Straphangers’ Room2022

旧Straphangers' Eyeや習志野原の掲示板の管理人の書きなぐりです

「記録」と「歴史」

2022-11-21 21:19:27 | 
MLBのMVP、大谷は2年連続の受賞を逃しましたね。まあ決定する側も悩んだと思いますよ。投手、打撃のそれぞれでは「そこそこ」だけど同一人物が同じシーズンとなると104年ぶりの快挙、でもこれを評価したら毎年大谷しか受賞できなくなるでしょうから。
その意味ではプレーオフに進出して本塁打62本のアリーグ新記録を作ったジャッジの受賞は「今の評価基準では」順当でしょう。

ただアリーグ新記録のジャッジはあくまでリーグ新記録であり、薬物疑惑(ほぼクロでしょうが)とはいえ記録自体は抹消されていない記録がナリーグであるわけで(マグワイアの65本と70本、ポンズの73本)、62本はあくまで「記録」、それもアリーグ記録であり、大谷のようなMLBとしての「歴史」ではないのです。大谷はよしんばMVPを取ったとしても2022年のシーズンを語る際には104年ぶりの2桁勝利、本塁打という歴史的快挙が前面に出てくるのは必定で、MVPは添え物でしょう。

日本人的には、相撲取りの世界で横綱が代々あるけど歴史上最強の力士と言うと双葉山でも谷風でもなく横綱の推挙を受けなかった雷電で衆目の一致するところ、というのが今年の大谷に関してはしっくりくるでしょう。MVPという形式を超越して記録が歴史になった選手として名前を残すと言えますね。



様式美も予定調和もない「紅白」

2022-11-18 20:57:45 | 
おせちの話、以前特派員くんにバンコクでの状況を聞いたのですが、まあ日本食材がマイナー系まで何でもそろう街だけあって不自由しなかったそうですが、やはりロットが大きいわけで、単身駐在だったため「これ1本(1つ)買ってどうする?」という正月用品に値札もさることながら、松が取れて1月中旬までかけて食べきったエピソードとか、いろいろあったそうです。一方で仕入れの見込み違いもあるようで、特にタイでCovid19第二波流行による外出規制が12月下旬に急遽入った2020年の年末は、スーパーが仕入れた後で「おうち需要」が高まったようで、30日にはあれこれかなりの欠品が発生していたそうです。特に伊達巻の欠品は想定外だった、と伊達巻好きの特派員くんがまさかの伊達巻抜きの正月を迎えた繰り言を聞かされましたし。空輸(旅客便は欠航扱いでも貨物便として飛んでいる)であれこれ揃うとは言っても所詮は海外で輸入品、食品ですから通関に検疫とありますから、急遽補充というわけにもいかないのです。

さて、外地でもそうやって日本っぽい正月を迎えていたわけですが、NHKワールドでは日本時間で生放送される紅白は、半日の時差となる北米方面をターゲットに元日の午前中にも再放送していました。ですから紅白でこんなハプニングが、と報じられたのをネットで見たら、再放送を見て確認出来るんだよ、と言ってましたね。
しかし年々出場者が「分からない」という中高年らしい感想が出てくるわけで、後述するような問題もあり紅白も楽しめない独り身の年末というのも虚しい、という愚痴も聞かされました。

そう考えると先日発表された今年の紅白の出場者は例年に輪をかけて若者に全振りという感じです。いよいよ「年忘れにっぽんの歌」に全面移行するしかないか、と思わざるを得ないメンバーです。まあネトウヨレベルの「韓流ケシカラン」はそもそも今は「K-Pop」っていうんだよ、というしかない時代から取り残された批判ですが、一方で韓国とは時差の無い日本で紅白に出るということは、韓国で「カウントダウンイベント」に出ない(呼ばれない)ような「二線級」という評価も可能であり(失礼!)、そうでなければ日本市場向けの「輸出用商品」ですから、微妙ですけどね。

まあ若者に全振りで媚びを売る、という戦略と言われていますし、ついていけないと批判するネット民の多くが実は中高年層と思われるわけです。しかしなんだかんだと言って同世代が「歌番組」を見ているという習慣で育った中高年は、長じるとともに世代に応じた曲を聞くようになることで結局は紅白を見る、というのと違い、たこつぼ化して推しで無ければあまり興味がない、という時代ですから、あれこれ並べてもジェネレーションギャップ同様に世代内でも分断されてしまうのではないんでしょうか。そうであればNHKの目論見は見事に外れますが。そして中高年層も演歌や歌謡曲でない世代が中心を占めてきていますが、そうなると昔から紅白には出ない、という歌手に親しんでいるわけで、一気に壊滅的な「客離れ」になるかもしれませんね。ちょうど「J-Pop」としてみんなの間で共有できた曲があった最後の世代は独立して「一家団欒」と縁遠い世代のはずですし。

なお今年の紅白もアニメのコラボ企画を推していますが、海外ではこれをやられるとたまったもんじゃないのです。
放映権、上映権の関係で動画を放映できず、静止画像になってしまいますからね。2019年はラグビーW杯特集のコーナーがこれにひっかかり、2020年、2021年はアニメとのコラボ企画が全滅でした。実は絶対に流せないわけではないわけで、ニュースでのMLBの静止画像が、大谷の活躍で動画が流れることが多くなったように、NHKがケチらなければいいだけの話です。紅白くらい満足に見せてほしいものです。

まあアニメの場合は国によって検閲(特に性や暴力関係の規制)もあるので、その場合は絶対不可ですが、NHKワールドで流す以上は、それなりに配慮してほしいですね。静止画像の時間が長いと嫌になりますし、その画像を日本に送って「今こんな状態」と言ったら、「その画像は曲と無関係だよ」という子供からの指摘もあったわけで、あまりにもひどすぎますから。



おせちを「買う」わけ

2022-11-18 20:56:58 | 
ネットのポータルに出ていた、おせちを「買う」ことへの批判記事、結局は毎度の添加物批判ですが、そもそも「おせち」は三箇日には雑煮以外の炊事をしないという慣習による「保存がきく」食品ということを踏まえたら、今の科学、化学の力を駆使して「保存がきく」なら然程おかしくない、という逆説的な評価も出来ます。

記事では同時に手作りを勧めているわけですが、昨今なんで「有名料亭のおせち」をはじめとする出来合いのおせちが流行っているのか、全く分かっていないわけです。核家族化どころか夫婦だけ、単身とか、老人も老夫婦だけとか先立たれて独居老人とか、家族の構成単位がさらに小さくなっています。一方で筆者が勧めるような「手作り」となるとどのような単位になるのか。核家族でも三箇日全ておせちでも持て余すわけで、ましてや単身者だと松の内でも食べきれません。おせちの定番の紅白蒲鉾に伊達巻とか、普通に買う素材で。

しかも「正月用品」ということで平気で値段を釣り上げてくるわけで、豪勢な素材を使わない蒲鉾に伊達巻、栗きんとんに田作り、黒豆、昆布巻といった基本メンバーを揃えるだけでも安物で5千円レベル、記事が勧めるような添加物も少ない上質なものだと1万円レベルです。さらに縁起物だからとちょろぎやクワイといった脇を固める材料にまで手を出すとさらに高くなります。一方で2人前とか適切な量の「有名料亭のおせち」など「買う」おせちは基本メンバーだけでなくそうした縁起物や豪華な素材まであれこれ入って1万円台から、というわけで、そりゃ添加物も入っているでしょうし、有名料亭は名義貸しで中小のキッチンや工場で作ってるんでしょうが、そっちが手軽で安いんですよ。贅沢に見えて経済的事情でも買う方が得なんです。私事ながら老親も作らなくなって久しいですね。手間もコストもかさむうえに食べきれないから、と言ってましたし、買う方が目先も替わって色々食べられて楽しいと言ってました。私など子供が帰省しますが、それでも多いですから。正月という「ハレの日」ですからどっちがいいか、言うまでもないでしょう。

和食は「だし」が命だから添加物だらけの料理はまがい物、というのは簡単ですし、確かに正しいですが、手間もコストもかかるわけで、疲弊した国民のどれだけが出来る話かと考えたことがあるのか。
まあ和食は美味しいが手間がかかるわけで、以前読んだカレーライスに関する書物で、日本におけるカレーライスの普及は徴兵制における軍隊経由であらゆる「壮丁」が食べたということと、それを除隊したあとに故郷に持ち帰ったという結論になっていましたが、特に農村部で農繁期の食事として手軽で美味しいカレーライスは人気であっという間に普及したとのこと。そこでも、従来からの和食はだしを取ってあれこれ煮炊きして手間がかかる、というデメリットが、という説明でした。家族単位だと人手もあった戦前からそういう状況というのに、人手もなく何かと忙しい現代の年末年始に「手間をかけるべし」ということは何たる浮世離れした話なんでしょうね。と思わざるを得ませんした。



客を騙そうが事業者無謬

2022-11-17 20:52:57 | 
交通事業者による利用者の不利益になる方向での施策を批判すると、あれこれ理屈を並び立てて擁護する連中を「事業者無謬」と呼んできましたが。交通の世界以外にもこの手のトンデモがいるんですね。

ネットにコンビニのサンドイッチが「上げ底」(表面にはぎっしり具材があるように見せて、三角形の頂点側は早々にバター類すらない「パンだけ」の商品)という外国人からの批判を紹介し、円安ガー、物価高ガー、というお決まりの言い訳を鵜呑みにせず、もともと日本ではそういう「騙し」が一般的だった、という批判記事がありました。

すると湧いてきたのがコンビニを擁護する「事業者無謬」の数々で、まあさすがに全肯定は出来ないのでしょうね、コンビニの商品に多くを求めるほうがおかしい、というはぐらかしが大半ですが。
まあこの手の手合いは読解力も無いようで、こうした「上げ底」文化の根底に旧軍に顕著だった「員数主義」を挙げていた筆者に対し、そもそも「員数主義」が理解できていないから左翼お得意の旧軍批判と勘違いしたコメントが氾濫していましたね。そもそもオリジナルは保守系の論客である山本七平(イザヤ・ペンダサン)なんですが。(ただし本論で「員数主義」を持ち出すのはちょっと違う気もします)

結局本論で指摘されているように、日本がまだ貧しかったころどころか1980年代、1990年代といった先進国入りして世界一、二位を争うようになっても跋扈していた悪弊だったわけです。客を騙してでも儲けを確保することに何の呵責も感じないのが業者の常です。個人的な経験としては、今世紀に入ってからですよ、実家に家族で帰省した際、老親が特に孫のためにと、スーパーで「なんとか肉」とブランドを誇らしげに書いた牛肉をすき焼き用に買ったら、丁寧に折り返した陰の側は総て脂身という「上げ底」だったわけで、まあこっちはこのスーパー(某大手チェーン)ならやりかねない、と苦笑して終わったのに対し、老親はせっかくのおもてなしが台無しになったと気の毒なくらいに恐縮していましたが、そういう結果を招こうが何だろうがお構いなしの風潮が景気や為替とは無関係に常に続いていたわけです。

その意味では交通事業者は騙さなくても独占事業者として利用者からふんだくれますが、それに呵責を覚えることが無いという点では相似形ですし、批判すると擁護一辺倒の「事業者無謬」が湧いてくるのですから、このあたりは一般論化できそうな宿痾ですね。

こうした「実質値上げ」は、いわゆるステルス値上げのように量目を変えてくるケースが多いのですが、この場合は表示された重量や個数で分かります。しかし「上げ底」はそうではないわけで、完全な「騙し」であり、禁じ手として厳しく取り締まるくらいの対応が必要です。今回の発端は外国人からの指摘だったようですが、急激な為替変動で自国通貨が目減りしてしまい緊縮に転じたというインバウンドも少なくないなか、節約しようとコンビニで買ったら「上げ底」だったというのでは泣きっ面に蜂ですから日本の印象を大いに下げる国辱ものの事態です。

ちなみにこういう落とし穴があるから、スーパーなどでもきちんと商品を確認しないと安心できません。ネットなどで注文、配達するサービスもありますが、本来一品一品微妙な差異がある生鮮品をどうセレクトしているのか。見ていないことをいいことに対面では手に取ってもらえないようなスカを掴まされるのでは、という懸念がありますからね。海外のスーパーのように「おつとめ品」だと高い確率で痛んでいる、と言うことはさすがにないでしょうが、「上げ底」が撲滅されていない、いや、横行している我が国では現物を確認しないと危ないです。その意味ではCovid19で商品を触ることをマナー違反という人もいますが、「上げ底」リスクを受け容れるわけにはいきませんからね。実際昨今の物価高の流れにおいては「トンデモ商品」も目につきますから。



事実誤認と法令無視で説く「正義」と「義侠心」

2022-11-13 15:41:16 | 
ロシアが併合したはずのウクライナ南部の要衝を放棄し、ウクライナ軍が入城しました。今回の「戦争」でもエポックメイキング的な出来事ですが、無理やり併合までしてあっさり手放すというのも俄かには信じられませんが、事実のようです。ただ合理性はないわけで、ロシアがここを放棄したら今回の併合地域どころか過去に併合したクリミアまで危うくなるわけで、それこそ「大祖国戦争」のようにいかなる犠牲を払ってでも維持すべき拠点のはずです。

そう考えると、ロシアがすんなり撤退したというストーリー自体が間違いという可能性もありますね。最悪のシナリオとしては、ロシア系住民の撤退も伴っていることから、今市内にいるのはウクライナ軍とウクライナ系の住民だけ、そこをロシア軍が空爆その他の攻撃で殲滅する、という作戦です。場合によってはここで戦術核の使用もあり得ます。
もちろん核攻撃となったら第三次大戦の危機ですが、それでも米国やNATO(EU)はその覚悟が出来ているか、対イランのような経済封鎖で「停戦」も十分あり得ます。またロシアにはキエフ空爆といったオプションもあるわけで、劣勢が伝えられる反面、まだとっていない手段があれこれ残っています。

そのウクライナ戦線で日本人がウクライナ軍に参加して戦死したそうです。
ただ今朝のCX系の討論番組では国士様系の重鎮評論家女史と自民党の自衛隊上がりの議員が維新の黒幕と議論していましたが、評論家女史が酷かったですね。未だ海外派遣部隊は組織として発砲が出来ないと誤認していて議員に否定されていたり、法律はどうであれウクライナ軍に参戦して何が悪い、という主張で、第二次大戦終了後に現地の日本軍兵士が台湾に参戦したとか、インドに参戦したとか、事実誤認にも程があります。

そもそも台湾は戦前戦後を通じて内戦も含めて戦場ではないですし、中国大陸では日本兵は国府軍に身を投じた人もいれば、共産軍(八路軍)に参加した人もいます。そしてインド(英領インド)はインパール作戦でようやく足を踏み入れただけで、敗戦時にはビルマ派遣軍も壊滅状態でタイ国境に向けて敗走中ですから、インド国内の「独立戦争」に参加などできません。そもそもインド独立の際は内戦はありませんでしたから。これ、インドではなくインドネシアの話を勘違いしているのでしょうが、「蘭印」すなわち「オランダ領東インド」とはいえインドではありませんから、基本的なところもご存じないのか。保守派であれば東京新橋のインドネシア料理店のことも常識のはずですが、高齢ゆえの記憶の混同であればそろそろ退場すべきでしょうし、そうでなければとんだ馬脚ですし、保守派の劣化も極まれりという一瞬です。

その日本人の件、維新の黒幕は日本国籍を持っての参加は違法と指摘していましたが、さすがにそこは法曹としての矜持でしょう。
外国で、その国の法律に違反したとして逮捕されたり最悪は死刑を宣告されていても、政府は何とかして釈放、帰国を図る義務があります。では正規軍への参加はどうなのか。評論家女史は傭兵ではないからOKとか言っていましたし、議員も正規軍は報酬が安く金目当てでない崇高な意識だと言っていましたが、だからといって「日本国籍」を持ったまま他国の軍隊に参加することはできないでしょう。しかも正規軍です。日本政府はウクライナ軍人として行動している日本人を見捨てることはできないので、結果としてウクライナ軍とその行動を肯定することになります。参戦していないのに。

あるいは他国の国籍を有する外国人を正規軍として受け入れるウクライナの方が非常識でしょう。もちろん有名なフランスの「外人部隊」がありますが、こちらは歴史の積み重ねで権利義務や責任が確立しており(逆にパスポートを取り上げられるのでパスポートを掲げての保護依頼が出来ないし、捕虜となった時にはフランス軍人として扱われる)、その意味ではウクライナも正規軍とすることで各種問題をクリアしようとしているのでしょうが、付け焼刃の極みです。それでも義を見て為さざるは、という義侠心は否定しませんが、であれば日本国籍を捨ててウクライナ人として参戦してください。そこまで言わない評論家女史は、最後は日本政府が助けてくれるというセーフティネットを意識しているんでしょうね。ご都合主義の極みです。