Straphangers’ Room2022

旧Straphangers' Eyeや習志野原の掲示板の管理人の書きなぐりです

「狂乱物価」よりも深刻な収入との乖離

2023-10-31 18:56:16 | 時事
米国の大手自動車メーカー労組の賃上げ交渉はストに突入しましたが、ようやく暫定合意に達したことで生産は正常化に向かうようです。各社とも4年半で25%の賃上げを勝ち取った格好ですが、これは4年半で物価が同水準の上昇をするという予測でもあるわけです。まあ各社労組は40%の賃上げを要求していたわけで、これは実質の賃上げを伴う内容でしょうし、名目が物価上昇に負けたら賃金の切り下げですから、4年半で最大25%の物価上昇があり得るという見立てともいえます。

それでも名目は物価と賃金が両建てで上がりますから基本はニュートラルです。しかしここで問題なのは、米国の物価がそれだけの上昇を見込まれるということでしょう。当然日本も無縁ではなく、それだけの物価上昇を伴う物資やサービスが出てきます。物価上昇と円安で米国内ではラーメン1杯2000円、とセンセーショナルに報じられていますが、ざっくり5年後、2028年には1杯2500円です。これは為替が中立を保った場合であり、1ドル200円とかハイパー円安になれば、円換算の名目で1杯3300円、実に67%、2/3の値上げです。(余談ですが税金、チップ込みで4000円ですからね)

為替は別としても5年で25%の値上げは恐るべしですが、米国では同水準の賃上げが伴っていますから「それが何か?」という話になります。一方で意地でも賃上げをしないという流れが強い日本はどうなるのか。2024年問題のキモは収入の少なさなんですが、だったら途上国から「研修生」などを導入して意地でもコストを上げない、と官民挙げて言っていますからね。

1973年から1974年のオイルショックでは2年間で約5割の物価高となりましたが、実はこの時期名目賃金も上昇しており、1970年から1975年の5年間で見た場合、高度成長期の最末期ということもありますが賃金上昇は物価上昇を上回っています。
その意味ではCovid19沈静化以降の国際的な物価上昇の荒波にさらされている日本は、実質賃金の激しい目減りに直面しているわけです。テレビ会議システムがウェブ会議に事実上駆逐されたように、そこそこのレベルで良い、という発想の転換が進む中で、あらゆる職種でAIによる置き換えがそれこそ「そこそこでいい」として進む、そして人手が必要な現場では安くこき使える外国人労働者を導入する、ということで、物価と賃金を両建てで抑えることでゆでガエル状態にしてきた施策がいよいよ最終段階になりますね。

実質収入が激減して、「後進国」(と敢えて言いましょう)レベルの収入になるわけです。
中産階級の崩壊どころじゃありません。これからは海外で稼ぐ、といっても各国だって馬鹿じゃないですから自国の雇用や市場をみすみす明け渡しません。観光でしか海外に行ったことがない人には分からないでしょうが、各国とも国内で仕事をする、それどころか出張で仕事をするというレベルでも入国に厳しい規制があるんですから。ビザの取得にどれだけの労力がかかるかを知っていれば、甘い考えは持てないはずです。

海外で稼ぐにしても、東南アジア諸国のような国際出稼ぎが関の山ですよ。戦前の日本人移民のような仕事や、ハウスキーパー、ベビーシッターといった、その昔で言えば「召使い」です。それでも貨幣価値が低い各国とその家族にとっては重要な収入源ですから、劣悪な環境にも耐えて頑張っています。もはや我が国はそちら側に落ちかかっていますし、態勢を立て直せる段階は過ぎているかもしれませんね。半世紀以上まえに終わった移民が形を変えて復活する時代も近いかもしれません。



事実上の公共インフラの自覚の無さが表れた「周知」

2023-10-31 18:54:57 | ノンジャンル
LINEとYahooの統合に伴い、規程に同意しないと11月以降順次LINEが使えなくなるとのことですが、全然周知もないわけです。
メディアがギリギリになって相次いで報じていますが、本来はLINE側で利用時にノーティスを出さないといけない話です。妙な広告をポップアップする暇があったらそこに「同意がまだです」「同意がないと11月以降使えなくなります」と出して注意を促せばいい話なのに、自社で周知せずにメディア経由というのがまた無責任です。

LINE側のプレス発表も相当不親切で、同意が未了の場合は「動物の絵」が出ます、と言いながら多くのメディアはその画面を具体的に提示していません。動物というバクっとした対象で具体例もなく、いったいどうなっていればいいのか、ダメなのかがユーザーに伝わりません。だいたいその「動物」はどうもLINEとYahooのキャラクターで、だったら両社のキャラクターが出ますと言えばすぐにわかる話なんですが、なぜに「動物」なのか。少なくとも1つは「動物」には見えないものが混じっていますし。そもそも「同意済み」「未同意」となぜ単純に出せないのか。バカ丸出しです。

同意を求めるメッセージにしても1回だけでした。おそらく未同意の人には頻繁に来ているんでしょうが、それが利用可否につながるという認識をもって同意した人は相当少ないはずで、重要性も伝わっていません。逆に唐突に来たメッセージに同意を推した、というほうが実はネットのリテラシーが低いともいえるわけで、メディアが相次いで報じてあれがそうだったのか、という人が圧倒的です。私もそうですが、唐突に来たメッセージの同意画面を踏むほうがハイリスクですからね。実際、宅配業者を装ったであろう認証要求のメッセージをLINE名義で転送してきたことがあるくらいで、本来LINE名義でも信用できません。

とはいえ旧ツイッターなどのようなSNSよりは使い勝手もいいし、そもそもそうしたSNSは個人の情報発信で、LINEは通話やメッセージというコミュニケーションツールですから属性が違います。そして東南アジアでは公共も使う社会インフラになっていますから、私自身仕事でのメッセージツールから公私で使い始めています。タイなんか官公庁によっては提出書類をLINEで提出させますからね。その意味では利用頻度は低いけど海外とのツールとして使っている、という人もいるでしょうが、そうした人が今回のいい加減な認証問題で突然つながらなくなったらどうなるのか、という影響など何も考えていないんでしょうね。

SNSもそうですが、公共がこの手のコミュニケーションツールを使うというのは本当は問題であり、公式サイトでの情報発信やメールでの伝達に戻すべきです。とはいえ海外までコントロールできませんし、海外絡みでは公共インフラとしての利用になるわけで、LINEもYahooもそれを理解しての対応なのか。

ちなみに今朝フジテレビがこの問題を報じた途端、「アカウントセンター」へのアクセスをしようとするとダウンしていましたね。
その程度の対応というのもまた問題ですが。フジテレビは「早速アクセスする人がいるでしょうね」と能天気な発言でしたし、さらに「動物」というだけでどんな画面かは言わず、早々にYahooとなんちゃらペイがどうのという「メリット」の宣伝にこれ務めており、周知ではなく宣伝ですから腐ってます。


「いま何をすべきか」またも逃すのか

2023-10-31 18:52:37 | 時事
イスラエルは国連決議を無視してガザ地区へ侵攻を続けています。我が国の「忖度メディア」は本格的でないとかエクスキューズをてんこ盛りで矮小化を図っていますが、実態は地上軍による侵攻です。ロケット弾攻撃に対する自衛であれば空爆で済む話であり、地上軍による侵攻はどう見ても過剰防衛でしょう。威勢のいい国士様だって北朝鮮などのミサイル基地を叩く反撃能力は云々しますが、それを叩くために陸自を投入して基地を破壊しに行く、とまではいわないでしょう。明らかに自衛の域を超えています。

日本は今回の決議に棄権しましたが、そのスタンスを支持する勢力が少なからず主張するのが湾岸戦争で多国籍軍に付かなかったことによるハブられでしょうが、今回イスラエルを支持することがそうしたトラウマからの脱却になるかというと全く違うでしょう。

あの時はイラクによるクウェート侵攻で一時的にクウェートという国家が消滅したわけです。その緊急事態に各国が立ち上がったが、日本は海外派兵は出来ません、戦後復興の資金は出します、という対応で、戦後の感謝の対象から漏れたわけです。
要は「いま何をすべきか」に乗り遅れたことがハブられの原因なんですが、それを都合よく読み替えて米国に付いて行かなかったから、とすり替えているわけです。

じゃあ今回はどうなのか。湾岸戦争当時のイラクの排除に相当するのは、人道危機の除去です。ハマスが悪いからパレスチナが抹殺されても構わないなどと誰も考えていませんが、イスラエルとその支持者はそれを考えている、あるいはそうなっても止む無しと考えているわけです。そうでないと言っても、そうなる結果に結びついていると見做されます。

そう考えると、我が国は「いま何をすべきか」に再び乗り遅れようとしているんですよ。米国ですら人道面での配慮につき釘を刺していますが、我が国の対応はそれが見えません。焦土と化して死屍累々となったガザに「復興支援です」といって乗り込んで誰が評価するか。
ヨルダン王妃がCNNのインタビューで米国を念頭に厳しく批判していましたが、ヨルダンの名前で提案されて決議されたものを蔑ろにされている状態です。ヨルダンは日本に協力的とかお花畑の発想でいると非常に危険です。自分たちのメンツを潰されたという状況で、そのお先棒を日本が担いでいるんですから。

ちなみに中近東などで日本が「好かれている」最大の理由は、日露戦争での勝利があるわけです。太平洋戦争(大東亜戦争)もそう。「侵略戦争」の評価をしないといけないというポリコレが横行していますが、日露戦争で帝政ロシアに勝利し、太平洋戦争では欧米を一時は圧倒した、という事実は、近現代において欧米の侵略に苦しんだ各国から見たら「希望の星」だったわけです。それが今や欧米の走狗、となったわけで、それで国際社会における名誉ある地位を占められるのかどうか。日本国憲法の前文くらい読みたいものです。

さらに言えば、イスラエルの施策はパレスチナを抹殺しても構わない、というスタンスです。これはいかな宗教や思想であってもそれは許されるものではなく、また国際社会は過去にそうした国家レベルの蛮行を否定する目的を掲げて戦ってきましたし、それを国際的なコンセンサスにしているはずですが、過去にその犠牲となったと主張するイスラエルが同じことをしているのは何というパラドックスか。さらに当時の加害者が今回の決議に反対しているのも皮肉な話です。そう、我が国のリベラルや左派が我が国の「侵略」を論う際に好んで引用する「過去に目を閉ざすものは、未来にも盲目になる」とはどの口で言ったのか、という事態です。

過去の犠牲を理由とすることは許さず、これはこれ、と絶対悪を厳しく指弾してこそ普遍的な価値としての人道を掲げる資格があります。米国が「地上軍の侵攻は認めない」という強い姿勢を見せられれば、まだ救いがありますが。



イベントとして根付かせておいての規制は無理

2023-10-30 20:43:51 | 時事
渋谷区が変態仮装行列のイベント会場ではない、とイベント目当てに集まらないように呼び掛けていますが、まあやらないよりはマシとはいえ、これまで変態仮装行列を肯定してきて都合が悪くなったから手のひらクルーは通りませんよ。説得力がありません。警察もいろいろやっているようですが、DJポリスとか生ぬるい対応で馬鹿を付け上がらせてきたなれの果ての事態ということが分かっていませんね。警備コストの原資は税金です。警察官の時間外勤務の手当だって馬鹿になりません。

そもそも仮装行列やよその家に押しかけて「お菓子をくれなきゃ悪戯しちゃうぞ」と強請るという不良っぽい行事を、カボチャのディスプレイで誤魔化してイベントとして商機にしようとした浅はかさが破綻しただけであり、その意味では自業自得です。
渋谷区はまだそれでも「悔い改めて」いるからマシで、他の大多数の都市ではイベントをして盛り上げようという姿勢をとっているわけで、顔にペイントして仮装行列というイベントを子供相手にしていて、それが当たり前と刷り込んでいて、迷惑だから仮装で来るな、といわれてもキョトンとするだけですよ。今回の渋谷区の対応に対しても、仮装することが当然という前提で規制に当惑する声が堂々と流される有様ですから、三つ子の魂百までじゃないですが、イベントを業績も含めて後押ししていては、いつかはこうなるのです。そうそう、変態仮装行列という意味では、サッカーの国際試合で渋谷のスクランブル交差点がバカ騒ぎ状態になるというのも同根です。フェイスペインティングとか妙な風習を根付かせてしまった点でも。

だったら最初からこういう行事は導入しないだけです。我が国の伝統にこんな無様な行事などありません、というか今世紀に入ってから過熱したバカ騒ぎに過ぎません。
路上飲酒もそうですし、仮装にしても罰則を伴う規制をすべきでしょう。一種の「仮装」で電車の中で放火等の犯罪に及んだ犯人もいましたよね。有無を言わさずその場で過料を徴収する、というくらい厳しくしないと元には戻りませんよ。「ワタシニホンゴワカリマセーン」的なインバウンドも含めて厳罰にすべきです。まさに「割れ窓」が発生したのが現状ですから。



自分の定義に当てはまらないから失敗という理論

2023-10-30 20:42:03 | 交通
新潟のBRTが「BRT」の看板を下ろすそうで、早くも「失敗」と断じる向きが出ています。
「税金で電車ごっこ」の勢力が、専用道でない、運賃授受が、とBRTの定義を極力狭く主張してBRTを否定して回っているのに阿った格好ですが、新潟のBRTを使えばわかるように、かなりの高度化はされており、都市軸としても分かりやすくなっており、専用道でないという主張も、じゃあチンチン電車に毛が生えたレベルで「LRT」とこちらは極力広く解釈するご都合主義との矛盾が目立ちます。専用道でないと、という形式にこだわるその口で、連接バスがあればBRTというのはおかしい、と形式にこだわることを否定していますし。もちろんLRTに関しては「新型電車」、すなわちLRVに過ぎないのにシステムとしてのLRTだと言い張ってますし。

新潟のBRTは青山乗り換えが嫌われた面がありますが、足元の全国的なバス運転手不足の流れを見れば、必要な輸送力を上手に確保できているわけです。旧鉄道線の「裏道」を上手に使い、そして専用道でないと、というような過剰設備を要求しなくても成立できる、という実績を示しているわけです。

そもそもBRTは鉄道廃止後の軌道敷活用という流れこそおかしいわけです。
BRTとは名乗っていませんが、国際的にはBRTとして紹介されることが多い名古屋の基幹バスを見ればわかる通り、道路に設定することの方が国際標準です。専用道に固執する向きもそうですよね。国際標準と称してどこぞの海外発の「定義」を振りかざして専用道ガー、といっているBRT「否定派」がいますが、基幹バスレベルでBRTを名乗るケースはいくらでもありますから。

あるいはBRTというのが差し障りがあるのなら、「基幹バス」にすればいいんですよ。変な横文字で誤魔化さずに。基幹バスであれば中央レーン方式でも路側レーン方式でもOKですし。逆に専用道さえあれば、というのであれば、JRバス関東の白棚線や、廃止されましたが西日本JRバス(→奈良交通)の五新線(阪本線)や富山地鉄バスの旧射水線専用同区間などがBRTになりますが、そうは言わないですよね。

BRTとしての使い勝手、分かりやすさという意味では、新潟のような「ゆるーい」方式の方がいいですね。主要な交通軸として区分され、一定の高度化も図られている。JR東日本のBRTも鉄道廃止代替だけでなく、特に停留所の高度化があるから一般路線バスとの違いが際立っており、逆にそれがないと頻繁運転する一般路線バスの域を脱することが出来ません。その意味では大阪の大正通の大阪シティバスは高度化という点で足りないわけで、逆に「いまざとライナー」はフリークェンシーという意味では大正通に遠く及びませんが、高度化という点ではBRTといえます。

もう一つ、意外と良さを感じるのが「かしてつバス」で、これは廃止代替ですが、専用道を非常に「ゆるーく」作ったわけです。
鉄道由来ということもあり厳しいカーブもなく、視界が効く状況で、路盤が1車線ギリギリではなく、まあ悪く言えば「雑に」舗装しているため、あちこちで離合可能な状況です。交換駅での交換が必要な鉄道時代と違い、1.5車線道路を通る田舎のバス的な面が強いので特に交換待ちを意識しないでも走れるという強みは、JR東日本の廃止代替BRTでも導入できていれば、というものです。

名古屋の基幹バス、ガイドウェイバスに、JRの廃止代替BRTと、鉄道と分け隔てなく案内されているかもまたカギになります。
名古屋でもそこまでは出来ていませんが、地下鉄などの駅で高度化されたバス路線を「XX線乗り換え」というように案内できるかです。使い物にならない軌道系を案内するのであれば、当然使い勝手のいいバスを案内すべきです。その意味ではバスにも「XX線」という名称を付けるべきです。ちなみに今でも地方に行くと残っているケースがありますが、地方鉄道の廃止代替バスを鉄道時代の名称を受けて「XX線乗り換え」というように案内しているケースがあり、バス路線の乗り換え案内として見ても、やれば出来るはずですが。