Straphangers’ Room2022

旧Straphangers' Eyeや習志野原の掲示板の管理人の書きなぐりです

「雨台風」で顕在化したいろいろな問題

2024-09-01 20:46:59 | 震災・災害
台風10号は最後のほうはごくごく弱い勢力とはいえ、雨台風としては強い状態が今も続いています。
ここまで迷走、というか滞留するとは夢にも思わなかったわけで、東海地方に雨雲が流れ込むという最悪の位置でゆっくり進んだのが今回の特徴です。
神奈川県もそのお相伴というか大雨となり、ニュースでは72時間雨量の顕著な場所として海老名が出ていました。

熱帯低気圧というと台風に比べて風速は確実に劣りますが、雨は勝るとも劣らないわけで、過去の典型的な「雨台風」もそうでしたよね。戦後最悪のカスリーン台風もそうでしたし、神戸だと戦前の阪神大水害に並ぶ水害として語り継がれる1967年水害も熱帯低気圧絡みでした。
「風台風」は逆に温帯低気圧になってさらに強まったというケースも少なくなく、その意味では今回の煽り官庁と煽りメディアは九州付近の段階まで常に暴風ガー、と言い続けており、見事に外した格好です。さらに恥の上塗りというか、間もなく熱帯低気圧になる、というタイミングで今度は大雨ガー、と煽っているわけで、まあ2日朝方に東海地方西部を中心に大雨の予報ですが、基本的には峠は越えて回復基調です。それよりは秋雨前線に注目して北陸から北日本の大雨を警戒すべきです。

交通への影響が大きかったのも特徴ですが、丸3日東海道新幹線が運休して東名間の移動が出来なかったというのは前代未聞です。しかしこれは決して空振りではなかったというのも特筆事で、逆に計画運休は三島以西としていたのが実は外れで、東京以西としていた方が実態に合っていましたし、諦めもついていたはずです。そして遠く離れたエリアの被害も目立ち、石勝線の追分-新夕張間の土砂流入は長引きそうですね。根室線の区間廃止が無ければ、と言い出す手合いが湧いてきそうですが、そっちの方が途絶するリスクが高いわけで、道東道が開通しているなかではバスでつないだ方がマシでしょう。

一方で東海道新幹線の代替路確保問題はいよいよ顕在化した格好です。リニアなら、というところでしょうが、リニアは風水害から完全に逃れられるのか。高速道路は東名、新東名のバックアップ体制が両方ともアウトになってしまいましたが、中央道や上信越、北陸道経由もあるわけで、一定の質を保ったネットワークの強みです。その意味ではローカル線で代替が効かないという現実は、ネットワーク云々ではないのです。

北陸新幹線は2往復程度の増発でカバーできていますが、東海地方への影響を考えるともっと大胆に誘導してもよかったのでは。保守用車事故の際にはあまり知られてませんでしたが、今回は北陸新幹線敦賀回りはかなり知られた格好です。
航空各社の臨時便も有効に機能しており、東名間での増便も出ていましたね。名古屋とセントレアの間はあまり影響がなかったようで、浜松までセントレア経由リムジンという移動をしたという人のインタビューも出ていました。東阪間ではスカイマークも日中に神戸線を1往復増便しており、ちょうど最終便の増発時期でもあり、8往復体制になっていました。

台風相手に無理は出来ないとは言いますが、じゃあ東西間が3日以上途絶したらどうするのか。今回は土日絡みだったからまだ傷は浅かったですが、平日、営業日だとどうだったか。企業のBCPも大地震や感染症を前提にしていますが、台風など風水害も考えないといけません。
その意味では身勝手運休とは言っていますが、台風の進路に応じた開始時期の変更や、東海道新幹線が1日夕刻に復旧したように復活時期もフレキシブルでした。これは本来「計画運休」のあるべき姿です。ただやはりというか、この機に乗じて変動費も回収できない赤字路線は早々に全面運休というスタンスが見えたのは残念でした。運行区間との整合性が取れなかったのですから。



煽りメディアのインチキ報道

2024-08-29 21:35:43 | 震災・災害
煽り官庁や煽りメディアを翻弄している迷走台風ですが、奄美付近で非常に強い勢力になったことで煽り官庁や煽りメディアが息を吹き返して、「史上最強級」とかまた新しい煽り文句で焚き付けています。

確かに南九州付近では予想を上回り非常に強い勢力まで発達しましたが、今後は陸上を進むため水蒸気というエネルギー供給源がなくなることから、急速に衰退に向かうはずです。日本列島縦断とかおどろおどろしいですが、暴風圏は30日の早い段階で消える見通しで、周辺の暴風雨も30日午後の関西エリアが最後という感じです。一時は紀伊半島沖を経由してから関西へという迷走の予報でしたが、直進に近くなった代わりにほとんど停滞とか居座り台風となったことで関西圏直撃は遅れに遅れて週明けにかかる見通しになってしまいましたが、990ヘクトパスカル台まで衰退する予報ですから、それほどひどい被害もないと思われます。ただし長時間の大雨で土砂災害のリスクは非常に高まっていることには注意が必要です。またこの台風は典型的な雨台風というか、台風本体ではなく秋雨前線などを刺激して遠隔地での大雨を招くという特徴があります。台風の進路と鈍足が災いして東海地方で大きな被害が出ているのはその典型です。

メディア、とりわけTVでは予報円を示すとともに風速風向や降雨の見通しを示すケースが多いですが、煽りメディアがそこで小細工をしています。
時間とともに変化する風向風速を見ていると、どう見ても渦の中心、すなわち台風の目は関西北部から日本海上を東進しています。台風の中心と風の渦が乖離しているなんてことは無いわけで、おかしいなと思いながら見ているとニュースショーの気象担当の気象予報士が「北寄りコースの場合」とゲロッたのです。

これは最低です。予報円が定まらないような迷走台風で予報円の「端」を前提にした予報を示すというのはミスリードというか誤報に等しい行為です。
これにより30日午後に大阪など阪神方面で暴風雨となると言ったわけで、それこそ煽りメディアが「2018年9月の台風の再来」と焚き付けるために都合のいいデータとなる進路を前提にしたとしか言いようがない「予報」です。これを「気象予報士」という国家資格有資格者がしたんですから罪深いどころの騒ぎじゃありません。資格剝奪すべき事態です。



煽りの梯子を外す迷走台風

2024-08-26 20:16:32 | 震災・災害
台風10号が迷走しています。最初は南の海上からまっすぐ本州直撃という予報でしたが、海上を西北にゆっくり進み、九州沖からカーブを切って西日本を縦断というオーソドックスなコースになっています。その意味では「迷走」と言いましたが、夏台風特有の迷走ではなく、後から見たらオーソドックスなルートになるのでしょう。
特に予報が大きく変わったのが日曜夜で、台風襲来が結局1日から2日遅くなった格好です。一方で当初のように発達しながら一気に襲来、というパターンではなくなったこともあり、また九州から陸上を経由する区間がながくなったこともあり、本州襲来時にはそれほど強くなくなる感じです。

そうなるとこれまで煽りに煽ってきた煽り官庁と煽りメディアは台風に見事に梯子を外された格好です。
2018年に大阪で最大瞬間風速50m超を記録し、関空連絡橋にタンカーが激突した台風21号と同じコース、強さと煽ってきたのが完全に外れます。「風速60mも」と必死になって煽ってきたのはどうしてくれようか、というくらいの変化ですが、まあ勝手に盛り上がって煽ってきたのが悪いだけで、世間があれこれ対策するのを見て「自分たちの指揮で社会が動いている」というレベルのエクスタシーでも感じていたんでしょうね。レベルの低い煽り官庁と煽りメディアが脚光を浴びる貴重な機会なだけに、最近煽りの度合いがひどかったですから、冷静に見直すいい機会です。

まあ煽り官庁のほうは予報が変わりました、と大きく変わった予報図にすり替えればいいだけですが、煽りメディアのほうが追随できていないのは最低ですね。というか悲惨そのものです。「直進コース」を前提に2018年の台風21号襲来時の画像をたっぷり流して今朝も煽っていましたが、「古い予報」を前提に仕込んでいた「ニュース」が無駄になったというのに、それを置き換える、メンテナンスするということすらできなかったわけです。ニュースショーを自称しながら、ニュースの更新も出来ない。まあ「ここで最新のニュースです」とキャスターが昨日のニュースを読み上げるレベルですから、ニュース番組も満足に作れないというのを露呈しています。

お天気コーナーでは最新の予報図が出ているだけにそれとの齟齬が惨めです。まあ必死になって気象予報士の有資格者が煽るのがお約束の番組では、まだあらゆる可能性を針小棒大に騒ぎ立てていますが、なまじ「気象予報士」なんて資格を作ったばっかりに、こうした煽りに説得力を与えてしまっています。まだ最新の情報を「お天気キャスタ」(≠「気象予報士」)がにこやかに伝える方がまだマシというか正確です。
そしてこれは闇に葬られるんでしょうが、27日ころの直撃を前提に現地から煽ろうと紀伊半島あたりで宿を取っていたんでしょうね。まあ本土、本州ですからよかったですが、伊豆諸島とか南西諸島とかで「災害の画」を撮ろうとしていたら、壮絶な空振りになるところでした。

台風というとJR各社の身勝手運休ですが、さすがにここまでコースや予報が変わるとアップデートするしかないようで、JR東日本は温帯低気圧になっての接近ということもあり平常運転の予定と断言しました。JR東海、JR西日本も計画運休があり得る時期がずれており、さらに27日午後に見極めと、読めないだけに速断を避けている感じです。



「74年ぶり」というもやもや感

2024-08-20 21:26:53 | 震災・災害
私怨ライターの不勉強はともかくとして、南海トラフ系の大地震に先立って、また誘発されたのかその後にも内陸や日本海側で大きな地震が発生しているというデータがあります。近世以前は地方部での地震に関する記録が充実していないのですが、敗戦前後の昭和東南海、昭和南海については、1925年の北但馬地震、1927年の北丹後地震から、1943年の鳥取地震、そして事後になる1948年の福井地震あたりがその事例とされています。

正面を警戒していたら後ろから不意打ち、というパターンなので厄介ですが、「本震」との間隔も15年以上となるとどこまで警戒すればいいのやらという話でもあります。その意味では倉吉市などに大きな被害を出した2016年の鳥取県中部地震もその関連性が疑われるところでしょうね。2000年の鳥取県西部地震はさすがに現時点でも離れすぎていますが。

日本海側、内陸側という意味で少し気味が悪かったのが、16日夜の兵庫県北方沖を震源とする地震。
聞いたことがない震源だな、と思ったら、但馬沖を震源とする有感地震は実に74年ぶりだそうで、これもなんか不気味ですね。

震度が計測された場所もまた特徴的で、若狭、丹後から但馬、鳥取方面の沿岸で揺れた、というのではなく、これら沿岸でも揺れましたが、豊岡から朝来、そして瀬戸内海側の高砂、加古川に抜ける狭いエリアで観測しています。なんか円山川から播但線方面に地震波が伝わりやすい地形があるようですが、深さ10㎞で深発地震の異常震域のような分布を見せたのはなんか不気味です。



みんな前知事が悪いのよ、とその程度の知識で言われても

2024-08-20 21:24:46 | 震災・災害
「宿敵」が退陣して念願のリニア推進派知事になったことで例の私怨むき出しのライターも「お役御免」かと思いきや、飯の種がなくなると困るとばかりに未だに前知事叩きの記事で糊口を凌いでいます。ここまで来ると、昭和中期の人気噺家が一世を風靡した都都逸のように「電信柱が高いのも、郵便ポストが赤いのも、みんな前知事が悪いのよ」の世界ですね。
で、今度は南海トラフ臨時情報にかこつけて静岡県では2038年発生説が前知事肝煎りの学者の主張により染みついている、と来ましたね。1976年にセンセーショナルに取り上げられた「東海地震」をも前知事批判に使っているわけですが、確かに明日起こっても不思議はないと政府が煽りながら半世紀近く発生していないものの、「東海地震」の名前が消えたとは実に不勉強ですよね。
前知事を叩ければ事実に反してもなんでもOKというスタンスが露見した格好です。まあリニア問題でも忖度メディアよろしく最後までJR東海の「方便(方策)」問題を隠し通していましたからね。その程度のライターとしか言いようがありません。

だいたい、静岡に大地震が起きましたか、とドヤ顔で語っていますが、ネットメディアとはいえ静岡の地元メディアを名乗ってそれはないでしょう。
2009年8月の駿河湾地震、そして東日本大震災の誘発地震とも言われていますが2011年3月の静岡県東部地震と、前者は最大震度6弱、後者に至っては最大震度6強の地震が静岡県域を震源にして発生しています。前者は帰省ラッシュ直前の東名高速における路肩崩壊、全面通行止という災害発生は未だに記憶に残りますし、小規模ながらも津波も発生しています。これらの地震はプレート内のためプレート境界で発生するとされる東海地震のメカニズムとは違うとは言われましたが、発生当初はすわ「東海地震」か、と大騒ぎになっていますが。実際に「東海地震」に基づく対応もされていますけど。

そして「東海地震」は結局南海トラフの東側で発生する地震ということで、宝永地震のような「全割れ」ではなく「半割れ」を指すという認識になっていますけどね。
「東海地震」の根拠となったのは1854年の安政東海地震と1944年の東南海地震ですが、「東海地震」の震源域を東南海地震での「割れ残り」と見做したことから話が大きくなっています。そして南海トラフ地震自体は1854年に32時間間隔で発生した安政東海地震と安政南海地震、1944年の東南海地震と1946年の南海地震徳利かれており、間隔的にそろそろヤバいと注目を集めているわけです。それが1707年の宝永地震のような「全割れ」になったら、ということで、「東海」だけではない、と話が大きくなっているだけです。「東海地震」はその地震予知に関してはかなり問題ですが、発生するであろうという意味では否定されたことは無いわけで、より規模が大きい南海トラフ地震という概念に発展的解消を遂げただけです。

ちなみに歴史地震の解析などもあり、南海トラフの東端が「東海地震」であるように、西端(南端)は「日向灘地震」として警戒されるようになり、今回の臨時情報につながります。なお日向灘の地震で南海トラフ地震の発生可能性が上がった、ということが、南海トラフ全域のどこかで発生する、ということを理解していないんでしょうね。それは当然「東海地震」も含む概念ですから。

余談ですが、駿河湾地震での東名高速の路肩崩壊は、発生から40数時間、帰省ラッシュ初日に間に合う格好で下り線が復旧し、その2日後にはUターンラッシュに間に合う格好で崩壊現場側で2車線ともえぐられた上り線も復旧、しかも両方とも片側2車線での復旧と、日本の土木の底力を見せた格好になっています。
架橋は済んでいますが上部工の工事中だった新東名の新大井川橋の開放や、中部横断道や東富士五湖道路なども対象とした迂回運用など、「通す」という使命を最優先にした公共インフラとしての矜持を強く感じる対応もありましたね。煽り官庁とタッグを組んで少しの可能性で身勝手運休という、「公共交通」の名も恥ずかしい昨今の公共インフラが裸足で逃げ出すような立派な対応でした。