Straphangers’ Room2022

旧Straphangers' Eyeや習志野原の掲示板の管理人の書きなぐりです

検査否定はワクチン否定のトンデモと同等

2021-08-05 22:19:00 | 時事
東京都の新規感染者数が5000人を超えました。
これまで私は「そろそろ収束へ」と書いたらそれを嘲笑うかの如く増加するパターンが今回も繰り返されたてしまい、もうお前は「収束」云々を言うな、とお叱りを受けそうですね。

それはさておき、3日前の検査数も19000人台と過去最多となり、2日前が15000人台、1日前が13000人程度といつになく多いので、その影響もあるんでしょうが、検査数が少ないから少ない、といわれる月曜発表分に対し、今週は実に2.3倍と曜日のアヤというには増えすぎです。

和歌山県のデータではまだ6月末段階ですが中等症(肺炎発症)が20代で3割、30代では半分となっており、「軽症あるいは無症状」で誤魔化しきれない状態ですし、それだけの数が自宅療養に回されると考えると空恐ろしいです。感染者数の絶対値が激増していますから、よしんば割合が下がったとしても絶対数は増加の一途で、医療資源を食い潰していきます。

日本では「中等症は自宅療養」という衝撃的な政策変更に、さすがに危機感を持って語られ始めていますが、タイなんかではまだまだというか、メ[タルのコメント欄に巣食う手合いが低レベルなんでしょうが、PCR検査は信用ならん、検査するから意味のない陽性を拾う、といった周回遅れのコメントが横行しています。
というか、ワクチンを接種すると磁気を帯びる、5Gを受信する、と言ったトンデモと同レベルなんですが、「外地」ではそれを咎める人も少ないのか大手を振って罷り通っています。

検査を増やすから陽性が増える、という批判は、言い換えれば検査しなければ陽性は出ない、ということで、数値の隠蔽を主張しているに等しいわけです。無症状からどんどんステップアップするなかで、無症状の段階で感染力が最大になる。なのに無症状は感染者にあらずとか「貴重なご意見ありがとうございます」レベルの意見がまだ横行しているのが不思議ですね。だったら東京都は検査数を絞って誤魔化している、という批判と対立するわけですが、「隠蔽派」は東京都のやり方が正しい、と拍手喝采しないと筋が通りません。

まあ検査数で誤魔化しても、実際に何らかの発症をして判明する人が多いわけで、検査数を減らしても感染者数が劇的に減少することはまずないでしょう。「軽症あるいは無症状」というカテゴリーの「無症状」しか見えていない人が少なくないですが、無症状はせいぜい2割ですから。逆にもっと積極的に検査したらこの割合は増えるでしょう。つまり、検査を増やすから、ではなく検査がまだ十分でないから、という状況です。

ちなみに都内で自宅療養者が8月だけで8名死亡していると報じられていますが、8月に入ってから発表されている死者は9人です。死者数としての公表待ち(この時点で隠蔽行為に等しいが)でしょうが、そうでなければ8/9、全体の88%が自宅待機中の死亡で、しかも全員30~50代とのことですから。とんでもない事態です。
そして「死者数ガー」というのが実は意味のないこと、となってしまいます。タイムリーに公表されていない死者が公表の倍近いというのであれば。



大使館の尽力を徒とするな

2021-08-05 22:18:00 | 時事
アストラ1回難民、昨日の記事の最後でも触れましたが、今後大変なことになりますよ。

ワクチン接種が遅れているタイでは感染拡大が深刻化していることもあり、後回しになっていた外国人向けの接種が7月中旬以降急ピッチで始まりました。フランスやアメリカなどが大使館が自国民向け接種のアレンジをする中、当初は否定的だった日本政府や大使館も重い腰を上げて、7月下旬に在タイの在留邦人向けに日本人専用窓口を設置した病院での接種を斡旋し始めています。

ところが並行して感染拡大が爆発的様相を見せ始めており、この問題が取り沙汰されていた7月中旬に全国で1万人突破とか言っていたのが、足元は2万人を突破しており、タイ国民向けの接種も進まない状況に9月には4万人も、という観測が出ています。

既に医療崩壊が進んでおり、日本で批判を呼んだ中等症の自宅療養はタイでは既に実現しており、入院もままならない状態です。そのためこれまでも現場を持たないサービス業や商社などが一時帰国に踏み切るケースがあると聞いていましたが、遂にそれなりの規模の事業所を抱える企業が一部責任者を除く全面的な一時帰国を始めるという話が聞こえてきています。

「(会社名)さんが!」と結構インパクトのある話で、堰を切ったように一時帰国が始まる可能性があります。
当然これは情報を判断する日本側からの指示になるわけですが、ここでいろいろな問題が出てくる中に例の「アストラ1回難民」があるわけです。

帰国需要が一気に増えるとただでさえ入手難の帰国便チケットが瞬間蒸発するうえに、まだ接種しておらずこれを機に一時帰国スキームでの接種を考えている人は枠の取り合いになります。
そして最大の問題が「アストラ1回難民」で、7月下旬から足元にかけてアストラゼネカの1回目接種が本格化しているわけです。これ、所定の12週間後の2回目接種であれば10月中旬以降に2回目の予約が入っているわけで、そこで接種しないと基本的に接種証明が発行されません。

一時帰国したらタイでの1回目の接種は接種証明発行上はカウントしないため、アストラゼネカを接種しても日本で接種証明が取れません。さらにダマテンで一時帰国スキームを使うにしても、今のタイミングで一時帰国する場合、帰国時点では1~3週間と間隔が短く、混合接種を容認する場合でも4週間の間隔が最低必要と言われている(タイの一部病院の有償モデルナ接種に関するQ&A)わけで、極めて中途半端なタイミングで羽田や成田に出向く必要が発生します。

状況によっては自主待機期間経過後になりますが、一時帰国だと住民票がないので接種券を発行してもらうことが出来ず、一時帰国スキームに乗っかるしかありません。そして足元は日本の居住者向け接種の進捗が止まっているため、一時帰国スキームしか使えないのです。

一時帰国スキームでファイザーを接種して、タイでファイザーを接種できる可能性はファイザー接種の条件から低く、かつ外国での接種を1回分としてカウントはしないので、接種証明を得るには日本で2回分完結させる必要があります。そうなると最悪はタイに戻って隔離検疫が明けるまで8週間程度かかるわけで、タイの感染爆発の影響がそこまで続いたらもう事業の継続にかかわるような事態ですし、そうでなければ然るべきタイミングで帰国して事業の立て直しをしないといけないのにそれが遅れるわけです。

しかもアストラ<tァイザーーファイザーの3回接種であり、身体への影響も懸念されるわけで、それを踏まえて10月中旬以降のタイでの2回目の接種まではタイで頑張るしかない、という選択を強いられるという本末転搭C味な事態も発生しているようです。1回接種でもそれなりに抗体は出来るようですが、mRNAに比べると相当落ちますし、タイの状況が早期に改善するとも思えないなか、タイでの隔離検疫を考えるとタイでの隔離検疫明けに2回目接種というのは極めて困難でしょうし。(約9週間後、10月早々にタイに戻ることが感染状況を鑑みて可能かどうか)

大使館の尽力がかえって徒になったようですが、タイ国民が「ワクチン難民」になっている現状を考えると今回の対応は非常に有効でありがたかったわけで、それだけに日本へ避難としての一時帰国をする在留邦人が「アストラ1回難民」になる可能性が高まっているなか、それへの具体的、有効性ある対応が望まれます。

タイの在留邦人は約8万人といわれており、うち企業等の駐在員とその家族が75%程度を占めています。
先月末の段階でタイの全外国人で1回目接種済みは10666人ですから、足元の接種拡大を考慮しても在留邦人の「アストラ1回難民」は数千人レベルの規模でしょうが(それだけに未接種のハイリスク集団が多いのも問題だが)、ごく少数の例外と言い切れるような数字ではないでしょう。

これはこのままだと時間が経てば接種できるといった解決は不可能なのです。
あるいは米国が在外の米国人に一時帰国での接種を案内した時や、フランスの在タイの自国民向け接種のように1回で完結するJ&Jを接種するのが早道ですが、する気もないようですね。日本では5月に承認申請されており、他国での採用状況などを見れば、主なリスクはアストラゼネカと同等でもあり、特例採用して対応するという選択肢はあるはずですが。