欧州では2020年までに、「年間200万トンのバイオジェット燃料」を製造することを目標にしている。
日本の研究目標では、微細藻類を培養して油脂を絞りだし、それを「バイオジェット燃料」に精製する方法を選択している。
2010年から開始し、2013年~2016年の期間に、[NEDO](新エネルギー・産業技術総合開発機構)が主幹で、量産可能な技術研究を継続中である。
だが、この方法での量産コストは、見通しが付くまで段階には進んでいないので、2020年にどのくらいの数量とコストが実現できるか、不明である。
欧州での量産実績は、「オランダKLM航空」と「英国トムソン航空」が、廃食油を回収して精製した油から、製造した燃料で運航した実績がある。
「ドイツルフトハンザ航空」では、ジャトロファ(南洋アブラギリ)由来の燃料を従来の石油由来燃料と混合して運航した。
「エールフランス航空」では、サトウキビから作ったエタノールを合成した「バイオジェット燃料」を製造して試験飛行を実施している。
この様に、航空会社は、試験飛行や一部の運航を実験的に実施しているが、どの方法で製造した燃料が、本命になるかは、まったく判らない段階である。
日本政府には、石油の代替燃料を2020年までに「自動車用50万KL」の目標があるが、全く見通しがたっていない。
そこで、今度は、【東京オリンピック】の時期に、「バイオジェット燃料」の量産を間に合わせて、一部の運航で試験的に商業飛行を実現しようとしている。
しかし、どのくらいに数量を目標にするか、どのくらいの量産コストならば、許容するのか、決めるための基礎データがほとんどない状態だ。
日本企業の【ユーグレナ社】は、「ミドリムシの培養」を事業目的にして、将来はバイオジェット燃料を供給する研究開発を行っている。
日本政府も有力な候補企業としているが、現在は、ユーグレナは「食品の添加物」や「化粧品の成分」を販売して、経営を成り立たせている。
現段階の培養方法では、「バイオジェット燃料」として、販売する価格(灯油相当で100円/L.)には、到達していないからである。
「JX日鉱日石エネルギー」と「日立製作所」が参加、共同研究を進めている。
しかし、以前のブログ(2015年9月4日)に書いた様に、現在の培養方法では、水中に炭酸ガスを送り込む必要があって、量産コストを下げるのが困難だ。(続)