ジェット燃料を石油依存から離脱するためには、「バイオジェット燃料」を研究開発して、現在のジェット燃料と同程度の価格にまで引き下げる必要がある。
ジェット燃料の成分は、ほとんど灯油と同じで「ケロシン」であるが、灯油よりも精製度が高く、添加物が追加されている。
価格は灯油よりも高めになる筈だが、小売の経費や輸送経費がへるので、ざっと「灯油の価格」と同じと見て議論を進めて良いだろう。
ただし、バイオジェット燃料の中身は、国際的に決められていて、「ドロップイン燃料」と呼ばれる基準をクリアーしなければならない。
自動車用の代替燃料として、よく話題に上がるのは、「エタノール燃料」であるが、この成分は発熱量が低くて水分を吸収し易いので、代替燃料に不向きだ。
それでも、ブラジル政府とアメリカ政府が国策として進めてきた影響で、自動車の方で仕様を変えて、エタノールの混合率に合わせて適合させている。
ジェット機の方は、各国を飛び回るので【各国毎の燃料の仕様】が違っていては、エンジンや燃料タンク、各種の機器が適合出来なくなる。
そこで、早目に各国で話し合いが進み、一定の基準の燃料成分でなければ、「バイオジェット燃料」としては、認めない協定ができている。
この様に、燃料の仕様が明確に決められ、後は商業ベースにのせられる「量産コストの低減」が、必要な段階にきている。
ここまで技術開発が進んでいる状況では、政府が主導する【研究開発助成金】では、量産コストの削減が効果的に進められるかは、おおいに疑問である。
それよりも、再生可能電力の[FIT]制度の様に、生産された「バイオジェット燃料」に「固定価格の付加金」を決めて助成するのが優れた政策である。
民間企業に広く挑戦の機会を提供して、既得権やしがらみに左右されないで、『公平で合理性のある技術開発競争』を引き出せるからだ。
その財源は、国税を充てることもありうるが、「ジェット燃料消費者」に、公平に負担してもらう様に、「ジェット燃料賦課金制度」を法制化すれば良い。
最初は1%程度の賦課金でも、十分に「開発競争のインセンティブ」になる。
トップランナーの量産技術を開発したところが、応募できる様にすれば良い。
1社も応募しない様では、「固定価格の付加金」の金額が低すぎると判断し、応募が数社に増えるレベルまで、付加金の額を引き上げれば良いのである。(続)