Straphangers’ Room2022

旧Straphangers' Eyeや習志野原の掲示板の管理人の書きなぐりです

拙速が招く更なる悪印象

2020-02-27 23:03:00 | 時事
いきなりの「決定」には驚きました。政府が全国の公立小中高の学校が3月中の休校を要請しました。
直前まで実効性のない対策、やる気のない検査に拘泥していたのがウソのような踏み込んだ決定ですが、一方で感染拡大に対する実効性が高いかといいうと疑問ですし、そもそも春休み期間が絡むわけで、インパクトは確かに大きいですが、実態以上に「おおごとだ」という印象を内外に与える結果になっています。

たまたまタイ国内と話す機会があったので、日本がこんな決定をしたよ、といったら絶句していたわけで、そこまでの事態なの?と風評をまいた格好です。タイ国内では政府の自粛要請を「無視」して北海道旅行に出かけていたタイ人家族が帰国後感染したというニュースがあったばっかりで、やはり日本は、という印象を強めたところにこの対応は「やっぱり」という印象しか与えないわけで、入国者に14日間の自己観察と「社会的責任をもった」行動を要請しているのが、さらに踏み込む可能性も出てきました。

実はタイの場合、政府観光庁が2月24日に発表した文書では、

タイ保健省が出した発表は『タイへの帰国者』に向けたもので、2/24現在、日本人観光客に対して直接観光を制限する指示は出されておりません。
事実関係は下記のとおりであり、またあくまで協力を呼びかけているものです。また、出社や観光を一律に制限するものでもありません。
(中略)
タイ国には日本からの渡航客を隔離拘束する方針はありません。
(後略)

と必死になっていますが、肝心な保健省の公式発表はそこまでのエクスキューズはしていません。
さらに「危険感染症」に指定したことで、旅行禁止などの強制力のある施策が可能になったと報じられており、あくまで要請だから、と楽観視していたのは単に法技術の問題に過ぎなかったとも言えます。

ちょうどタイ関係の仕事づいていた時期だということもあり、タイ国内の情報を見聞きする機会や現地の声を拾う機会に恵まれていますが、日増しに日本人に対する目が厳しくなっていると言っており、洒落になっていないのです。


ところでこの休校要請に対し、千葉市長が「社会が崩壊しかねない」と当惑気味の批判をしていますが、つい前日に地域で拡散したら地域で、最終的には全市で休校する、とSNSで発信していたわけです。
千葉市がやれば崩壊せず、国がやったら崩壊するのか。千葉市内で見れば、どっちも全面的な休校であり、差が出るほうがおかしいですよね。単に政府批判をしたいだけにしか見えません。
SNSでの情報発信がお上手な市長ですが、思わぬところでお里が知れたというか、ボロが出た格好です。



故意の無策が招く最悪の評価

2020-02-26 22:14:00 | 時事
完全に「感染者」を把握する気がない、という対応ですね。
専門家も巻き込んで検査に意味がないキャンペーンも必死です。

確かに「風邪」ですから検査して患者数を把握することに意味がないのは事実ですが、日本に対する規制その他の悪影響をどう払拭するかという観点で見たら、「検査しなければ感染者は増えない」という隠蔽にしか見えませんよね。そうなると誰が日本の言い分を信頼するのか。

軽症者は自宅で、というのも、重症になるまでは医療機関に行くな、というわけですが、それは「手遅れ」と紙一重ですよね。あるいは検査をしてくれないから何日も発熱が続く、という家庭だと、検査して陽性なら濃厚接触者となるべき家族も不明なままほったらかしです。休めば自己都合ですから収入にも影響する。これ、誰がどう見ても棄民政策ですよ。死にかけたらさすがに面唐ヘ見ますけどね、というスタンスです。

日本人が風邪の症状を示していたら、感染者の可能性が払拭できない。これ、とんでもない事態ですよ。
迂闊に咳払いもできない。痰が絡んで「エヘン」とやったら隔離対象、では話になりません。日本では検査を事実上してません、ということは、日本からの渡航禁止が一番有効な施策になるわけです。あるいは日本人だけの入国禁止。最悪ですね。

「正論なのに誰も聞いてくれない」 これまでもいろいろなところで日本や日本人が誤解して不利益を被ってきたシチュエーションですが、今回もまた繰り返すのか。相手がどう見てるか、どう感じるかだけですよ、判断基準は。今のやり方は国内はともかく、海外では全く通用しないのです。
というか、中国が判断基準をころころ変えているのを見て、隠蔽ダー、と騒いでいませんでしたか?中国が基準を下げたら猛批判で、日本はOKですか。




どんどん損なわれる信頼

2020-02-25 23:58:00 | 時事
大丈夫と言っても誰も信じてくれない、という事態なのに、暢気にもほどがありますね。
イスラエルが日本と韓国からの入国禁止を決定したのに続き、タイも日本や韓国、また中国などからの入国者は14日間の自主観察と毎日の検温、そして公共交通の利用自粛や人混みに出ないというような、事実上の「自宅待機」を要請しています。

日本大使館のサイトを見ると、仕事や観光を規制してるわけではない、という解釈が出ていますが、「社会的責任をもって」という条件で行動せよとあるわけで、単なる努力規定と取るべきかでしょうね。それこそ「規制じゃないよね」と入国して出歩いて実は感染者だった、となったら、自宅待機命令でしょう。現地駐在員もそれが一番のリスクと認識していますよ。日本みたいに水道水を飲用に使えない国で自宅軟禁となったら、食料どころか水も入手できないという事態になります。

日本での感染ピークは3月と予想されており、最悪は入国禁止もあり得ます。「菊のご紋章」のパスメ[トは世界最高水準の「木戸御免」だったのが、今や忌避の対象です。
真実ガー、というのではなく、信頼をどう取り戻すかなんですよ。政府による穴だらけの対応がどんどん明るみに出て、経路も追えない感染者が続出する。クルーズ船ガー、と言って他人事のようにしていましたが、世界はクルーズ船と日本国内の事情を最初から分けて考えていますよ。だからこそここにきて規制が強化されてるのです。

邦人に限ってもビジネスマンや観光客の行き来、在留邦人に多大な影響が出ているのですが、それを認識しているのか。その原因が杜撰な日本の対応にあるとしたら、あまりにもやりきれないですね。
ドミニカ移民に対する日本政府の対応を日経は「蒼氓」を引いて国の責任を問うたわけですが、今回の対応は比較にならぬ規模で在留邦人を見捨てる格好になります。
さらには人的流動が機能不全を起こすことで、ビジネスにも影響が出るわけですが、それも認識しているのか。

もちろん日本政府に限らず、日本人そのものの認識も問題なわけで、今朝のフジ系のニュースショーで、離島なら大丈夫だと思って、と八丈島への観光客が激増、という記事がありましたが、自分がリスク因子である、という認識がすっぽりと抜けているわけです。マスクをしないで行動しているし。
ただ、専門家会議もたいがいなわけで、この1~2週が瀬戸際って、そこは「正念場」でしょう。既に瀬戸際に追い込まれているという危機感でしょうが、これでは最早徳俵に足が鰍ゥっている状態だと認めているわけで、事実上の白旗とも言えてしまいますが、今度はそれでいいのか。

韓国はまさかの事態で感染者が激増しましたが、ベースとなる対応がしっかりしているから、おそらく例の宗教団体と院内感染ルートを特定して対応が可能でしょう。管理された中で感染者数が増加する感じです。情報公開もきちんとしているので、「正しく恐れる」ことが可能です。

一方で日本はどうなのか。クルーズ船下船者で4人目の死者が出ましたが、3人目の死者に関して感染しているかどうかは遺族の意思で公開しない、という理由には目を疑いました。
検査体制の不備をはじめ感染者の把握に疑念が出ている中で、感染者かどうかは明かしません、という対応が何を招くか。プライバシーの問題はありますが、死亡者の氏名を公開しているわけでもなく、防疫上必要な情報を伏せるというスタンスがまた日本の立場を悪くしますから。

ついでに言うと、検査実施人数もまた疑念を招くんですよ。厚労省が定義する条件を充足しない限り検査をしないというスタンス。市中での感染が発生している状態で、湖北省がどうのという条件に何の意味があるのか。肺炎の診断で高熱が続いても検査を拒否という子供のケースがメディアで取り上げられていますが、要請が出たら業務に支障が出るからと検査をしなかった厚労省と同じですよ。

ちなみに2月21日正午時点で検査総数はクルーズ船と武漢からのチャーター機を除き693人しかいないわけです。しかも延べ数字です。そこから陽性が79人、うち湖北省滞在歴が12人というのは、いかに現状の検査がザルかとしか言いようがないわけです。2月18日に1日3000人の検査が可能な体制になったと厚労相が言ってましたが、現実の数字を見たら「またまたご冗談を」としか言いようがないわけですが、一方で「医療資源を食い潰すから検査はしなくていい」という主張が多く聞こえてくるわけです。

しかも検査を拒否している。これって生活保護申請時の対応と一緒ですよね。受け付けなければいい。まさに「水際対策」であり、これだけは万全です。検査しなければ患者は増えません。
そう、1000人も検査していません、という国の言い分をだれが信用するのか。無作為のサンプルチェックなら大数の法則が働く可能性もありますが、そうじゃないでしょう。勝手に決め打ちで、しかも発熱などの症状をトリガーにしていない母集団です。「私は大丈夫だ」で信用してもらえるという勘違いはいい加減にしてほしいですね。軽症は風邪と一緒、と主張しても、よしんば日本の主張が正しくても、信じてもらえない限りは無意味だし、「被害」が在留邦人をはじめとする日本人に及ぶんですよ。

変な喩えですが、福島の原発事故後、無意味だとか過剰だとか言われつつも放射線量の「全量検査」をしたことが信頼回復につながりましたよね。それでもまだ風評を垂れ流す人もいますが、もれなく検査してもれなく大丈夫と証明した事実は大きいのです。意味があるとかではなく、信頼の問題です。そこを無視した議論は意味がありません。




休戦はともかく有耶無耶は許されない

2020-02-25 22:54:00 | 時事
未曾有の国難になりつつある新型肺炎の問題ですが、野党による「桜」や「定年延長」の追求に対し、今そんなことをしている場合か、という批判が噴出しています。

確かに優先順位はあるわけですが、しかしそれを理由に有耶無耶にしてはいけないわけで、事態の鎮静化後にきちんと審議する、答弁する、という確約をしての「休戦」であるべきです。
もちろん首相やそのシンパは、事態が鎮静化した時には「そんな古い話を」と言い出すのが見え見えですから、きちんと釘を刺さないといけません。

そもそも「桜」は首相が国会で嘘をついた、「定年延長」はルールに無い行動を政府がとった、ということで、新型肺炎対策と並行して対処すべき話でしょう。「休戦」すべきであるのなら、余計に後日の徹底的な審議が必要です。新型肺炎は事務方の対応ですが、こちらはそうではないですから。

「定年延長」については最早大炎上という感が否めません。一つ言い訳をするとその矛盾が多数噴出するわけで、整合性を取ろうとすると「ルールに無いごり押し」しかないわけです。
しかも事務方のミス、というような毎度の手口も使えないわけですし。

「桜」も全くの闇というか、首相の嘘が露呈した後、なぜかホテル側と党関係者が会談したわけです。
その後はホテル側は沈黙し、急に手書きの「上様領収書」が現れて、首相答弁と一致、とシンパのメディアが書き立てるという分かりやすい構図になっています。

手書きでしかも原本(複写じゃない)ほうを交付したというのがツッコまれていますが、まあ原紙のほうを渡しているケースが他にもあるのでそれはセーフながら、日付が不鮮明とか、そもそも数百名分を総て手書き?とか、会合名が違うとか(「夕食懇親会」名義になってますが、会合名なのか種類名なのか微妙です)、ツッコミどころ満載ですし、そもそもこれが本当ならばとっくの昔に提出していれば痛くもない腹を探られずに済んだはずでしょう。

通常はホテルでの領収書は宴会も含めて打ち出しの紙に「Paid」のスタンプを押しますが、この場合は一括の打ち出しをして、そちらには別途領収書発行とでも書いて二重使用を回避しますが、手間を考えたら小分けの領収書を打ち出すのがベストでしょう。手書きの手間を考えたら。
あるいは打ち出しだと「上様」が出来ないからかもしれませんが、経理や税務の証憑の要を回避するような手法で対応しました、というのはどうなんでしょうね。こんな領収書を出しています、となったら今度はホテル側のコンプラ問題でしょう。

まあ領収書の控えを出してください、というところでしょうね。


証明も弁明も無意味になる状況

2020-02-23 14:20:00 | 時事
よしんば正しいと言い切ることは不可能であっても、ベターな対応をしていることは必須でしょう。

クルーズ船で陰性の証明を取得して下船した乗客が発症したわけですが、これなんかはまさにその典型です。
下船して帰国してもう一度検疫拘留するという他国に対し、我が国はそのまま帰宅させたわけですが、軽症は自宅待機で十分とは言え、公共交通にそのまま乗ったとか、日本人でも首を傾げた対応ですから、外国が見てどう思うか。で、発症したわけですし、日本は感染者を野に放ったと誤解されます。

船室に閉じ込める前に大半が感染した、だから対応は正しかった、と医療関係から議員になった方が必死に拡散していますが、n数が184しかないわけです。630人を超える総数というのに。発症日情報が確認できたという条件付きのサンプルですから、大数の法則でこれだけサンプルを取れば大丈夫、というものでもないわけで、こうした穴だらけのサンプルで強弁すると余計にドツボにはまります。

最悪なのは厚労省職員でクルーズ船対応に従事した人を、陽性が出ると業務に支障を来たすから、と検査しなかったという話。既に職場復帰しておりどうしようもないうえに、所管というか責任官庁が「隠蔽」では洒落にもなっていませんし、検査をはじめとする信頼を失う話です。

一方で感染者の行動も頭を抱えるわけで、千葉県の感染者は発熱してインフルエンザが陰性だからって航空機とバスのツアーに参加。旅先で病院に行くような有様で、帰宅後すぐに陽性判明。東京都の感染者も、発症後に受診して陰性だったので出勤し、そのあと家族でインドネシア旅行と、既に連日大騒ぎになっている2月中旬にこの危機意識はいったい、というありさまには、韓国大邱の宗教団体を笑えません。

おまけに大邱の件では感染者2名が日本から帰国していたという情報がYahooの個人ニュースで垂れ流されている有様で、おそらく日本を規制し、自国の対応は万全と誇っていた韓国にとっては、いきなりの不始末で中国以外では断トツの感染者を出している状況に、この「日本帰り」を主因のように宣伝しかねないわけで、ここで日本が疑念を招く行動を繰り返していたら、各国から日本のせいとか擦り付けられかねません。

だからこそより一層慎重な行動が求められるのです。
「新型肺炎はそう危険ではない」とか、今はそうした「事実」を主張しても無意味なのです。風評が不可避な状況で、いかに被害を軽減するか、収束させるかということが求められているわけです。上記の軽率な行動をした人たちも、「私は大丈夫だから」という思いがあったんでしょうが、政府の陰性証明すら無意味になっている中では、疑われているということを前提に行動するしかありません。