Straphangers’ Room2022

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スルKAN磁気カードの廃止

2016-07-06 23:40:00 | 交通
交通事業者の共通カードの嚆矢であるスルッとKANSAIの磁気カードがついに終焉の時を迎えます。
2017年3月31日をもって発売を終了し、2018年1月31日に通用も停止します。磁気SFカード1枚で電車、バス分け隔てなく乗れるという利便性は、エリアの広さ、参加事業者の多さもあり、群を抜く利便性でしたが、それがゆえにICカード化においては設備投資などの問題から導入事業者が限定され、特にバス事業者が決定的に遅れています。さらにICカード自体がクレカの一種としてャXトペイを導入して独自色を出したものの、クレカであるがゆえの与信の問題があり、カード入手までのハードルが高かったことがICへの移行を妨げていましたが、ICカードの共通化により、Pitapaともともと共通化していたICOCAでなくても利用が可能になり、首都圏など他エリアからの来訪者が地元のICカードを使うことでIC化が進んだというのもなんとも皮肉なものです。

スルKANエリアでのIC化の立ち遅れはひとえにPitapaの「戦略ミス」であり、チャージ式ICカードの導入をせずにャXトペイ一本にこだわったことが総てです。地元事業者もPitapaと並立という建前ですが、近鉄と京阪ではICOCAを発売していますし、それもSuica陣営における東モノやりんかい線のような「独自Suica」ではなく、絵柄からキャラクターまでJRWに丸投げ状態での導入という状態です。
そして2017年春には京都市交、神戸市交、山陽電車、神戸電鉄、大モノ、神戸新交通、北神急行がICOCAを導入しますから、ICカードの規格争いは勝負あったの状態です。

もちろんャXトペイが全くダメというわけではなく、大市交の「マイスタイル」は定期と回数券のイイトコどりというャXトペイならではの商品であり、非常に魅力的です。同じャXトペイであるETCの各種割引とも共通するところがあるわけで、クレカひも付きのオートチャージ、という中途半端な商品ではなく、チャージタイプとャXトペイタイプの「二刀流」で最初から来ていれば、あるいはイニシアチブを取れていたかもしれません。

あとは導入コストの問題もあり全国化やICカード導入そのものが決定的に遅れているバスの利便性が大きく下がることでしょうか。大どころでは神戸市バスが共通化に対応していませんし、ICのみで参入した神姫バスも共通化はしていません。この両社局はICOCAを導入しても共通化してません。

さて、磁気カードの終焉と聞いて誰もが心配するのが各種企画券ですが、関西エリア外で通年発売する2day、3dayがこの9月30日限りで発売終了という情報もあり、エリア内で季節発売の3dayがどうなるのか、予断を許さないともいえますが、一方でエリア外通年発売分は2day、3dayとも2日、3日連続使用なので使い勝手が微妙であり(連続2日間で3800円、3日間で5000円以上乗るかといわれると微妙)、2012年度から2dayが連続使用に改悪された段階で手を出しづらい商品になっています。

そのほか今年の大河ドラマの舞台ということもあり、九度山や高野山、大阪城周辺をターゲットにした企画券が発売されるなど、磁気カード式のフリーきっぷが各社から多種類多数発行されていますが、これらはどうなるのか。磁気SFカードを廃止したJRの場合、フリーきっぷはもともと磁気カード化していなかったこともあり紙式のままで、周辺各社を巻き込んだ「おでかけ1day」シリーズだと、紙式の本券を各社の指定窓口に提示して磁気カードの交付を受けるというスタイルですが、これも今後はどうなるのか。

京都方面のように割引客で輸送力逼迫になるくらいなら、要員確保の問題もあり需要を調整してしまえ、という感じで企画券を一気に整理してしまうのかもしれません。しかし一方で山陽電車や神戸電鉄のように日常利用の範疇で企画商品による利用促進を図っている会社の場合、少なくとも商品自体の廃止は出来ませんし、逆に紙式への変更による一時コストや、変化を嫌うことでの客離れが懸念されます。

そうなると一定数の磁気カードが残るので、改札機をこれ以上「IC専用」とも出来ないでしょうから、コストダウン効果も得にくいですし、意図するところと効果がマッチしない気がします。