10月からインボイス制度が始まりますが、54万筆の反対署名を押し切るのか、と算数も出来ないで税務や記帳の話をしているネコババ連中が騒いでいます。法人数では170万社余りですから1/3程度が反対、というのは浅はかな考えで、面倒だとか手間がかかるという感想こそあれ、実施することそのものへ反対、という声は聞こえてきませんけどね。
要は個人ベースの署名ですから、54万社とは言えず54万「筆」と言っているわけです。個人ベースの署名であれば1億3000万人あまりの我が国においてどれくらいですかね。Covid19で接種延べ数が1億を優に超えているという母数に対し、分子の数字をさも多いように騒ぎ立てたやり口と一緒です。算数が出来ないのでなければ悪質なアジテーターです。
ネコババとか益税というとインボイス制度が分かっていないとかいうアジテーター、また、消費税は消費者ではなく事業者に課される税金だ、と言ってインボイス制度で課税事業者になると増税ダー、というアジテーター、色々いますが、何度も言いますが、益税をネコババできなくなった事業者が騒いでいるだけです。
判決ガー、とか言っていますが、個々の消費者が納税できないから、仕組みとして販売者が納税するだけです。販売行為全てに消費税を課す、すなわち生産者から卸や小売りを経て最終消費者への販売に総て消費税をかけたら二重課税どころじゃないことになるので、業として仕入れた業者は仕入れにかかる消費税を控除できる。こうすることで消費者が払った消費税を各段階で分担して納付できるのです。納税義務者は各販売者で何も間違っていません。最終的に負担すべき存在に向けて「転嫁」しているわけです。
なおその判決が出てかなり経った2017年、10%への消費増税対応で発行された、中小企業庁による、下請事業者に対する転嫁拒否の禁止を示したマニュアルでは、「消費税は、生産者から卸売業者、小売業者、消費者といった各取引の段階で価格に転嫁(上乗せ)されながら、最終的に消費者が負担する税金です。また、消費税は、税金を負担する者と納付する者が異なる間接税であり、消費税を実際に納付する義務は事業者が負います。このため、事業者が消費税分を取引価格に正しく転嫁(上乗せ)することは、事業者の利益を守るために欠かせません。」とありますからね。文字通り「はい終了終了」です。
※上記の判決にかかわる記載として「消費税を実際に納付する義務は事業者が負います。」とあるだけですからね。嫌らしいつまみ食いです。
また消費税に関する各種NGワードがありますが、販売業者の粗利にかかる税金、というのが消費税であれば、自分で負担するのが原則であり、「転嫁」などという言葉で負担を求めるのは論外のはずですが、「転嫁」がNGどころか「転嫁しません」がNGですからね。
また仮払・仮受や預り勘定で消費税を処理しているという会計の現状を示すと、会計はただの記帳のテクニック、とほざいていますが、会計と税務は基本的に一致しています。損金や益金の参入や繰延に関して税と会計の泣き別れがありますが、原則は一緒です。でないと会計帳簿の信頼性がなくなりますからね。会計が消費税を販売業者固有の租税公課の費目にしていない、売上は本体で計上している(税込計上も可能だが最終的には本体に収斂するようになる)、という消費税の処理というか性格を否定できないです。制度趣旨を無視した誤魔化しをしているから速攻でボロが出ます。そうそう、海外でVAT(付加価値税)と言っているのは転嫁ではなく粗利課税、と言っているようですが、TAXインボイスか適格領収書(中国の発票など)で納税申告が確定しますからね。VATの受払額とその相殺で計算します。
免税事業者が競争力を失う、といいますが、仕入れる側から見れば噴飯ものだということが分かります。
本体価格100円の物品あるいは役務を提供するケースで、消費税込みで110円を支払うケース。費用として計上されるのは100円ですからね。企業の会計もそうですし、車内での予算管理もそうでしょう。10円の仮払消費税は販売サイドの仮受消費税と相殺されます。免税事業者が相手であれば100円の費用計上だけで支払も100円。それだけの話と処理です。
いま騒いでいる人たちは、110円で販売しているんですよ。あるいは105円で、税込110円より安いでしょ、と言っているわけです。
もちろん非課税です、と正直に言っていたら、インボイスを導入しようがしまいが本体価格、すなわち費用計上は10円なり5円なり高いわけで、単純なコスト比較なら買いませんよね。ちなみにタクシーで適格事業者でない場合は、全額が旅費計上になる、という注意がありました。予算管理上約1割の差が出てきますから。
おそらく税込価格というようなことを言っていたのでは。非課税の請求書では110円とか105円の費用計上になりますからね。本体価格を100円まで下げないと競争力が無い、ただそれだけです。適格事業者でないことを理由とした取引停止は不可と言っていますが、高いものを買えというバカな話にはならないはずです。騒いでいる人だって、じゃあ自分たちが買い物をするとき、同じ商品で高い方を買いなさいと言われてはいそうですか、と言いますか、という話です。あるいは本体100円、税金10円で販売して、10円はどこへ行った、という業者がいるのでは、という話です。消費者が益税、ネコババと批判しているのは。
いやいや、税金として預かって納付しています、というのであれば、適格請求書を交付してください。本体100円と言う証明が必要になったんですから。相殺だから軽く見られていますが、これは一種の「還付申請」ですからね。我々の税金としてその後我々に還元される歳出の原資を払い戻すのですから、当然厳格であるべきでしょう。いろいろなところで我が国国民は税金に対する意識が低い、甘いと言われますが、インボイス制度はまさに納税者と税金による歳出の恩恵を受ける側でありながら、こうした声を一蹴しないあたり、やっぱりその批判を払拭できません。