庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

太陽光エネルギーで藻類の培養を事業に出来る可能性は。

2015-09-10 | バイオ燃料・バイオマス

バイオ燃料を陸上の作物で作ろうとすると、【食糧用の作物の栽培地を奪う】コトになる、との議論が必ず巻き起こる。

アメリカの様に耕作に不向きな土地が、圧倒的に多い国ならば、この議論は全く不要になる。

ところが、日本の様に国土が限られた場合には、よほどの生産性の良い植物を選定しない限り、土地利用の優先度が低くなり実施できない。

そこで、陸上の作物ができない様な地域で「藻類の培養」をして、バイオ燃料の原料にする研究が進んでいる。

 

ところが、太陽光による光合成で培養する藻類の場合には、「適切な温度管理」と「最適な炭酸ガス濃度の水」が必要になる。

さらに、藻類によっては、他の種類の藻の侵入を防ぐ必要があるので、閉鎖型の水槽内での培養にする必要が出てくる。

閉鎖型の培養装置にすると、設備の費用がどうして高くなるので、24時間の稼働が必要になるが、太陽光の利用では12時間程度しか光合成はできない。

日本の様に日照率が低くて、半分は曇りか雨では、光合成に頼る「藻類の培養」は、生産効率が悪くなるので、バイオ燃料製造用原料には、全く不向きだ。

 

アメリカの様に年間の日照率が有利な国でも、「藻類の培養」は、なかなか事業採算性の見通しがつかない状況である。

その様な状況のなかで、「光合成しない藻類」を「バイオ燃料の原料」にする研究が進んでいる。

例えばアメリカの「Solazyme社」と「Amyris社」は、光合成しないクロレラを増殖させて【油脂】や『炭化水素』を作らせる。

このクロレラは、糖類を餌にして増殖するので、ブラジルの砂糖工場の「廃糖蜜」を利用することで、生産コストを下げる。

 

つまり、藻類の光合成に頼るのではなく、餌になる【サトウキビからの「廃糖蜜」】を利用することで、間接的に太陽光エネルギーを活かしているのだ。

この様に間接的に「バイオ燃料の原料」を作らせる「藻類を選択」するのが、生産効率を上げる手段として有効である。

培養する藻類に餌を与えて増殖させる設備は、24時間のフル稼働ができるので生産効率は大幅に向上する。

日本の研究者は「オーランチオキトリウム」の藻類を選定して研究している。(続)