Straphangers’ Room2022

旧Straphangers' Eyeや習志野原の掲示板の管理人の書きなぐりです

民営化詐欺に遭った如き値上げ

2013-11-30 00:53:00 | 交通
予算措置が切れる2014年度以降の高速道路割引の見直し案が出ましたが、この時期にここまで、と言う内容です。
確かに景気対策で濫発、濫造した制度が大半であり、いつかは見直すべき性格のものです。しかし時期が悪いと言うか、どうせ予算措置ということから財務省のいつもの「国破れて帳簿あり」の影が見え隠れしていますが、消費税増税、しかも2段階となるマイナスのアナウンス効果の最中に、高速料金の実質大幅値上げです。

普通車にとってはマイナスイメージが強いことから移動需要の減少、つまり観光産業への支出減少を招くでしょうし、物流関係はただでさえ消費税増税分の転嫁問題があるところに、高速料金まで転嫁できるのか、と言う話になり、労働コストへのしわ寄せが懸念されます。

時期の問題もさることながら、今回の見直し案で最大の問題は、高速道路民営化時の「公約」が反故になると言うことです。
あの時、推進委の委員長は「高速料金は安くなります」と見得を切り、民営化後の景気対策も含む割引制度の拡充をドヤ顔で自賛していましたよね。

5000万円の問題でそれどころじゃ無いかもしれませんが、見直し案がそのまま実行されたら、高々数年の割引で、あとは値上げと国民をペテンにかけた戦犯として、厳しく指弾されるべき話です。

そう、ハイカと回数券を廃止して、最大2年で権利が消えるマイレージになった時点で実質値上げなのに、首都高と阪高は距離制導入で料金区界跨ぎ以外の多くのケースで値上げとなり、首都高は元々、阪高もその時点でマイレージから離脱と、どこが値下げ?と言う状況です。
さらに今回、マイレージの割引率を半減近くにするわけです。50000円ハイカが出るまでの30000円ハイカ(32500円分)のレベルにまで後退します。

道路財源を一般財源化してネコババしたうえに、料金そのものも値上げです。利用者から見たら、馬鹿にするのも程があるとしか言いようが無い事態です。
租税公課や将来の配当金など外部流出が発生する民間企業にすることは、本来料金が下がる方向に働くことはありえないのですが、下がる、下げると言い切ってここまできているのです。

それが10年も経たないで反故とは話になりません。
しかも値上げになることを少しでも恥じているのならまだしも、高速道路会社の発表を見ると、4月に消えるはずの割引と比べたら見直しでお安くなっています、というミスリードの表を大々的に掲げているのですから話になりません。
あの表で比較するのなら、左端の現行の料金であり、それでいくら上がるのかを掲示しないのでは、まさに不当表示であり、「民営化してしまえばこっちのもの」というような姿勢が透けて見えます。



お金に色は無いのだから

2013-11-30 00:51:00 | 時事
都知事の「借入金」を巡る問題ですが、食材偽装と一緒で、理由にならない理由でドツボにはまるパターンに陥っています。
「個人的な借入金」であり「政治資金」ではない。子供の言い訳じゃあるまいし、しかも自分で「選挙でいくらかかるか分からないから不安で」とゲロってるじゃないですか。俗に言うように「お金に色は無い」わけで、政治資金で生活資金が枯渇するのを防ぐため、と言っているのですから、単なる名目の話であり、実質は政治資金に他なりません。

そもそも無利子無担保ある時払い、と言う条件がお笑いです。
よくある話を例にしますと、子供が親から住宅購入資金の融通を受けた時、きちんと借入金として利息や返済条件を記した書面を取り交わさないと、「贈与」として税務署が課税(延滞or重加算付)しに来る、と住宅購入時の「虎の巻」的な書物に書いてありますが、今回の都知事の「借入金」は、まさに「贈与」、つまり、「献金」です。

無利子ということは利子相当額、無担保と言うことは都知事の収支に見合う与信に対する保証料相当額が、それぞれ免除されている、つまり、相当額が「贈与」されているのです。冗談抜きで税務署がやってくる話です。

正直に「報告漏れでした」と謝罪してそれに基づく処分を受けていればここまで話も大きくならなかったでしょうに、見苦しい言い訳を重ねたことで、悪質な「隠蔽」があったと誰もが信じるに足る状況です。




国民は「当然」と考えている

2013-11-30 00:50:00 | 時事
特定秘密保護法案の「強行採決」をメディアが批判していますが、野党側の意見も踏まえた修正案が出た段階で、残る野党との話し合いがまとまらない以上、これ以上の引き伸ばしは「少数派」である一部野党の利益になるわけで、それこそ民主主義に反する事態なんですが、それこそ「55年体制」の頃からメディアは当時の社会党の「反対」を正義として同じことを叫んでいたわけで、進歩が無い話です。

さて、朝日を筆頭にメディアの反対の声はもはや錯乱気味といえます。よほど脛に傷持つのか、メディアの「特権」が制約されるのが嫌なのか。国民世論や国会は、包括的な秘密保護の法整備の必要性については一致しているというのに、必要でない、と叫んでいるのがメディアや一部野党です。特に朝日の錯乱ぶりは目を覆うほどで、連日一面に反対派の声を掲載していますが、玉石混交というよりも、文字通りのお里が知れる、というレベルであり、先日などは昔あった「噂の真相」の編集長まで担ぎ出すあたり、「だから法整備が必要」と逆に読者を離反させる格好です。

記事で元編集長が得意気に書いていましたが、スキャンダルで政治家の足を止めるようなやり口が正当な「報道」なのか。嫌がることをして萎縮させるやり口はヤクザやゴロツキそのものであり、まさに明治時代の蔑称である「羽織ゴロ」の名がふさわしいです。
そのレベルの「反対」を担ぎ出す段階で、反対の質がどの程度かがよく分かると言うものです。

さて、こうしたメディアで最近言われるのが「なぜ国民が醒めているのか」という批判です。国民がメディアに騙されていない、という健全な状況を示している至極当然の事態を理解できずに、あたかも愚民扱いするが如くのメディアの思い上がりです。
そもそも「報道の自由」と称してやりたい放題のメディアには分からないでしょうが、一般の国民レベルでは、この手の秘密保護というのは「一般常識」なのです。

分かりやすい例えを言えば、いわゆる「インサイダー情報」の取扱いがあるわけで、正当な段取りを踏まずに公表してはいけない情報を流出させたらどうなるか。メディアが挙げる事例では「勤め先の秘密情報を聞かれて答えたら逮捕された」というのが「あな恐ろしや」と大騒ぎしていますが、例えば公表前に決算情報を聞かれて話す馬鹿はいないわけです。迂闊に話して摘発されたら「恐ろしや」ではなく「当たり前だ」の世界です。

もう一つ、反対のための「為にする」手法だとは思いますが(素でやっていたとしたら大馬鹿です)、よく見かける「われわれが現役の時はそんなことは無かった、現行法で大丈夫だったから法案は必要ない」という「元ナントカ●長」のコメントも一見もっともらしく見えますが、これも今現在のビジネスシーンを知っている人間から見たら噴飯ものです。

法案がなぜここまで急いで整備されているのか。国家が秘密を隠したいから、という「ぐんくつ」系の妄想のような話ではありません。
同盟国との情報交換、交流において、我が国の法体制に問題がある。だから交流が出来ない、という重大な国益の毀損があるからです。
リスクに対して、それに対処する体制が整備されているか。いわゆるSOX法もそうですが、2000年代以降、体制の整備が不十分ということが許されなくなっている、という時代の変化があるわけで、メディアに引っ張りだこの「昔の顔」の方々はそうした変化をご存じないか、意図的に無視しているわけです。そしてメディアは知っていないといけないこうした変化を無視して、「為にする」報道をしているわけです。

一般企業においても、自社と同等の秘密保護体制が無い企業に企業秘密の開示などしないのがスタンダードです。契約で縛っても、体制が無いのですから流出リスクが残りますし、契約違反だ、と訴訟して賠償されても失ったものは元に戻りませんから。

国民が醒めているのは当然でしょう。2000年代以降、民間では急速に整備が進む秘密保護体制が、国レベルでは著しく立ち遅れている。自分が属する集団と比較することで、直感的、体感的に理解できるから、メディアや反対派の大騒ぎが虚ろに響くのです。
いや、当然の話を何でここまで大騒ぎして潰そうとしているのか、という不信感を逆に増幅させているといえるのかもしれませんし、さらに言えば、当たり前の話に反対するのは、何かやましい意図があるのでは、という疑念も感じていることでしょう。

そう、「法体制の整備は急務である」という大前提に立ち、そのうえで内容について議論するのであれば、まだここまで意識の乖離は無かったでしょうが、現実はその大前提を批判、否定しているから話にならないのです。


ジャーナル2013年12月号

2013-11-24 18:34:00 | 書評
またまた月遅れになってしまった12月号の書評です。既に発売中の1月号が今をときめく?JR北海道特集ということですが、「ななつ星」との南北抱き合わせとはいえ、新年号に時事ネタ?をぶつけるのは異例で、1995年のデザイン特集が異色と言えば異色ですが、1980年の航空機特集以来の異色な新年号です。

それはさておき12月号ですが、特集は「山手線をめぐる」、と山手線と山手貨物線、東京総合車両センター(旧山手電車区、大井工場)のある意味ピンャCントな特集です。
それだけに内容は濃く、さらに最近重視している技術系の話題が多い事もあり、近年でも有数の読みごたえのある号と言えます。


(1999年の大井工場公開にて)

内容にいちいち言及していると紙幅が尽きるので省きますが、東京車両総合センターの記事で「意味深」だったのが、旧大井工場部分のところに記載されていた新保全体系の話。法定検査が、一定の要件のもとで事業者の自主点検に委ねられるという「規制緩和」ですが、鉄道業界のみならず、製造業の現場でもこの類の変化はゼロ年代に進行しています。

逆に言えば、事業者の自主点検体制がキモであり、そこに誤謬があれば「規制緩和」はおじゃんになります。そう言う意味でJR北海道の体制への評価が気になるわけで、制度の変更が結果的に「悪用」というか、看過してしまう原因になったと言えます。

車体と台車の関係、クーラー交換の手順もそうですが、規格化された車両であるが故に共通化が可能になり、それは当然予備品の削減につながるわけで、趣味的には面白みのない部分が経営的には重要ということです。ただしそこに趣味的興味の排除が必然とはならないことには注意すべきですが。

読ませたのは地形との関係。アップダウンとカーブを解明、というタイトルは内容からすると片面的で、地形から見た山手線の興味、とでもしたほうがしっくりくる内容です。断面図の掲載がないと話にならないので掲載は助かりますが、見やすさと言う意味では微妙ですが、山手貨物線は色を変えて山手線の図表に同居させた方がよかったのでは。

地形と言う意味では微妙ですが、出だしの東京駅付近の趣にとぼしい、というのも、外堀と絡めれば新橋手前までの話題になるわけで、外堀のすぐ内側(江戸城用地)を使って北上した区間だとか、水際への敷設とか、話題はないとは思えません。

あとは目黒村のところで、赤羽直結の意図で目黒村の中心を外したという少し後に鉄道忌避伝説に言及していますが、同じ話題が分散掲載というのはどうでしょう。ちなみに目黒川の谷筋が狭く深い、ということと、目黒村が江戸期から発展していたことを踏まえれば、明治期に市街地化されていた中心部に立ち寄る余裕がなかった、ということかもしれませんね。

特集以外では、1月号に特集されている「ななつ星」のプレ特集。車内の様子の写真ですが、ちょっと和風にこだわり過ぎているのが気になりますね。かつての展望車で「桃山式」が案外不評だった故事もありますし。


(「桃山式」の車内。鉄道博物館にて)

あと、肥薩線が深夜走行とか、大村線経由で夜行運転とありますが、看板商品対応だからとはいえ、こういう時だと地上側体制をこの1本のために整備する、というのもどうなんでしょうね。「公共交通」としての対応と言う意味では、事業者側の都合で利用できない時間帯がある事の重要な要素が、「商売」「お遊び」のためならクリアできるというわけですから。

失われた鉄路の記憶は駿遠線。日本有数の「大軽便」だった同線ですが、それがゆえに1号で取り上げるのは中身が薄くなってしまったきらいが。1969年の東海道私鉄乗り継ぎの記事(リバイバル別冊に掲載)に、全線廃止直前の同線(新藤枝¢蛻苣・ヤが軽便であとは代替バス)への乗車記録が出ています。
地図が小さいのと、廃止年代の記載が欲しかったです。

地方鉄道関係ではドイツの連邦政府による財政支援の記事。厳格な基準に基づき、しかし機動的、包括的に支援する欧州の公共交通への支援は我が国においても特にLRT整備を訴える人たちが理想として取り上げていますが、財政にゆとりが無くなってきて曲がり角にあるわけで、周回遅れでイイトコドリをするのではなく、「これまでやって来たが、見直しを迎えている」と言うところまで見据えた議論が必要です。

路線紹介は若桜鉄道と福井鉄道。上下分離で黒字計上、と言う若桜鉄道ですが、公共が負担するようになった年間5千万円規模の負担はどう評価するのか。若桜鉄道単体で評価しても意味がないわけで、公共の予算に潜り込むことでそれまで意識されてきた「負担感」が薄れていないか。


(若桜駅構内。この蒸気機関車が目玉です。2007年12月撮影)

そもそも記事にあるように、鳥取直通のバスがあるわけです。バスが走るR29とは、歩けなくはないが集落は鉄道側が多い、という有利不利はありますが、バスを鉄道側の道路を走らせる事で統合する、という対応はないのか。通学需要への対応が厳しいという現実はありますが、極端な話をすれば、通学対応だけ鉄道にする、と言う手もあるはずです。

福井鉄道はFUKURAMルモナすが、LRV化された路線に共通する着席定員の減少に対し、車両の大型化でそれをカバーしたことは評価できます。福井鉄道の場合、名鉄からの譲受車は座席定員や居住性に問題があるわけで、特に立つに立てない一部低床車のモ800は最低ですが、FUKURAMはかなりしっかりしている印象です。


(併用軌道区間の電停は... 2006年9月撮影)

中長期的に見れば、並行在来線となる北陸線の「存続」を考えると、輸送力と速度で圧涛Iに優位な北陸線の地域輸送への傾注が確実視されるなか、現在地域輸送を賄うことで棲み分けている福井鉄道の立ち位置の問題があります。
趣味的には楽しい併用軌道も、中心街での乗降が極端に多いわけでもなく、低床車の導入などハンデキャップに働いているわけです。

そうした論点を踏まえた議論が必要です。
ちなみに記事は車両が中心ですが、併用軌道区間の貧層と言うよりも危険なホームの現状や、会社が力を入れるベル前の様子など、グラビア仕立てにするのならそこらへんの写真が欲しかったです。