Straphangers’ Room2022

旧Straphangers' Eyeや習志野原の掲示板の管理人の書きなぐりです

自転車と少子化

2008-02-28 23:16:55 | 交通
警察庁が30年ぶりに教則を改定し、自転車の3人乗りの禁止を徹底するというニュースが波紋を呼んでいます。

もちろん大人3人乗りだとこれは雑技団の範疇ですが、問題になっているのは母親が保育園や買い物に子供を2人連れて行くようなケースです。
確かにふらふらして危ないと感じるケースや、転唐オて子供に危険が及ぶケースもあるだけに、規制は当然と思う人も多いでしょう。しかし、現実はそんな単純な話でないことが事態を深刻化しているのです。





日常生活が総て小さな子供でも余裕の徒歩圏で完結しているのであれば今回の規制も問題はありません。しかし、今の世の中、そんなに甘くないのです。
保育園の待機児童が社会問題になっているように、保育園に入れるのなら少々遠くても御の字と言うのはザラ。幼稚園でも新興住宅街のそれは願書受付時に徹夜が当たり前という世界です。

そういう状況では兄弟別の保育園(幼稚園)だったり、遠かったりするのも当たり前。送迎もないケースもあるし、朝昼の送り迎えにしても、受け付ける時間は30分幅程度に限定されています。

そうした状況で2人以上の子供を持った母親はどうしたらいいのか。保育園などは駐停車による近所迷惑を嫌い、クルマによる送迎を禁止しているケースも多く、クルマは使えません。
1人ずつ連れ出すといっても、戻ってくるまでお留守番の子供に何かあったらどうするのか。
タクシーを使えという声もあるようですが、毎朝タクシーが使えるようなお大尽であれば、母親が働きに出る必要もない話であり、もう少し現実を見て話をしたいものですし、まじめに考えても、タクシーにその時間に需要が集中したら足りるかどうか。どだい無理筋です。

やむなくクルマを使うにしても、少し離れたところに止めたり、駐車場からクルマを持ってきて子供を家から連れてきて、と言う間に駐車監視員が撮影、という笑えない事態があり得ます。
ちなみに今回の自転車への規制徹底もどちらも警察が主管ですから、彼らが市井の生活というものをどう見ているのか、よくわかる話です。

今回は規制の新設ではなく徹底であり、これまで「お目こぼし」されていたものが許されなくなっただけの話と言う意見があります。
違法行為なんだからあきらめろ、ということなんでしょうが、世の中がそれで回っていた現実を無視してはそれは書生論です。

これでは子供を2人以上作っても生活できない可能性があるわけで、これでは少子化がますます進むだけです。さらに特に現在2人子供がいる家庭はどうするのか。子作りをあきらめるのならまだしも、今いる子供を「あきらめる」わけにはいきません。
なんの対案、解決策も講じないまま規制を徹底しても、社会全体の整合性が取れないのです。





「最後の総裁」の訃報

2008-02-24 23:49:38 | 交通
些か旧聞に属しますが、1月16日に最後の国鉄総裁、杉浦喬也氏が死去しました。
国鉄分割民営化も、もうすぐ21年が経とうとしており、まさに歴史の一ページになっているようで、先日携帯で「国鉄」と変換しようとしたら、変換候補に出てこなくて驚きました。

当時、1987年3月31日に「謝恩フリーきっぷ」で九州まで遠征して、ただ1往復だけだった100系「ひかり28号」で帰京、そのまま旧汐留駅であった国鉄→JRのイベントを見に出かけました。



4か月前の1986年11月1日改正で廃止されたばかりの汐留駅に据え付けられたC56-160、そこで最後の国鉄総裁である杉浦氏が汽笛を吹鳴し、国鉄の終焉を告げ、日付が変わり、当時の運輸大臣であった橋本龍太郎氏がJRの発足を告げる汽笛を吹鳴するというイベントでした。


(運転台にいるのが杉浦氏)

一つの時代が終わる瞬間に立ち会ったという感慨にこみ上げるものがありましたが、それから21年、分割民営化は良かったのか、悪かったのか。歴史による評価に委ねるべき部分が多いですが、単純に良かった、成功だったとはいえないことは確かです。



当時C56の運転台で汽笛を吹鳴した2人とも鬼籍に入り、あの時の熱気と寂しさが入り混じった空気が支配した空間を憶えている人も少なくなっていくのでしょう。


延岡と高速交通

2008-02-24 00:30:27 | 交通
道路特定財源と暫定税率をめぐり、宮崎県の東国原知事が暫定税率廃止、一般財源化を訴える民主党にかみついたことが波紋を呼んでいます。

まあ世間受けするキャッチフレーズで切り込む民主党にかみついたことから、抵抗勢力だなんだという批判が急に集まった感がありますが、よくよく見れば知事の言い分ももっともなわけです。

その舞台は宮崎と言っても県北の延岡市。別に県境の寒村と言うわけでもなく、人口13万人、旭化成発祥の地として同社の工場も多く、新産業都市の指定も受けていたほどの「都市」です。

この延岡ですが、とことん高速交通に見放されているわけです。そりゃ知事が怒るのも無理はありません。高速道路は東九州道が通る予定ですが、九州道えびの経由での宮崎道から伸びる西都と、大分道から伸びる津久見までとなっており、あとは高千穂を越えて九州道松橋に出るしかない状態で、高速まで1時間から2時間コースになっています。

鉄道も似たようなもので、宮崎、宮崎空港までの高速化が完成したといっても110km制限ですから、それまでの85km制限が話にならないとしても、日豊線北部の130kmと比べると大きく後れをとってますし、そもそも宮崎空港に出てあとは空路と言うのも対大阪、東京はともかく、対福岡ではあんまりでしょう。

大分方面は県境を越えた佐伯までは何と85km制限。完全無欠なローカル線で、宗太郎の峠越えもあり、宮崎までこそ1時間に短縮されましたが、大分まで2時間。博多までは4時間かかるわけで、冗談抜きで特急+航空機が速いのです。

宮崎空港までの高速化についても、89年に旭化成が就航させた延岡°{崎空港の自社ヘリ(4往復)が90年に墜落事故を起こし、10人を超える犠牲を出したことから運行を断念。高速化へ1企業が12%の出資と言う異例の対応(県出資は50%)をした経緯があるわけで、延岡への高速交通は官民の悲願であり、金も血も流しているのです。

そういう意味では道路事情の悪さを訴える相手に高速化なった特急電車で延岡入りする民主党議員団の無神経さは話にならないわけで、次いでやってきた菅代表代行は「大分からクルマで来て必要性はわかった」と苦しいフォローを強いられていますが、そもそもちょっとでも知っている人なら高速道路の必要性を議論する時、「不要」サイドが舞台に延岡を選ぶということがどれだけセンスがないか、一目瞭然です。

このあたりは交通論的には「俗耳に入りやすい」議論にとらわれない判断が必要な分野であり、かつ同様のエリアがまだまだこの国には多数あるということを認識すべきでしょう。
自分のクルマで走ってみる、また路線バスを使ってみれば、容易にわかる話です。




間が悪いというか

2008-02-21 23:20:09 | 時事
あまりこういう話題を茶化すのは良くないんですが、それにしても出来過ぎと言うかなんというか、開いた口がふさがらない話です。

イージス艦事故の謝罪で勝浦市の漁港に向かう防衛相を乗せたクルマが勝浦市内で衝突事故を起こしたそうです。双方の乗員にけがはなかったそうですが、衝突事故のお詫びに行く途上で衝突事故では洒落になりません。

しかも右直事故で大臣のクルマが右折側ですからこれはいけません。運転者は海上自衛官だそうですからもう何をか言わんや。

不謹慎な話ですが、信号交差点での出来事で、前方に「緑」の灯火(=信号)を見て、右に曲がろうとして優先されるべき直進車と衝突、という、前方に「赤」の灯火を見て、直進して優先されるべき右から来た漁船と衝突したイージス艦事故と赤と緑、右と直進を入れ替えたような意趣返しのような事故の状況には、なんとも間が悪いというか、偶然とはいえそこまで、という思いを強くします。

バイオエタノールとコメ

2008-02-21 18:11:39 | 時事
バイオエタノールのブームでトウモロコシへの転作が進み、世界的に小麦不足となり、麦価が上がっています。

そうした中、今日の日経夕刊ではバイオエタノールの「元」としてコメを使う研究開発の記事が出ています。

限られた耕作地をトウモロコシに取られることで人間様が食べる穀物が足りなくなる、という事態はまさに本末転唐ナあり、しかもその原因となったバイオエタノール自体が、「計算上の」温室効果ガス削減で脚光を浴びているだけであり、実際には温暖化ガスを応分に排出することから、人間にとってダブルで効いて来る話です。

一方でコメはどうかというと、少なくとも日本の場合、減反による休耕田があるわけで、その範囲内で作付けしたコメを使う限りは食料減産となる危険性は低いです。
ただし、農業従事者が現在の耕作面積見合いしかいないわけで、農業用水確保の問題もありますから、休耕田があればすぐ出来るというものでもないでしょうし、よしんばうまく行ったとして、「コメ」として卸すよりも、「燃料」のほうが実入りが良いとなれば、コメとして流通する数量は確実に減るわけです。

そういう意味では同じ休耕田を当てにするにしても、小麦その他基本的な穀物の暴騰による入手難に備えて、食料としてのコメを増産するなどの「食料対策」としたほうがいいでしょう。
年末当たりからの小麦製品の高騰は目を疑うほどで、更なる値上げも予定されていると聞くと、もううんざりです。
そういう意味でも、食料の安定供給に軸足を置いて欲しいです。