Straphangers’ Room2022

旧Straphangers' Eyeや習志野原の掲示板の管理人の書きなぐりです

需要が戻っても対応しないことを前提にしてはならない

2023-04-29 23:20:15 | 交通
Covid19が5月8日から5類に格下げになるのを前に入国規制が29日から撤廃されましたが、国内だけでなくインバウンドの動きもすでに活発になっています。
この影響で嵯峨野線の混雑が筆舌に尽くしがたいものになっているという記事が出ていましたが、そもそもCovid19対応で減便、減車していたものをごく一部の増結にとどめているそうで、そりゃ混んで当たり前です。連休中はおしるし程度の増発、増結をするようですが、焼け石に水でしょう。

事情が変わったんだし減便減車の前提がなくなったのだから元に戻すのが当然ですが、それをしないでいることがまず批判対象なのに、メディアもネットに巣食う「自称」コメンテーターというか「セルフ」の連中も、増発増結ではなく221系が悪い、ロングシートマンセー、というのだから話になりません。これはコストをかけずに詰め込みたいという事業者の意を汲んだ、というかステマさえ疑う記事や書き込みであり、極めて悪質です。

まあ記事でも言及がある通り大半の利用者が集中する始終発駅である嵯峨野線京都駅が頭端式ホームということで上り列車先頭側が著しく混むのですが、ホーム自体は広く、結局人が流れないのが大きいです。要は接続時間と、端部の改札口や乗り換え階段との間にある売店群が流れを阻害しているわけで、商売はしたい、コストはかけないという我儘であることがよくわかります。

さらに言えば221系を諸悪の根源のように言っていますが、嵯峨野線に投入されている221系を見たことないんでしょうね。あるいは他地域の情報がアップデートされていない事業者無謬が騒いでいると。嵯峨野線だけでなくT電快速なども含めて221系は更新工事を受けているわけです。ドア間6列でドア横スペースがほどんどなかったのを改めて、ドア間5列にしています。しかもそれは223系のように最初からドア間5列で設計し直すのではなく、中扉側の1列をそれぞれ撤去、というやり方ですから、中扉付近は座席2列分が立席スペースになり、ロングシートよりも収容力を増しています。補助席はありますが、奥に引っ込んでいるので乗降の邪魔にはなり得ませんし、ロックすればいい話です。

奈良線の205系をいれればいいとか言ってますが、それよりはラッシュ耐性はある221系のままで、6~8連にすればいい話です。増発がベストですが、無理なら増結です。それすら嫌というのは許されない我儘です。インバウンドが多い路線でこれは国辱ものですよ、しみっちく詰め込んでいるだけですから。
なんか勘違いしてますが、「人が減ったから減便、減車します」と言ってるんですから、人が増えたら元に戻しますよね。普通の神経なら。経営が苦しいんですぅ、というのを盾にしているようですが、公共インフラとしてそれが許されないことは言うまでもありません。



さりげなく訓練/いいがかりしかできない人たち

2023-04-27 21:13:26 | 時事
広島でのG7サミットを控えて警備が強化されていますが、ミクロで見たら警備しやすい宇品島(元宇品)が会場とはいえ、マクロで見たら広島市街地の中にあるわけで、昨今のこの手の首脳会議が警備しやすい孤立した地方リゾートで開催される傾向にあることを考えたら異例の開催と言えます。
平和を考えるというお題目はありますが、首相のお膝元での開催ということもあり、「首相の手柄」が優先された格好というしかないでしょうね。

そうした中で起きた広島駅ビルでの不審物騒ぎ。単なる「忘れ物」に駅ビル封鎖から山陽新幹線の全線運転見合わせととんでもない事態になりました。
テロがあってからでは遅い、と正論ぶる人が無数に湧くのを承知で言えば、「過ぎたるは及ばざるが如し」を地で行ったわけです。要はリスクの軽重を判断できないレベルの低い体勢ということです。それこそ「うっかり」を理由に何も爆発物とかヤバいものを使わずとも社会活動を止めることが可能と知らしめたわけですからね。セキュリティチェックをしても識別できない「不審物」で十分なんですから。

あるいは本当に何かあった時の「予行演習」か。その意味ではここのところ発信されているJアラートもその類か。実はたいしたことが無いと分かっているから安心していろいろな手順を実地に確認すると。訓練です、と予め言ってしまうと準備してしまいますからね。あるいは抜き打ちチェックと言っても、それこそ「迷惑至極」と批判が来るから、「安全な事例」で試したと。

一方で和歌山での爆発事件に関連し、国家公安委員長の「うな丼」発言が「問題」になっています。
これ、正直言って何が問題なんですかね。要はせっかくの地元名物のランチを邪魔された、という軽口ですが、誰がどう見ても「うな丼」を目前にして対応に追われた、コンチクショウ、という「食い物の恨み」を笑いにしただけでしょうに。対応を後回しにして「うな丼」に舌鼓じゃないからギャグにできるのであって、対応の結果冷めた「うな丼」か作り直してもらったのかは分かりませんが「うな丼」は食べられました、というオチでしょう。

それはとんだ災難、とかお疲れさま、何とか食べられてよかったね、で済む話が何でこじれるのか。
なんか脊髄反射で叩いているんでしょうね。それこそ「対応でうな丼を食べられなかった」と言っても叩くんでしょうから。もちろんやるべきことをやっていなかったのであれば批判の対象ですが、「食い物の恨み」になるんですからやることはやったわけです。高知のさらに奥にいるんですから電話やリモートで報告を受けて指示を出せばあとは積極的にやることはないんですから、「うな丼」を食べる時間くらいはあるでしょう。首相も「それが何か?」と厳しく突き放せばいいんですよ、こんな非常識の域の批判には。そして尻馬に乗って騒げば騒ぐだけ「私バカよね」と言っているに等しいですからね、気を付けましょう。

まあこんな浅ましい揚げ足取りにもならない言いがかりをつけているのが日常茶飯事というのも、立民が支持されない理由です。党派よりも属人的な支持になりやすい地方選挙でも苦戦しているのですから、やはり積極的忌避が働いているんでしょうね。自分たちの総括も未だに出来ないで揚げ足取りだけという無能な政党という認識が最早コンセンサスになりつつありますから。



東紀州の厳しい途

2023-04-26 21:13:49 | 交通
コメントで頂きましたが本文で返信しましょう。

南紀特急バスは熊野市から松阪まで乗ってます。停留所に「Express」の表示を出してましたね。今でも三交海山など高速バスが停まる停留所には残っていますが。もう20年以上前になりますが、大和上市から杉の湯乗り換えで熊野市へ出て、そこからの帰路でした。昔ながらの急行バスという雰囲気を残していましたが、観光タイプの車両だったので高速バスの一般道区間という感じでもありました。


(Expressの停留所)


(往時の南紀特急バス)

奈良交通の南紀縦断ルートも十津川ルートとは別にR169経由も機能していた時代でしたね。R169も未改良区間が多かったです。杉の湯分断で不便だと感じていましたが、その後はそれどころじゃなく池原で分断されたうえに河合~池原間で泊まらないと縦断できなくなりました。一方クルマで通る機会が多かったですが、2000年代に入りまさかの北行きのみ縦断可能ダイヤ復活で乗車した時の記録は今はなき拙サイトの旅行記に掲載しました。


(新宮にて池原行き)


(入之波温泉)

この時は紀伊田辺に泊まり、龍神バスで湯の峰、熊野交通で新宮に出て、奈良交通で池原乗り継ぎで大迫ダム、ここから入之波温泉まで出て杉の湯乗り継ぎで八木駅までという濃ゆい行程でした。


(龍神バス)


(熊野交通)

なお当時は午前中に南下する池原行きに乗ると、上北山村河合でコミバスに乗って木和田から徒歩で数キロ往復すればガイドブックに「公共交通の利用は不適」と書かれた小処温泉まで行けるはずでしたが結局試しませんでした。(木和田から戻って河合で池原からの北行き杉の湯行きに乗れる) クルマで小処温泉には何度か行ってますが、湯上りにビールを飲んで、すわ飲酒運転では、と驚かそうかと(爆) ちなみに2000年代での縦断では池原で時間があったので温泉施設まで行き、湯上りの生ビールを楽しみました。


(木和田バス停)

今は池原に泊まらないと抜けられなくなりました。あるいは土休日に延々と池原往復です。

松阪熊野線は一般路線バスにしても誰得状態ですから先は長くないでしょうね。高速バスの区間利用を解禁するだけで十分対応出来そうですが、三重県内利用に対応してないんですよね。勢和多気ICそばのVISONへ立ち寄り、そこが小ぶりなバスターミナルになっているのですから、松阪-VISONのバスとの乗り継ぎを謳ったほうが良いでしょう。それでも荷物が置けないノンステは厳しいですが。

その意味では東紀州は関西からの利用が決定的に不便です。バスが全然関西を向いていないので、鉄道で行くしかないのです。新宮経由は紀伊半島を2/3以上回る格好なので非現実的であり松阪まで近鉄、そこから紀勢線ですが延々と普通列車で行くのが最速という時間帯も目立ちます。近鉄ではなくJRオンリーでも亀山、柘植、草津乗り換え新快速だと意外と速く、青春18で「この時間で帰れるんだ」と思いました。とはいえ特に東紀州の尾鷲、熊野(木本)へのアクセスの悪さというかひどさは何とかならないんですかね。三重県南部で昔から市制を敷いている街ですから、移動需要はあるでしょうに。


(矢ノ川トンネル)


(奥瀞道路)

なおこのエリア、道路交通、鉄道とも整備が非常に遅れていたわけで、紀勢線は実に1959年に三木里-新鹿の開通で全通というくらいの遅さ。R42も矢ノ川峠が隘路で昭和初期はロープウェーで輸送してたという逸話も。国道が改修されたのは1968年で、バイパスや高速での改修でない現道そのものの改修としてはかなり遅く、R13の栗子峠区間と同世代です。逆に紀勢道とそれに並行する一般国道扱いの尾鷲熊野道路が整備されるまでは、鉄道も道路も1960年代の交通インフラだったわけで、空港は遠くと大変です。関係する道路も、R169のR168に抜ける瀞八丁の通行不能区間が解消し、R311の沿岸沿いの通行不能区間が解消したのは実に2000年前後と、他地域の整備状況と比べると20~30年は遅れている感じです。



アジアの空港アクセス比較と言いながら

2023-04-26 21:13:01 | 交通
アジアの空港鉄道についての経済誌の記事がネットに出てましたが、まあ「首都、主要都市」とエクスキューズを付けて8都市では、としていますが、要は俯瞰と言いながら全然見えてないわけです。二番手都市まで入れれば我が国は関空、伊丹、神戸とも軌道系アクセスがありますし、韓国釜山も釜山金海軽電鉄があります。中国上海は浦東に磁浮(リニア)と地下鉄が、虹橋は地下鉄と高速鉄道が乗り入れていますけどね。少なくとも「主要都市」といって上海をガン無視というのはあり得ない話です。


(金海軽電鉄)


(中心街へは沙上で地下鉄乗り換え)

またジャカルタスカルノハッタのレイルリンクを「大幅に改善」と持ち上げていますが、実際には中途半端な存在で苦戦という現実は無視ですね。都心部はメトロ開業でネットワーク性が出てきましたが、やはり高いのと乗車券の購入は券売機でのクレカ決済のみという融通の無さが不評です。なによりもターミナルからターミナル間シャトル(新交通)でレイルリンクの駅に出ないといけないわけで、タクシーやリムジンサービスの方が楽です。アジア最悪レベルの渋滞はありますが、全行程で見たらそこまでの時間差は付かないのです。




(ジャカルタ・スカルノハッタ空港内連絡鉄道)

それと市内でのCATサービスにこだわっていますが、ロスバゲのリスクはどう考えるんでしょう。航空会社(アライアンス)での一貫輸送でもなくなるというのに、空港会社(公社)が扱うわけで、そこから航空各社に捌くんでしょ。スーツケースを開錠される可能性があるのがCATと空港の2ヶ所だと思うと盗難リスクもありさらに怖いですが。それと「9.11」以降セキュリティ面での制約が厳しく、CATを取りやめるケースも増えてますけどね。

専用列車でがっぽり、というスタイルは地元側の航空利用客に不評ですからね。ジャカルタもロングシートに改造して半額にしたLCC的列車を導入しましたし、バンコクスワンナプームのARLもエクスプレスは高額で、だったら目的地まで直行できるリムジンやタクシーに乗るという中途半端な存在でしたから。


(エアポートレイルリンク)


(車内はロング)


(Expressもロング化されている)


(Expressが追い抜いていた名残のホアマーク駅)

成田でNEXしかない、というようなものです。そうそう、バンコクのサブ空港であるドンムアンも国鉄レッドラインの駅(専用通路はあるがかなり歩く)と在来線の新駅があり、クルンテープアピワット(バンスー)から地下鉄乗り換えで都心方面とか、アユタヤ、チェンマイ、コラートといった方面への北本線、東北本線の長距離列車への乗り換えが出来ますが、知らないんですね。(ドンムアンでの航空と長距離列車の乗り継ぎは旧駅時代からそれなりに使われてました)


(レッドライン ドンムアン駅)


(連絡通路の案内)


(連絡通路とコンコースの間)


(旧ドンムアン駅)

その意味では上海がさすがに号令一下で進められる中国らしいと言えばそれまでですがベストなんですよね。
距離がある浦東は地下鉄とリニアがあり、都心部に近い虹橋には地下鉄に加え高速鉄道の駅を併設して全国への高速鉄道網と接続。浦東と虹橋は地下鉄2号線で直結で、2号線は都心主要部を縦貫と。まあ数年前までは2号線は途中の広蘭路で双方向折り返し(乗り換え)という初見殺しのトラップがあり、今来た道を戻ってしまう旅行者が後を絶ちませんでしたが、今は直通します。リニアも浦東地区の龍陽路止まりと中途半端で、都心部へは結局2号線乗り換えというオチがありますし。


(浦東でのリニア)


(リニアから見た地下鉄)


(広蘭路で乗り換えの案内。3つ西はリニア乗り換えの龍陽路)


(相互の乗り換え客が入り乱れていた広蘭路)

なお日本の空港も軌道系アクセスは意外と整備されてますからね。成田・羽田に関空・伊丹・神戸はどこも軌道系がありますし、新千歳、仙台、中部、福岡、宮崎、那覇とあります。あと米子も案外使えますからね。航空便に合わせたリムジンに振られたときは力になります。
軌道系がない空港も当然リムジンバスの整備があり、荷物対応など軌道系が弱い面をカバーしているので、これで十分という面もあります。



正統を貶めて皇位簒奪を仕上げる気か

2023-04-26 21:10:03 | 歴史
英国の新国王戴冠式への参列を巡り、秋篠宮disが止まりません。女性誌と出版社系週刊誌のいつもの秋篠宮dis雑誌が手を変え品を変えdisっているのですが、最近は露骨なdisは「馬の骨」王朝実現という自分たちの裏メニューに悪影響を及ぼすと悟ったのか、一見disを批判するような仕立てにするといった悪質な誤魔化しも始まっているようです。ただ編集部やライターに濃淡があるようで、出版社系週刊誌が露骨な秋篠宮批判記事を掲載しているわけで、およそ臣下の分を弁えない尊大な批判は、「馬の骨」の唯一の妨げを除こうとする焦りでしょう。

まずお笑いなのが「格下」批判で、そもそも英国王の戴冠式に元首というか君主を派遣するというプロトコルではなく、新国王が「異例」にしようとしているだけです。先代の戴冠式を踏襲することの何が悪いのか。いや、先々代もそうでしたよ。先代のエリザベス2世の戴冠式は今の上皇陛下、その前のジョージ6世の戴冠式は秩父宮殿下です。こうして過去の戴冠式を踏襲(参照)できるだけの歴史があるという証拠であり、そうでないというのであれば「異式」であり決まったルールは無いという結論になります。ですから結局皇統ではなく「天皇家」経由で「馬の骨」への皇位簒奪を目論む流れの一環ですよ。もし同じ「名代」名目でも敬宮殿下なら、「陛下は出席しないのが慣例」「見事な振舞い」「次の天皇はやはり」というダブスタ賞賛が相次いでいるでしょうし。

そしてこの手の連中が少なからず重なる「日本スゴイ」の自慰集団は皇室に関しても「世界で唯一のエンペラー」「席次は王の上」と誇りに思うだけでなく自分まで偉いんだと勘違いしそうな勢いですが、ここでダブスタなんですよ。エンペラーは格上、というのであれば余計に「国王」の戴冠式に陛下が参列する理由がなくなるのですが。「格下」の「国王」でしょ。「大英帝国」と呼ばれていた時代もありましたが、連合王国国王とインド皇帝、というのが往年の君主の称号であり、インドの独立で皇帝の地位は無くなってます。外交上の称号は「連合王国」ですよね。

出版社系週刊誌はdis批判に見えて秋篠宮殿下が「参列にふさわしくない」という報道に不満を抱いていると勝手忖度の記事を垂れ流していますが、はっきり言いましょうか、皇位簒奪、皇統の危機を感じているんでしょう。小泉政権による皇位簒奪計画をすんでのところで止めたのは秋篠宮家が悠仁親王殿下を儲けられて男系男子の継承者を確立したからです。あの時点で妃殿下は佳子内親王殿下から12年開いているうえに40歳という高齢出産に臨まれたわけですが、皇位継承、皇統の維持に対する「覚悟」の表れだったわけです。そういう想いが強くあるであろう宮家においては、足下の状況が自身や宮家へのdisといった単純な話ではないことくらい当然わかっているでしょう。女性天皇、女系天皇という単純な話でもなく、皇統をイレギュラーに変更したうえで固定しようとしているのですから。

そして宮内庁の皇嗣担当が隠蔽体質で黒幕は秋篠宮とまで明言する不敬極まる記事まで出版社系週刊誌は掲載していますが、情報を出せば出したで箸の上げ下ろしまでケチをつけるわけです。エチオピア革命の最末期のように直接的に貶めて皇位を簒奪する段階に来てしまっているのです。当然それが分かっているから秋篠宮家は抵抗しているのです。そして日頃は日本の歴史だなんだと言ってる国士様系のメディアはこの簒奪にだんまりですからね。右が愛国、左が売国というレッテル貼りは実は間違いで、右の売国もあるということです。日本の歴史を尊重し、守るのであれば、皇位簒奪などいの一番に排除しないといけません。何度も言いますが、持続的な皇位継承と上辺を取り繕って女系相続に道を開こうとしていますが、もし万が一にもそれがあるのであれば男系継承が不可能になった時です。しかし足元の女系推進派はそうではないですからね。男系の皇位継承権者、すなわち将来の天皇は悠仁親王殿下が既にいらっしゃるわけで、女系だなんだという議論は悠仁親王殿下の次の話です。そこで後順位の内親王殿下を第一位にする、という廃太子を目論む勢力になんの大儀があるのか。

男系の傍系相続ではなく女系の直系相続という事例はもちろん過去にないのですが、逆パターンに近いケースとして傍系相続を交互に行う両統迭立だった鎌倉時代後期、結局両統迭立といいながら直系に譲位し、傍系側が抗議して次代に戻るというケースがありました。結局「我が子可愛さ」でルールを枉げるのはいつの時代も一緒ですし、さらに古代では「壬申の乱」がありますからね。天智天皇は弟(諸説あり)である天武天皇への継承を前提にしていたであろう状況から、実子の弘文天皇への継承を進めたため、天智天皇の崩御後に大乱になったわけです。そう、時の天皇であっても「目が眩む」のです。

ただこの時は建前上はどちらも皇統に属する者同士でしたからね。(天武天皇については諸説あり)
青年将校に近しいとされていた秩父宮を憂慮した昭和天皇が側近に壬申の乱を研究させたとか、皇弟の存在は歴史的に見てもひと悶着招くものですが、それでも皇位簒奪、王朝交代を前提にはしていませんから。
そして二・二六に近いとも思われる懸念としては、当時の青年将校は明らかに昭和天皇を排して(廃して)秩父宮を擁立しようとしていたわけで、「馬の骨」王朝樹立に向かってなりふり構わないこうしたメディアを擁する勢力は、正統である先順位の継承権者を除くことを真顔で考えているかもしれないのです。それすら強く疑われるような段階です。

ちなみに過去の皇位継承にはその正統性に疑義があるケースも確かにありました。しかしそうしたケースでは後年その系統が「絶えて」いるわけで、「正統」を守る何か見えない手が働いているようです。
上記の通り天武天皇は「諸説あり」の状況でしたが、その子孫は孝謙(称徳)天皇の代で途絶えましたからね。当時女帝は未婚を強制させられていましたが、天武系の子孫はいたにもかかわらず、傍系というか壬申の乱で「奪った」天智系に戻っています。またその出自に些かの疑義がある後小松天皇も次の称光天皇で途絶え、後小松天皇のご落胤説が強い「一休さん」がまだ30代なので還俗させて即位もあり得たのにそれはせず、後小松天皇の3代前に枝分かれした伏見宮家から後花園天皇が立ってその系列で続いています。(この次に大きく系統が移動したのが光格天皇)
偶然ではあろうが、でも何か見えない意思を感じます。

我々は天壌無窮の神勅に基づく皇位を仰ぐだけであり、「馬の骨」を仰ぐ謂れはありません。帝国憲法を含めても150年もないような短い期間のルールで、「天皇でござい」と馬の骨が名乗り、そして我々国民が仰がないといけないのか。「イワシの頭も信心から」とは言いますが、イワシの頭は馬の骨同様信じてもイワシの頭であり馬の骨です。それこそ憲法14条を前提にすれば、イワシの頭や馬の骨を信じる人がいても、それを仰いではいけないのですから。
そう、まさに「信心」で仰ぐのであればそれは確かに信仰の自由ですが、「天皇」はイワシの頭や馬の骨では務まりません。