夏場所は終わってみれば照ノ富士の優勝、しかも14番と4場所連続休場、うち3場所は全休のブランクを感じさせない結果でした。
序盤はおっかなびっくりという感じでしたが、強引に抱え込んで極めるか小手に振るかで圧倒する相撲で白星を重ねました。もちろん変化に足が付いて行かない、というお約束の負けが込むコースにならかったように、見た目よりも足腰が安定していたんでしょうね。
横綱同様1人しかいない大関の貴景勝は8番とカド番脱出が精いっぱいで、注文相撲だろうが何だろうが勝てば官軍という良く言えばがむしゃら、悪く言えばなりふり構わない相撲は大関に値するか微妙です。千秋楽結びの一番も工夫もなく押し切れなくなると苦し紛れに引いて自滅と最上位の対戦とは思えない低レベルぶりでしたし。
そして三役陣が活躍する場所は面白いと言いますが、4関脇が揃って2桁とはさすがにびっくりです。4人のうち傑出した成績、あるいはお互い誰にも負けなかった、というのがないわけで、直近の成績から霧馬山が大関昇進を果たすでしょうが、残る3人も含めて横一線なだけに、来場所の大関とりが楽しみです。強いて言えば名古屋場所終了時に昇進しそうなのは若元春でしょうか。豊昇龍は取り口が雑で、大栄翔はムラッ気が否定できませんから。
ただ4関脇が揃って2桁という偉業ですが、豊昇龍が不戦勝2つ、大栄翔も1つとやや水増し気味。それと大栄翔は照ノ富士と当たってないんですよね。
照ノ富士側から見たら、関脇と連続して当たって、千秋楽は貴景勝、となるべきところに13日目に朝乃山の割りが組まれており、ここが大栄翔だったんでしょうね。割りが組まれた時点では1敗同士で優勝戦線のトップに並んでいたわけで、その時点では4敗と数字の上でも優勝の可能性がほぼ無い大栄翔との割りを優先させるのか、関脇同士の割りをなくすか、あるいは千秋楽結びの一番が最上位の横綱大関戦でなくなるか、という選択肢の中で大栄翔の横綱戦が消えたと見ます。
小結は琴ノ若が8番のほかは若隆景が全休、正代が6番と陥落します。関脇は霧馬山が昇進しても3人いますから琴ノ若は留め置きで、さすがに小結2枚目(張出小結)は無理に作らないでしょうから東筆頭の阿炎が上がっておしまいでしょうね。西4枚目の錦木は後半8連勝で9番ですが、3点の勝ち越しでは届きません。10番でも難しかったでしょうが。
平幕上位は錦木のほか御嶽海と明生、そして東14枚目で12番、9点の勝ち越しの朝乃山が揃う格好で、そこまで大きく下げないであろう正代と合わせてこのあたりも三役や横綱大関を苦しめられるかどうか。特に朝乃山は「元の鞘」に収まれるかを占う大事な場所になりそうです。
あとは宇良がもったいないですね。最終盤連敗して負け越しちゃいました。怪我対策で体重を増やし大型化しましたが、取り口が小兵時代のままのギャップや多彩な技が目を惹き、今場所も頭捻りを繰り出し見事に決めましたし。
ただ今場所は関脇陣の躍動の反面平幕がぱっとせず、朝乃山と西16枚目で11番の王鵬以外に2桁がいないというのも残念ですね。頭角を現すチャンスなのにそれにも至っていないのですから、「次の世代」はまだ遠いようです。終盤崩れて8番に終わった東11枚目の北青鵬も中位ながらどこまで活躍できるか。白鵬の内弟子という秘蔵っ子で、図抜けた体格をどこまで活かせるか。ただ体格任せの雑な取り口という面が否めず、終盤の大崩れのきっかけとなった若元春戦で九分九厘勝っていながらうっちゃりを喰ったのはその象徴です。まああの一番は後世「うっちゃりといえば」という画像になりそうなうっちゃりを見事に決めた若元春を褒めるべきですが。
平幕と十両の入れ替えですが、逸ノ城の引退(廃業)で1枠が絶対的に空いたほかは、一山本と水戸龍は陥落当確。悩ましいのは西2枚目で7敗8休、つまり全敗の遠藤と東12枚目で5番の碧山、東17枚目で7番の輝で、単純計算だと碧山は半枚残る感じですが、遠藤と輝はともに西17枚目相当の星です。来場所は小結1減なので平幕は西17枚目まであるはずで、どうなるか。現状幕尻で負け越した輝の分が悪いのでしょうが。
翻って十両を見るとこっちは活きが良いですね。東筆頭で14番、十両優勝の豪ノ山は文句なしで来場所は平幕中位のさらに上の方が望める成績です。西筆頭の湘南乃海も11番とこれも当確。東3枚目武将山の10番も大丈夫でしょう。
ところがこの下に赤丸組がいて、東8枚目の熱海富士が13番、西8枚目の落合(伯桜鵬)が優勝同点の14番とこの2人を上げたいところ。上述の通り平幕の陥落候補が悩ましいですが、遠藤は上位にいて休場ということも勘案して幕尻にとどめて、碧山と輝を落として5枠空けて、十両は上記5人を上げるかですね。単純計算だと熱海富士を東筆頭に留め置き(碧山が残る)もあるのでしょうが、来場所も大関取りの場所というフレッシュなイメージを盛り上げるためにも新陳代謝を強化するかです。
十両幕下間は栃ノ心の引退(廃業)で1枠のほかは、西9枚目で10敗5休の千代の国と東14枚目の時疾風で都合3枠ですかね。
幕下側も東筆頭で4番の紫雷、西筆頭で5番の川副、西2枚目で6番の獅司しか上げられる成績をおさめた力士はいませんし。
序盤はおっかなびっくりという感じでしたが、強引に抱え込んで極めるか小手に振るかで圧倒する相撲で白星を重ねました。もちろん変化に足が付いて行かない、というお約束の負けが込むコースにならかったように、見た目よりも足腰が安定していたんでしょうね。
横綱同様1人しかいない大関の貴景勝は8番とカド番脱出が精いっぱいで、注文相撲だろうが何だろうが勝てば官軍という良く言えばがむしゃら、悪く言えばなりふり構わない相撲は大関に値するか微妙です。千秋楽結びの一番も工夫もなく押し切れなくなると苦し紛れに引いて自滅と最上位の対戦とは思えない低レベルぶりでしたし。
そして三役陣が活躍する場所は面白いと言いますが、4関脇が揃って2桁とはさすがにびっくりです。4人のうち傑出した成績、あるいはお互い誰にも負けなかった、というのがないわけで、直近の成績から霧馬山が大関昇進を果たすでしょうが、残る3人も含めて横一線なだけに、来場所の大関とりが楽しみです。強いて言えば名古屋場所終了時に昇進しそうなのは若元春でしょうか。豊昇龍は取り口が雑で、大栄翔はムラッ気が否定できませんから。
ただ4関脇が揃って2桁という偉業ですが、豊昇龍が不戦勝2つ、大栄翔も1つとやや水増し気味。それと大栄翔は照ノ富士と当たってないんですよね。
照ノ富士側から見たら、関脇と連続して当たって、千秋楽は貴景勝、となるべきところに13日目に朝乃山の割りが組まれており、ここが大栄翔だったんでしょうね。割りが組まれた時点では1敗同士で優勝戦線のトップに並んでいたわけで、その時点では4敗と数字の上でも優勝の可能性がほぼ無い大栄翔との割りを優先させるのか、関脇同士の割りをなくすか、あるいは千秋楽結びの一番が最上位の横綱大関戦でなくなるか、という選択肢の中で大栄翔の横綱戦が消えたと見ます。
小結は琴ノ若が8番のほかは若隆景が全休、正代が6番と陥落します。関脇は霧馬山が昇進しても3人いますから琴ノ若は留め置きで、さすがに小結2枚目(張出小結)は無理に作らないでしょうから東筆頭の阿炎が上がっておしまいでしょうね。西4枚目の錦木は後半8連勝で9番ですが、3点の勝ち越しでは届きません。10番でも難しかったでしょうが。
平幕上位は錦木のほか御嶽海と明生、そして東14枚目で12番、9点の勝ち越しの朝乃山が揃う格好で、そこまで大きく下げないであろう正代と合わせてこのあたりも三役や横綱大関を苦しめられるかどうか。特に朝乃山は「元の鞘」に収まれるかを占う大事な場所になりそうです。
あとは宇良がもったいないですね。最終盤連敗して負け越しちゃいました。怪我対策で体重を増やし大型化しましたが、取り口が小兵時代のままのギャップや多彩な技が目を惹き、今場所も頭捻りを繰り出し見事に決めましたし。
ただ今場所は関脇陣の躍動の反面平幕がぱっとせず、朝乃山と西16枚目で11番の王鵬以外に2桁がいないというのも残念ですね。頭角を現すチャンスなのにそれにも至っていないのですから、「次の世代」はまだ遠いようです。終盤崩れて8番に終わった東11枚目の北青鵬も中位ながらどこまで活躍できるか。白鵬の内弟子という秘蔵っ子で、図抜けた体格をどこまで活かせるか。ただ体格任せの雑な取り口という面が否めず、終盤の大崩れのきっかけとなった若元春戦で九分九厘勝っていながらうっちゃりを喰ったのはその象徴です。まああの一番は後世「うっちゃりといえば」という画像になりそうなうっちゃりを見事に決めた若元春を褒めるべきですが。
平幕と十両の入れ替えですが、逸ノ城の引退(廃業)で1枠が絶対的に空いたほかは、一山本と水戸龍は陥落当確。悩ましいのは西2枚目で7敗8休、つまり全敗の遠藤と東12枚目で5番の碧山、東17枚目で7番の輝で、単純計算だと碧山は半枚残る感じですが、遠藤と輝はともに西17枚目相当の星です。来場所は小結1減なので平幕は西17枚目まであるはずで、どうなるか。現状幕尻で負け越した輝の分が悪いのでしょうが。
翻って十両を見るとこっちは活きが良いですね。東筆頭で14番、十両優勝の豪ノ山は文句なしで来場所は平幕中位のさらに上の方が望める成績です。西筆頭の湘南乃海も11番とこれも当確。東3枚目武将山の10番も大丈夫でしょう。
ところがこの下に赤丸組がいて、東8枚目の熱海富士が13番、西8枚目の落合(伯桜鵬)が優勝同点の14番とこの2人を上げたいところ。上述の通り平幕の陥落候補が悩ましいですが、遠藤は上位にいて休場ということも勘案して幕尻にとどめて、碧山と輝を落として5枠空けて、十両は上記5人を上げるかですね。単純計算だと熱海富士を東筆頭に留め置き(碧山が残る)もあるのでしょうが、来場所も大関取りの場所というフレッシュなイメージを盛り上げるためにも新陳代謝を強化するかです。
十両幕下間は栃ノ心の引退(廃業)で1枠のほかは、西9枚目で10敗5休の千代の国と東14枚目の時疾風で都合3枠ですかね。
幕下側も東筆頭で4番の紫雷、西筆頭で5番の川副、西2枚目で6番の獅司しか上げられる成績をおさめた力士はいませんし。
【5月31日追記】
霧馬山は無事大関に昇進し、霧馬山改め霧島です。
師匠のしこ名を継ぎますが、年寄株の関係とはいえ、鹿児島県出身の大関霧島が陸奥親方というのもなかなかシュールです。
新十両、再十両は5人になりました。紫雷、川副改め輝鵬、獅司のほか、西3枚目で4番の千代の海、東5枚目で5番の勇磨が届きましたね。
先の記事では計算間違いをしており、逸ノ城の引退枠で平幕昇進した分もところてん式に十両の空き枠になるので引退に伴う空き枠が2になります。
1枠定員割れとしなかったので、単純計算では2枚目で並ぶ両者を東西の半枚差で明暗を分けられなかったのでしょう。
となると割を食うのはというと6番で東11枚目英乃海でしょうね。単純計算では半枚残しているはずですが、昇進優先でしょう。
先の記事では計算間違いをしており、逸ノ城の引退枠で平幕昇進した分もところてん式に十両の空き枠になるので引退に伴う空き枠が2になります。
1枠定員割れとしなかったので、単純計算では2枚目で並ぶ両者を東西の半枚差で明暗を分けられなかったのでしょう。
となると割を食うのはというと6番で東11枚目英乃海でしょうね。単純計算では半枚残しているはずですが、昇進優先でしょう。