Straphangers’ Room2022

旧Straphangers' Eyeや習志野原の掲示板の管理人の書きなぐりです

「会話」のリスク

2021-08-15 17:27:00 | 時事
百貨店の特に食品売り場を槍玉にあげた規制要請に対する評判が悪いわけですが、これ、酒類提供に対する規制で、撤回に追い込んだことに味を占めて、規制を撤回に追い込み、自分たちが自由に、という悪しき先例を作ってしまっています。

「第五波」が減少どころか拡大の一途というのは、酒類提供の規制が事実上できなくなったことが大きいはずです。感染との因果関係ガー、と主張していますが、そうした向きが根拠として挙げる感染源調査にしても、実際には経路不明が大半を占めるわけで、その「経路不明」に対して聞き取り調査を行った結果、半分は飲食店絡みだった、という結果が出ています。実際、どこぞのテレビ局じゃないですが、明け方まで泥酔するまで楽しめるカラオケ店があるなど、無法状態で収束などできるわけがありません。

やっぱり現場の情報が入ってきている政府や分科会側の感覚は正しいわけで、その意味でも飲食規制が撤回に追い込まれたことで、政府側は手段を失ったわけです。自己正当化に余念がなく、飲食、特に飲酒がしたいという己の欲求最優先の勢力の「クレーム」に屈したことで取り返しのつかないことをしてしまいました。そして飲食関係の族議員もその動きに加担したわけです。

今回の百貨店に対する規制強化も、前回で味を占めた向きがあれこれ批判しているわけですが、既にクラスタが燃え盛っている各店を見れば一目瞭然でしょう。バックヤードや共有スペースでの感染であれば、人数比例にはなるものの、等しく各階層で発生しているはずが、食料品売り場など特定に売り場に集中しているのはそこが原因ということになります。

ちなみにこのケース、原因はおそらく「対面販売」でしょう。
スーパー方式も導入されていますが、基本的には売り子が売り声をかける、客も確認して注文する、というか会話のやり取りが発生するのがデパ地下です。どうもまだ試食などが継続している店舗もあるようですし、そこでの「会話」が感染源になっていると見ます。そんなことで感染するのか、と思うでしょうが、もっとあからさまな感染源となる行動があればこんなもんで収まらなかったはずで、その程度でもここまでの感染になるわけです。

逆に食品スーパーは基本的に客が品物を持って会計する、という形態であり、似て異なる部分が大きいですが、モールのフードコートがどうも感染源という追跡調査もあるわけで、デパ地下、食品スーパー、モールにかかわらず、来客に一定数の感染者がいるというのは間違いないでしょう。
そしてまさかの事態ですが、自宅療養を筆頭に、濃厚接触者として自宅待機している人でも食品がなければ特に一人暮らしや一家全滅状態だと飢え死にするので、実際には感染者やその疑いが強い人が買い物に出ている可能性が強く疑われるわけで、あらゆる施策が裏目というか、悪化する方向に働いています。

なお、日本の比ではない規制を敷いているはずのタイの感染状況は、人口比で調整すると日本の倍、というレベルになっていますが、これもある行動が感染源と疑われます。
既に食品スーパー、コンビニ以外の小売は規制されているのですが、昨年の「第一波」の時と違うのが、「市場」「露店」が野放しになっていることが挙げられます。これらの店舗への規制がないのは、補償がない状態での規制は貯えの無いこうしたスモールビジネスを壊滅させることへの配慮でしょうが、日夜対面販売で客と売り子が会話している状況は、感染リスクという意味では極めて憂慮すべき状況です。

テイクアウトのみとはいえ、食品スーパーのように陳列してある商品を手にするのではなく、売り子に注文し、代金はいくらという会話もするわけで、それがごった返す市場のそこかしこで繰り広げられています。
その意味ではモールなどの飲食店や飲食物販売につき、当初は閉鎖命令を出し、後にデリバリー業者経由、電話注文のみ解禁して、一般のウォークインでの注文が出来ないと不評を買った件も、会話の介在を感染源と考えれば理に適った規制です。

食品スーパーもチェーン店によっては、店内の惣菜デリや鮮魚、精肉の店頭販売、野菜果物の量り売りを中止して、バックヤードでパックされたものしか売らないケースも増えていますが、これも「会話」に注目した対策に見えます。その意味では市民にとっては無くてはならない存在ですが、注文という「会話」抜きに成立しない市場と露店をどうにかしないとタイの収束は極めて困難でしょう。ワクチン接種の進捗が遅々としているだけに。

それにしてもCovid19の問題というか対応はかなり絞られてきていますね。
飲食は複数人での「会話」が致命的であり、今回小売での対面販売という「会話」が発生しやすい環境でのクラスタ発生と、「会話」に的を絞ることでかなり実効性のある対応が可能でしょう。
飲食や買い物のリスクを主張すると、すぐに満員電車ガー、と論点をすり替える人が出てきますが、これも電車内で、特に通勤電車で会話をしている人は少ない、というかほとんどいない、ということで説明がつくわけです。ちなみにこの手の主張は、リモートという名の「自宅待機」で楽が出来るという勘違いに過ぎず、リモートで成果を示すことが出来ずに淘汰されるという将来が見えない残念な人ですから。





日頃の威勢が有事にはがれる化けの皮

2021-08-15 17:25:00 | 時事

五輪終幕絡みの3連休明けから連日前日比115%以上の増加となり、金曜日には過去最多、前週比127%という状況です。事ここに至って「制御不能」という言葉も出た感染拡大ですが、一つ覚えのように同じ対応を訴える政府や自治体に対し、首相のこれまでの発言によるパロディがいわゆる大喜利状態になっています。この行動はするな、という行為に対し、五輪に対する積極姿勢の主張で語ると妙にツボにはまるわけで、ある意味五輪を肯定して特定の行動はするなというのが説得力がないことを示している、というか、ほとんど詭弁で五輪開催を肯定してきたことがありありとしています。

そこには当然有効な対策、これまでの「失敗」を踏まえた対策がないことに対する批判が根底にあるわけですが、同じ対応の繰り返ししかできない政府はもはや「制御不能」ではなく「万策尽きた」格好です。
一方で周囲からは「助け舟」も出ているわけで、「もはや災害」という評価は、言い換えればある程度の強硬策に腹を括るべし、ということでしょう。一国の宰相であれば当然それに踏み切るだけの意思と説明が求められますが、残念ながら今の政権にそれが望めない。最大の不幸が最悪の時に巡ってきています。

奇しくもウィルスやワクチンが出てくる「20世紀少年」というコミックスがありますが、そこに出てくる「神の国」の元首相に似ている作中の首相はあらゆることに先例はとか手続きはとか拘っているシーンが出てくるのですが、いざ実際に「有事」となった際に政治決断ができないという点では作品を笑えません。そういえば大ヒットした「シン・ゴジラ」に至ってはそういう手続きなどの存在をネタにしたわけですが、もともとは「有事」の際でも私有地に陣地が作れない、車両に灯火を点灯しないといけないので隠密行動が出来ないといった批判を保守系勢力、当然当時も今も政権与党の自民党もしていたことが下地にあります。

それは有事法制の推進理由でもあったはずですが。なぜか足元は自民党は及び腰で、Covid19対応も手続きの問題を理由に中途半端なままです。国士様御用達新聞お抱えの評論家も威勢のいい発言をしないわけで、日頃の主張は何だったんでしょうね。