Straphangers’ Room2022

旧Straphangers' Eyeや習志野原の掲示板の管理人の書きなぐりです

アストラ1回難民

2021-08-04 22:21:00 | 時事
在留邦人に対しては一時帰国スキーム、本帰国者に対しては住民票を入れた後に接種券配布というのが我が国での流れですが、これ、実務に照らし合わせると問題点が多すぎるんですが、対応を考えているように見えないのです。

在留邦人や帰国者の間でささやかれているのが「アストラ1回難民」で、mRNAと違って2回目接種が12週から16週、最悪は20週になるケースも聞いている中で、それだけ空くと事態は大きく変わるわけです。

今から2ヶ月くらい前、つまり5月下旬から6月上旬に東南アジア、南アジアの状況はどうだったか。インドは5月初めがピークで酸素不足の地獄のような状況でしたが、インドネシアは感染爆発直前で、タイに至っては小康状態に入り飲食店規制がいったん緩和された時期になります。
それが足元の状況、というわけで、アストラゼネカの接種間隔とされる3ヶ月以上も時間があれば何があってもおかしくなくなります。

今回何が起こっているか。アストラゼネカを1回接種後、本帰国の辞令を受けたとか、退避命令が出たケースです。そもそも2回目接種が予定通りに行くかの問題もある中で、2回目接種まで待つのも本末転唐ネわけです。特に一時避難を考えているような場合は。

海外でアストラゼネカを接種した場合は日本でもアストラゼネカを接種、とワクチン担当相が言ってましたが、接種だけでないんですよ、問題は。接種証明をどうするのかです。もう2022年になれば各国で収束するか、ワクチンパスメ[トによる移動が可能になるはずですが、「アストラ1回難民」が接種証明をどうやって入手するのか。

日本側は接種証明の発行は日本で2回接種した場合に限る、としており、まあ海外でも2回完了までは正式な証明は出さず、接種記録も場合によってはパスメ[ト番号もなく個人紐付けが出来ないもののあるような状態では、日本にそれを信用しろというのも難しいというのも分かります。
しかし接種証明が出なければ詰むわけで、それこそ「二級国民」ですよ。本当は接種完了しているのに証明書を持てないのですから。

海外での1回目接種時期にもよりますが、国内での接種はmRNAでの「打ち直し」にすべきでしょう。
アストラゼネカを2回接種して都合3回としたら、3回目(日本国内2回目)の接種完了は最短で1回目接種の24週後。ましてや一時帰国スキームなど使えませんね。mRNAをブースター接種するというのは有効という研究結果が出ていますが、アストラゼネカの3回接種などリスクだけですよ。時間もかかるし。

一番深刻なのはインドネシアで、現在入国時に陰性証明だけでなく接種証明を要求しています。
同国内からの一時避難が相次いでいる中で、「アストラ1回難民」はどうすればいいのか。インドネシアでもmRNAの接種は始まっているようですが、主力はシノバックでついでアストラゼネカですから。
インドネシアに戻る際に接種証明がないと詰むんですよ。アストラ1回接種はアストラを接種、だと3回目を打たないと日本で証明書が出ない、帰国時の10日間の隔離検疫中の1回目接種(10日間隔離は巡回接種がある)から12週以上経ってようやく帰任出来てそこから隔離検疫です。そんな非現実的な状況では避難も出来ないです。

日本では人権ガー、とかいってワクチンパスメ[トの発行に慎重ですが、海外では国内でも積極的に使おうとする動きが出ていますから、ワクチンパスメ[トを入手出来なかったら生活できませんからね。既に中国がこうした状況ですが。そうした個別具体論への対応が見えない、リスクだけ見える、という状態の解消が急務です。

ちなみにこの問題を取り上げた記事がメ[タルに掲載されていますが、コメント欄が先の「ヒゲの隊長」の記事に湧いてきた「邦人」を外国人と思いこむレベルよりも悲惨なレベルですね。特に記名でトップに座る「オーサー」がこんなことに難民という言葉を使うのはケシカラン、とか記事の論点に言及しないでのコメントは話がズレるにもほどがあるわけで、馬鹿を識者扱いにするメ[タルの無能ぶりがよくわかりますね。二国間での2回接種が股割きになる問題なのに、中国製ガー、とか斜め上を通り越すコメントとか、ごく一部を除き論点の1%も理解していないわけで、これじゃ政府が対応しないのも分かります。そうした人材の上澄みをいくら集めても変わりませんから。

なかには駐在員ですがこの考えはおかしいと思います、と否定している人もいますが、実際には駐在員でも一時帰国スキームにどれだけの時間がかかるかを知らないとか、現地でアストラゼネカを接種しているから日本に帰れば2回目でファイザーが打ててラッキーとか、制度と論点を全く理解していない人も少なくないですからね。そういう「情弱」か、あるいは「自称駐在員」か。

特にタイでは今急速に外国人に対するアストラゼネカの接種が始まっており、かつ全国の感染者数が1日2万人を超えるなど状況が悪くなっていますから、接種する動きが加速しており、「アストラ1回接種済み」の在留邦人は急増中です。そこに事態の悪化が重なるなか、いよいよ駐在員に退避命令を出す企業も出てきており、いよいよ「アストラ1回難民」が多発します。アストラゼネカの接種間隔が12週以上ということも問題を厄介にしています。

例の「在庫」の言い鰍ゥりをつけていたころの「二回目難民」と違い、目の前にワクチンがあっても接種してもらえない、あるいは接種しても証明書が出ない、というのが論点です。ワクチンが来れば解消する「二回目難民」とは全然違うのです。



先を争って悪くなる誤算

2021-08-04 22:19:00 | 時事
そりゃ在留邦人の不利益を周知して、解消すべく主張しているんですからャWショントークどころじゃないですね(冷笑) 
まあ問題点を指摘していたら、そもそも「邦人」を理解していない人が続出していたわけで、外国人への恩恵はケシカラン、といいながら住民票と納税を基準にしたら日本に在留している外国人が逆に保護されるという浅薄な国士様が大漁でした。ちなみに「異邦人」で誤解、というこれも頭を抱える人が少なくないですが、「邦が異なる人」ですよ、日本語が読めれば簡単に理解できるはずですが。

足元の第五波の状況は確かに極めて憂慮すべき状況です。感染者対応で中等症も自宅療養という名の「放置」を政府が決定していますが、分科会会長が「聞いていない」と驚愕の事実が発覚しています。医療現場からもそんな無茶な、という声が噴出しており、「専門家のご意見を伺いながら」が嘘っぱちだったわけです。

それでもまだ一時帰国スキームに頼るしかない国の医療事情に比べればマシ、と言いたいんですが、中等症の自宅放置となると、これ、タイの自宅待機と大差ないわけで、状況次第では無症状者、軽症者を野戦病院に収容するノウハウがあるタイの方が幾許かマシかもしれません。ただし中等症以上の患者が病院の駐車場で入院待ちという状況も実際にあるわけで、本格的な医療行為が必要になった段階ではタイの方が現状では厳しいです。ただこれも日本の「重症化リスクのある」を正確に救済できていることが条件であり、そこが崩壊したらインドネシア化まっしぐらです。

ただしこうした感染拡大がなぜ止まらないのか、と考えたら、結局は日本の規制が「なんちゃって」ということに尽きます。この期に及んでも夏の規制やレジャーを予定通りに、という人が多いわけで、飲食店は三密上等で酒を出し、客は三密状態で騒いでいる。正直言って「自業自得」の面が強いです。

バンコク都など最高度の管理地域となるダークレッドゾーンでは夜間外出禁止令(21時・時)に加え食品スーパー、薬局、路面店の飲食店とその他一部小売以外は閉店というソフトロックダウン状態です。県境越えの移動は自粛要請で、道路には検問でアプリでの申請を推奨し、長距離バスと航空は全面運休、鉄道も長距離列車は1日1往復、日中に行けるところまで、という事実上の移動規制です。

移動や旅行は感染源にならない、と叫んでいるようですが、タイであれば首都圏の建設現場のクラスタ対応で現場が閉鎖され、仕事を失った労働者が帰郷して地方に感染が広がったわけで(昨春も第一波初期に夜の街を閉鎖したら帰郷して地方の感染につながった)、日本でも沖縄や北海道、そして石川など「首都圏からの観光地」が軒並み悪化しているのは明らかに移動が原因ですよね。地方で発表される感染者の報告でも地元に帰省して友人と会食してクラスタ・・・というケースが目立ちますし。

その意味では日本はまだ「手の内」の余裕しろがあるわけで、タイのように全国津々浦々まで広まってしまう前に実効性を伴う「ロックダウン」が出来れば、破局を免れることは可能でしょう。
並行してmRNAワクチンが政府の言うとおりに入荷出来て接種が進めば、何とか収束に持ち込めます。2回接種完了が3~4週間後というのは強く、今から2ヶ月先に1回目接種でも、今アストラゼネカの1回目を接種して2回目が完了するよりも先に2回完了ですからね。その意味では厳しい規制で凌いで2回接種完了を進めるという正念場であり、ゴールも見えています。

その意味でもアジア各国から見ればいろいろな面で「なんちゃって」なんですよ。タイでは1回目接種がシノバックなど中国製を合わせてようやく25%を超えるレベル。各国とも良くてアストラゼネカで2回接種完了は年末にかけて。しかも効き目は落ちるということでは、ゴールが見えないんですから。その状況で一時帰国スキームに頼ることを咎める「祖国」って何なんでしょうね。

ただ、何度も言いますが、ワクチンが本当にある(入手できる)ことが前提ですからね。それこそ6月頃の勢いは何だったのか。ズルして割り込んでも1人でも多く接種するほうが大切、って、実際1日100万人超えとかあの勢いの当時は程なく回ってくる、という楽観ムードで感染者数を云々すると批判が雨あられときましたが。

もしそこに齟齬というか騙しがあったら、「第五波」が続くのか「第六波」になるのかはわかりませんが、ゴールが見えない、しかも接種も怪しくなるのでは、同じ責め苦を味わうことになってしまいます。
そして全国津々浦々に広がる方が早いかもしれません。地方の拡大が半端なくなっています。そうなったら早期の鎮火はかなり困難でしょう。



海外にまで現れる「〇〇警察」

2021-08-04 22:16:00 | 時事
日本大使館スキームでの接種予約が各病院で始まっていますが、一部病院がファイザーをメニューに入れていることが話題になっています。政府発表ではファイザーは高齢者、基礎疾患持ち、妊婦「優先」とありますが、年齢制限なくファイザー指定で予約できることがSNSなどで広まっています。
これに対してSNSを巡回して、適用外の人間が予約するのは迷惑行為だからやめろ、と批判して回る人がでており、まさかタイの地で「〇〇警察」が現れるとは、という事態です。

日本大使館スキームということもあって大使館に「ご注進」したようですが、まあ当然ながらこのスキームは各病院の個別スキームに日本人向け受付のプラットフォーム設置を斡旋しただけであり、細かい実務は各病院ごとに異なるので、大使館も各病院に申し入れは出来ないという回答になったようです。
当然満足できないのかボルテージが上がって今度は病院に鰍ッ合ったみたいですが、ここでもフォーマットの通り、とファイザーの受付はしている、当日の事情で接種できない(別のワクチンになる)場合がある、という公式回答で一蹴されていますが、何とも迷惑な話ですね。

本人はいたって大真面目なんでしょうし、それを披露した法人向けメ[タルのコメント欄でもこうした行動に喝采を送る人がいるのが頭を抱えるしかないですが、異郷にいながら「郷に入れば郷に従え」も分からないのか、としか言いようがないですね。あれこれ規定されていても目の前の状況が事実なんですよ。だから行動しなきゃわからない。逆にルール通りにやっても一方的に撤回、キャンセルされることも日常茶飯事ですから、自分の身を守るにはどうしたらいいのか。ちょっと考えたらわかる話でしょう。

ちなみにうやむや?になった感もある5月にスタートした政府スキームの登録にしても、公式の案内とは違い、登録したらそのまま病院を選択してワクチンの種類を選択して日時の予約まで行えたわけで(実際には予約の段階まで進めたのはごく少数)、ワクチンを選択して予約できるなんて政府発表と違う、ケシカラン、と言いましたかね。「ファイザー警察」の人は。今回棚ぼた的にファイザーが接種できるようになるのが気に喰わない、という僻み根性に過ぎないことがよくわかります。

しかも「ファイザー警察」が大使館や病院を荒らしまわっているという情報に不安を覚えた予約者が病院に連絡して予約を確認して、結局公式回答を再確認しているのですが、日本人が迷惑行為をしている、という理屈で自己正当化している「ファイザー警察」が最大の迷惑行為というのは笑えない話です。
よしんば予約を撤回に追い込んだとして、誰が得をするのか。歪んだ正義感で足を引っ張るのは本人の自己満足、自涜行為に過ぎません。

日本でもいろいろな分野でこの手の「○○警察」が発生していますよね。厳密に区分できなくて利用者有利になるようにグレーゾーンを運用しているところに、厳密に見たらおかしい、とねじ込んで、そういわれたら杓子定規に対応するしかないので運用を止める、という誰も得をしない事象が相次いでいます。
自分の正義の行動で誤った運用を撤回させた、と満足しているのでしょうが、その陰で誰も得をしない、迷惑を被っているということは見ていないわけです。

日本の場合はまだ「お遊び」的な分野での出来事が大半だからいいですが、今回はワクチン接種という「生命にかかわる」話です。病院だって上得意や有力者にこっそり回すというような途上国あるあるじゃなくて、公式サイト経由で提供しているのですから、拡大解釈して出来るだけ多くの人に提供しようというありがたい姿勢じゃないですか。それを無にして回ることに快感を覚えていることがどれだけの迷惑行為か。タイ国内であればまだしも、まさかとは思いますが日本から電話していたとしたら何をかいわんやです。