、このほかいわき′エノ町での運行とか、本数も数往復、とあるわけで、最終的にどうなるかは分かりません。
ただ、公式には退出時にスクリーニングを推奨されるほどの放射線量の話もあるわけで、乗用車よりも車高が高く線源からは遠いとはいえ、R6経由というのはどうなのかな、という思いはあります。

前にも書いたとおり、常磐道全通でR6を再閉鎖して通過流動は常磐道を使うほうが望ましいわけで、代行バスもそれにあわせて(GW前の開通ですから2ヶ月ちょっとの差です)常磐道全通時に運行を開始するほうがいいでしょう。
そして運行区間も、竜田はどうでしょうね。鉄道不通区間を繋ぐという意味では竜田′エノ町ですが、避難指示解除準備区域の楢葉町よりは、解除された広野町まで進めて、広野′エノ町というのが妥当な気がします。高速を使う場合でも、広野ICが使えますから。


常磐道の延伸とR6の再開通

2014-11-25 01:23:00 | 交通
安倍首相が常磐道を来年の大型連休までに全通させる、と宣言しましたが、帰還困難区域を縦貫する常磐富岡IC§Q江ICを除く区間が一足早く年内の12月6日に開通します。


(浪江町内の掲示)

飛び地のような開通区間だった南相馬IC¢株nICはこれまで無料区間でしたが、今回から有料になります。そして浪江IC%・株nIC、相馬IC℃R元ICの開通で、浪江IC以北は仙台東部道路につながり、三陸道、仙台北部道路、仙台南部道路と接続し、東北道ともつながります。


(開通この方無料だった)

これまで復興需要や住民の移動で、未開通の相馬IC℃R元IC間にとどまらず、開通区間である南相馬IC(原町)¢株nIC間もR6の移動に時間がかかっていましたが、仙台へつながることで、未開通区間からのシフトだけでなく、既開通区間においても転移が進むものと思われ、R6の通行も楽になるでしょうから、常磐線代行バスのストレスも減ると思います。


(常磐道既開通区間)

さて、今回の開通で北側の開通区間は浪江ICにまで達しました。
浪江町は避難指示解除準備区域なので立ち入りは出来るのですが、防犯対策などで住民など許可を得た人以外の立ち入りを禁止しています。唯一通過交通対応としてR6のみ通れる状態が続いていますが、今回の開通で浪江ICとR6を結ぶR114も一部区間が開放されることになります。

一方南側の北端である常磐富岡ICは帰還困難区域に接する格好であり、R6に出るr36も常磐線のガードから東側が帰還困難区域ということで、二輪車、自転車、軽車両、歩行者の通行が出来ない状態で特別に開放されています。
今回の開通で、常磐富岡IC~r36~R6~R114~浪江ICという流動が増えるのか、それとも、となるのかは未知数です。ただ、足下は交通量は明らかに少なく、相双地区に関係ないクルマ、特に業務用車やトラック系は極端に少ないです。


(常磐富岡ICの4km南で2.29マイクロシーベルトという現実)

それなりに放射線のリスクを明言されている状態で、来春の常磐道全通を迎えるわけですが、放射線量が高いベルト地帯を横断する大熊町から双葉町にかけての区間をどう対応するのか。常磐道も二輪不可にするのか。とあれこれ考えられますが、逆に相対的にR6よりも空間放射線量が少ないエリアを通る常磐道が開通することで、R6の再閉鎖も考えうるのではないでしょうか。

運用が難しいですが(0円でも通行券を発見する必要がある)、常磐富岡IC§Q江IC(流動的には広野IC%・株nICであるべきだが)を無料開放し、通過流動を常磐道に担わせることで、R6を帰還困難区域への出入りに限定して再閉鎖するのです。
幸か不幸か常磐富岡ICと浪江ICの間で平行するR6は9月まで規制されていた区間にほぼ重なるわけで、基本的にその区間で停車してはいけない、という建前であり、常磐道経由としても問題は無いはずです。


(もうすぐ開通)

広野ICと南相馬ICまでR6の代替にすれば、避難指示解除準備区域も含めてパスできるわけで、防犯上も有効でしょうし、除染の徹底を図ることで安全に移動出来ることになります。



公平を理由にした不公平な差配

2014-11-25 01:13:00 | 交通
エアバスA380の導入キャンセルに伴う違約金債務の問題が経営に大きな影を差すスカイマークですが、ここに来てJALとの提携で活路を見出す方向で両社とも動いています。


(神戸に集うSKY)

資本参加などの直接的な経営支援ではなく、羽田便のコードシェアを柱とする業務提携による改善であり、SKYがこだわる自主路線を維持した上で経営を立て直す上手いやり方といえますが、即効性という意味では未知数です。
そもそもエアバスとの違約金交渉も、一時期前払金の全額没収の範囲内という話が確定的に伝えられたのに、ここに来てそれがどうも違うようという話もあります。このあたりはSKYの交渉下手もありますが、注文流れのはめ込み先が見つかっている現状で「手付け流し」以上の要求が妥当かどうか、という話もあります。


(巨人機が徒となり...)

JALとSKYのコードシェアというと、いずれも短命でしたがHND-KIXとHND-UKBでの実績があります。特に神戸便は1996年2月開港で、4月5月の2ヶ月のみ、という超短命だったので知らない人も多いでしょう。
とはいえJALの場合、持分法適用会社とはいえLCCのジェットスタージャパンとのコードシェアを実施するなど柔軟性という意味ではANAより高く、SKYとの提携もそうした経営方針の一環と言えるでしょう。


(かつては神戸にも来ていました)

ところがこの計画に思わぬ横槍が入っています。
国交省が、JALは経営再建中であり、SKYとの提携は国内の競争体制を歪めかねないので好ましくない。と言い出しているのです。
まずはSKYの建て直しなのに、という部分については、レガシーによる経営参加しかない、といわんばかりの対応ですが、いかにJALが国費で経営再建途上にあるとはいえ、国によるあまりにも露骨な「身売り要請」は鼻白むというか、呆れるしかないです。

国が介入するのであれば違約金問題で「公平妥当」な水準に留めるべし、という部分であり、それでこそ我が国の航空業界を管轄する官庁としての仕事といえますが、それを向こうの言い分を丸呑みで、身売りを促す、というのは、羽田枠という財産を持つSKYを草刈り場にしたい、甘い汁に与りたい、という姿勢としか見えません。

国交省の対応で特に不可解なのがことあるごとにANAのことを慮る姿勢でしょう。
競争原理が歪む、というのであれば、SNA、ADO、SFJを「別動隊」として使い実質の羽田枠を増やしているのはどうなのか。先日もSFJを山口宇部に就航させて羽田枠を浮かせていますが、「別動隊」を就航させてその分本体を撤退させて収益性のいい路線を増発、ということがまかり通っていることのほうが「競争原理が歪む」のではないでしょうか。


(別動隊に移管した例)

今回の国交省の問題は、時代錯誤的な行政による介入に加え、公平を謳う対応に不公平があるということでしょう。JALとSKYのコードシェアではANAと別動隊のような事態は起きないのに、なぜJALだけ難色なのか。
そして経営方針が相当拙いとはいえ、独立系の最後の砦であるSKYの「身売り」を露骨に促進しながら「競争原理」を唱える自己矛盾もそうでしょう。言うことを聞かないSKYを取り潰して、LCCに至るまでレガシーの傘下におき、それを国交省が差配する、という航空行政ならぬ航空統制を夢見ているとしか思えません。




キラキラネームの空港

2014-11-23 01:46:00 | 交通
どこの誰が始めたのかは知りませんが、全国の空港で競うように「妙な名前」をつける動きが加速しています。
足下でも「鳥取砂丘コナン」「宮崎ブーゲンビリア」が加わるようですが、一応「愛称」とはいえ現地では正式名称然として扱われていることも多いわけで、はっきり言ってしまえば「見ていて恥ずかしい」レベルの名称も少なくありません。


(鳥取県では「米子鬼太郎」という先例が)

特に最近のそれは観光振興を旗印にしたものが多く、いわゆる「キラキラネーム」に通じるものがあるわけですが、自治体がいわゆる「ゆるキャラ」で当てたりスベったりするのと違って、「公共施設」の取扱いとして考えると、悪乗りの域を超えたものすら感じます。


(「米子鬼太郎」は道路標識にも使用)

確かに空港(飛行場)の正式名称のなかには「名は体を現さず」というケースもあり、そういう空港の場合は早くから通称として、あるいは愛称として地域名が通用していました。もちろんその下地としては戦前の飛行場名称や自衛隊側での名称も下敷きにあるわけで、東京国際空港=羽田、大阪国際空港=伊丹、福岡空港=板付、名古屋空港=小牧といった名称は広く知られています。
これらは都市名だけだと場所の特定が難しいとか、1つの都市に2つ以上の空港がある場合の識別手段でもあり、今は正式名称も「成田」ですが、かつての新東京国際空港=成田や、札幌における丘珠と千歳(新千歳)というようなケースもありますが、こちらは正式名称も地域名で、運航上は東京(成田)とか札幌(丘珠)というように使われているようです。


(国際線でも羽田と成田を使い分けている(使い分けないでTOKYOだけのケースもある))

この逆パターンとして、空港(飛行場)の名称がローカルすぎてイメージがつかみづらい、というケースがあり、その代表が中標津空港=根室中標津であり、著名地名を重ねた例としては紋別空港=オホーツク紋別がありますが、南紀白浜空港のように元々この名称だったり、女満別空港のように北見や網走の名を借りない独自路線もあります。


(航空会社の案内では愛称どころか「沖縄」「札幌」という表記も)

では今の状況はなぜ、と考えた時、2003年の「高知龍馬」が事実上の発端ではないでしょうか。
人名をつけた我が国初めての空港、という触れ込みでしたが、まあ漢字2文字の追加ということもあり、まだキラキラ度は低かったせいもあって、比較的好意的に受け入れられましたが、そこで芽を摘まなかったのがいけなかったのでしょう。

同じ頃、まさに「愛称」を設定するケースもあり、2005年開港の中部国際空港は「セントレア」、2006年開港の神戸空港は「マリンエア」の愛称を持ちますが、あくまで空港名は「中部国際」「神戸」であり、「中部セントレア空港」「神戸マリン空港」というようなものではなく、各地の空港もこのレベルであればまだ良かったのでしょう。


(神戸空港は「マリンエア」の愛称を持つが...)

一方で副名称としての「愛称」は知名度もいまひとつで、「セントレア」「マリンエア」も広く使われているとはいいがたい状況であり、そうなると地域振興を旗印に掲げる地方空港は、空港名そのものの変更(愛称)という直接的な手段に出たのでしょう。
それでも従前にあったタイプの地域名をセットにした「とかち帯広」や「信州まつもと」はまだ許容範囲といえますが、観光名物、名勝を織り込むようになると怪しくなったわけです。


(開港前から富士山静岡)

まあ「いわて花巻」は古典的愛称ですし、結構古い「有明佐賀」、そして近年の「阿蘇くまもと」「萩・石見」、そして新設時から愛称入りの「富士山静岡」「岩国錦帯橋」はギリギリ許容範囲ですが、「高知龍馬」系が繁殖した時点で頭を抱える事態になったわけです。


(岩国錦帯橋も同様)

「たんちょう釧路」「対馬やまねこ」「コウノトリ但馬」のような生き物系に、「徳島阿波おどり」「米子鬼太郎」のようなイベント、まちおこし系に加え、最近目立ってきたのがインパクト系というか、地元の特徴ではあるが、どうもフィーリングというかインパクトを優先した名称です。


(「おいしい山形空港)

「富山きときと」「おいしい山形」「おいしい庄内」「南ぬ島(ぱいぬしま)石垣」とくるとはっきり言ってなんでしょうね。
「出雲縁むすび」が実ははしりの地元特性系ともいえますが、地元自治体が主導して命名したら空港という地域の玄関口といえる公共施設の名称もありなんでしょうが、だったらネーミングライツで企業名を入れるのとどこが違うのか、というレベルになっています。実際、地域振興の旗印ではありますが、空港名になることで特定の産業や事業者が受益者になるケースも考えられるわけで、「宣伝」とどこが違うのか、という話です。


(ターミナルビルは未だに「旧称」のまま)

ちなみに山形と庄内については2014年5月に県が同時に命名しており、「2空港同時は全国初」と妙な自慢をしていますが、同じ愛称とは紛らわしさにもほどがあるわけで、命名発表時に「※庄内空港、山形空港は位置も就航会社も異なる別々の空港です。お間違いのないようご注意ください。」と書き添えるほど無理があるレベルです。


(どっちも「おいしい」)

もちろん外国でもNYのJFK空港とか、パリのドゴール空港といったケースはありますが、偉人の名前を施設や地名にする文化のある国とない国の違いでもあり、単純な比較は出来ませんし、だから日本でもとは到底いえません。

今のところ鉄道の駅、高速バスやフェリーのターミナルに飛び火する兆候はないですが、輸送事業者ではなく地元が空港とターミナルビルを運営する航空特有の現象という整理で落ち着くのでしょうか。
とはいえ、これが飛び火して「北陸新幹線富山きときと駅」とか「高徳線徳島阿波おどり駅」にならない保証はないわけで、公共交通、特に幹線交通のターミナル名については、一定のガイドラインを設ける必要があるでしょう。


(いまのところ道路標識は「旧称」です)

本来はそれこそ自治体が常識的な判断を下すべき存在なのですが、自治体が率先してはじけているのですから...